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二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

可愛い胡には旅をさせよ

2013-01-30 09:48:45 | ☆店主の鞄持日記 ほぉ舜堂
昨年ワタクシ、マイ二胡が出来ました。
名前は『月光』。
殿の幻(まだ作ってない)の二胡『日光』とペア名で、『にっこう、がっこう』と読みます。
素材は、高級材のインド紫檀。
こんなビギナーが持つにはもったいない名器です。

現在光舜堂には商品としてのインド紫檀材の二胡が置いていないため、
「インド紫檀の音色はこんなだよ」 との説明用に一緒に店内の棚に掛けています。
すると、インド紫檀の音色に惚れ込んだ方々が たいそう気に入り、
「これが欲しい!」 と言って下さいます。
実際、本当にインド紫檀の音色は、甘く澄んで、美しいです。

毎週日曜日、だいたい誰かは必ず『月光』の音色に惚れ込みます。
それはそうでしょう、なにしろインド紫檀とは、
元々インドの南東の地方に自生していたコウキ紫檀をインドの他の地域にに植林した、大元は同じ樹種なのですから。
コウキ紫檀はスーパー高級材なので非売品ですが、
インド紫檀なら、ちょっと高価とは言え、限りなくコウキに近い音色が手に入るのです。
とはいえ、最近の店主はDODECAGONの研究に夢中で、二胡の方はさっぱり作っていません。
ですから相変わらず『月光』は みんなの人気者。

「西野さん、私これ好きーー!」
「ごめんねー、これ、売り物じゃなくて、ほぉさんのなんだよ」
「えーーー?!」
「欲しいっていうから。 今まで一度も欲しいなんて言わなかったのに言うから、あげたんだ」

そんな会話が毎週のように繰り返されてるこの頃。
ですが、ワタクシが『月光』を欲しがったのには訳が有ります。



『月光』は、たいそう美しい木目のインド紫檀ですが、
胴の側面の一部分に、木目のムラから来る無数の斑が出ているのです。

音色の美しさに先に惚れ込んだ方々にそれを見せても、
「あら、別にいいじゃない!」と皆さんおっしゃいます。
音色がとても美しいので、そんな斑など誰も気になんてされないのです。
そういう反応を見ると、親心でしょうか、本当に嬉しいですし、ありがたく思います。
光舜堂に来て下さる方々は、そして、
音色を純粋に評価して下さる方は、
木が天然であることをちゃんと理解して下さり、問題になさいません。
惚れ込んでしまえば斑まで愛おしいと思って下さるのです。

店主は自作の二胡にとことん惚れ込んで下さる方にはデレデレですから、
ですから、うっかりすると、「特例!」 と言って売りそうになります。
「そんなに惚れ込んで下さるなんて嬉しいじゃないか」 と。

これまでも、『月光』に限らず惚れ込んで下さった楽器が特例になったことは何度かあります。
でもその特例は、ちゃんとした完全無欠な商品でしたから、ワタクシは呆れつつも黙認しておりました。
ですが、『月光』に関しては、人によってはキズモノと判断されかねません。
これくらいの斑、巷の塗り塗りの二胡の下にはたくさん潜んでいるでしょうに、
ウチはオイル仕上げですから丸目立ちなのです。

どんなに音色に惚れ込んだ方がいても、その方の周りにいる人々の評価は、まず“見た目”でしょう。
「こんなキズモノをそんな高い金額で買ったの?」 と言われかねません。
悪意無くとも身近な親しい人々にこぞって言われたら、この胡への愛情は揺らぐかもしれません。

「だめです!そんなことさせません!!」

ワタクシが『月光』を欲しいと言い出したのは、店主の特例を阻止する苦肉の策なのです!
デレデレ店主のその先で、この胡と持ち主さんが嫌な目に遭うなんて、駄目です!
『日光』『月光』の楽器に付けるシリアルプレートは、「いつか遠い日の為に」 と作っておいたのですが、
「誰にどんなに貶されようと最後までこの胡を愛し続けられるのは私だけ!」 とばかりに、
件のインド紫檀に『月光』プレートを貼り付け、高らかに宣言します。

「この胡、もらいます!!」

。。。貰います、って言っても、高級品ですからね、あくまでも非売品扱いの印なだけです。
お優しいボスは本気でくれる気らしいですが、ワタクシなんかにはもったいない胡です。
ですから、ワタクシの意識下では、『月光』は、インド紫檀の店内用サンプルです。
なので、ご来店の折には、どうぞ『月光』とたくさん遊んでやって下さいね。



ところで、現在各地に試奏で遠征中のココポロ材のDODECAGON達、
ド派手なイタリア製スーツみたいなブラジリアンローズ材の木目以上に、
ココポロ材はド派手な木目です。
ブラジリアンローズが、愛すべきイタリア野郎だとすれば、
ココポロは、アンデスあたりの民族衣装、と言った喩でしょうか。。。とにかく派手です。

オイル仕上げのド派手GON、さっそく日本各地で木目に対するツッコミが入っているようです。
目立つ木目ですからね、この派手さ、美しいと思うか、そうでないか、賛否両論でしょう。
(いいんですよ、好みですから。 かく云うワタクシも、どちらかと言えば地味好みです)
目立ち過ぎる木目ゆえに、
「こんな節みたいな(節ではありませんよ)材をこの場所に使うべきではないのでは」
なんてご意見もありましたが、
製作者は、代々続く木工家系のプロとして、どこの部材が適しているか熟知していますから、
むしろ、弦の張力に耐えかねて曲がってくるような部材を棹に平気で使う中国製品と違い、
一番良い部材を各処に応じて使っていますから大丈夫ですよ♪
ド派手な外見にしても、二胡の腕の成長と共(?)に、しっとりと落ち着いた風格が出てきます。

しかし、今回の試奏を通して様々なお声を聞かせていただき、本当に感謝しています。
普段光舜堂にいらして下さる方々は、『月光』を始めとする西野製品に甘々ですから。

『可愛い胡には旅をさせよ』 ですかね?

でも、

やっぱり『月光』は箱入り娘に育てます(^0^)


















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素敵な名前 (enari)
2013-01-31 21:56:23
日光、月光とは、なんて素敵な名前でしょう。
まだ、私が港町に住んでいた頃、上野に日光月光菩薩を見にいった事を思い出しました。

二胡の日光月光も対となって一つですね。

日本の二胡物語のイベント予告だけで、わくわくしました。
震災から2年経とうとしてますが、経済的打撃が大きく、厳しい状況が続いています。
生きてる事と生活出来てる事に感謝しつつ、二胡の練習を続けています。
行けたらいいななんて、思いながら二胡続けようと思います。
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enari さんへ (nishino)
2013-02-01 12:08:22
阪神の時でも復興という感じになるのに15年ぐらいはかかりましたよね。私は仕事で震災の前の日に大阪に居たのです。最終の新幹線に飛び乗って、あくる朝の報道で震災を知りました。今回の東北、多分、福島の原発の事を考えると、相当な痛手をみなさんが被っているのは良く解ります。私も岩手の友達を亡くしました。でもenariさんは生きておられる。生き抜くことこそ大切な事でしょう。理不尽にも人生を全うできなかった方々が沢山おられるのは分かっています。でもそれを実感は出来ない地域に住んでいる物としては、ただひたすら、今の東北の方々に頭を下げるだけです。もしこんなブログが少しでもenariさんの楽しみになるなら幸いです。いつの日にかお会いできるの楽しみにしております。
返信する
ありがとうございます (enari)
2013-02-02 15:54:24

いつもブログ楽しく読んでいます。
自分の好きな二胡ができる事に感謝して。
元気を頂きながら、日々生きてます。

ありがとうございます。
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