缶ベルは、弓弦楽器の世界では最高峰の松脂として相当な高額で売買されているようです。
50年前には作られなくなったという事で その付加価値でしょうね。
販売(製造)されなくなる松脂というのがかなりありますね。
PATHもJFRもなくなっています。
さて、この缶ベルどうしてそんなに評価が高いのかと言いますと、弾いてみるおと、音の立ち上がりも早くキレも良い。そして倍音がとても豊かです。
ただグリップ感がヴァイオリン向けという感じです。
こう書くと光舜松脂の0ゼロのことを書いているみたいです。
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この二つなんだか似ていませんか?
上は缶ベルのGUSTAV BERNARDEL と缶にかかれているものです。
下は、中国で販売されている老松香です。
下は、中国で販売されている老松香です。
これで2,30年の熟成だそうです。50グラムくらいでどうやら8000円見当ですかね。
ところが、これらを弾いてみると先ほど言ったような音の立ち上がりとキレの良さ、倍音の豊かさは変わらないのですが、音色が違うのです。
缶ベルの方は音が深い、複雑 ある意味雑味があるのです。
何故でしょうか???
天然熟成の松脂は、弓の操作性としては殆どの既存の松脂より優れています。
それは、油分がほとんどなくなって粒子そのものの形状による摩擦力で弦を振動させますので、オイルなどの添加物でグリップ力を上げるのとは基本的に違います。
弓の運動を妨げる要素というのがとても少ないです。
天然熟成にも様々なタイプがあります。
音色がそれぞれ違うのと、たぶん熟成時間による違い、これは音のキレに違いが現れます。
ですから、古ければ古いほど松脂が本来持っていたテレピン油の硬化・減少が進み、究極的には光舜松脂の0ゼロの状態になります。
その途中段階で様々な音色やグリップ感が出来上がっていきます。
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これは缶ベルのGAND& BERNARDELと書かれたものです。
たぶんこれが一番熟成時間の長いもののようです。
これはかなり、光舜松脂のONに似ているのです。
そして更に音色が複雑です。
勿論音色ですから人それぞれの好みがあるのでしょう。
ハイポジションになると二胡のハイポジションの音色に近い感じもするのです。
また楽器によっても違うとは思いますが。
しかし複雑な音色にはなるのです。
もしかしたら、その複雑な音色が人を惹きつけるのかもしれません。
そしてこの2種類は完全に天然熟成の物を使っています。あるいは光舜松脂と同じ手法で熟成されたのかもしれませんが。
精製の仕方が少し違うようです。
たぶん原材料が尽きて、安定した供給が出来なくなったので終わりにしたのではないでしょうか。
天然熟成は地域によっての違いがかなりあるようですね。
いま、この地域性の違いがどうやって松脂の性質の違いになるのか、沢山実験をしています。
そのなかで、私がRと名付けたものは、ネオちゃんそばにいて聞いてくれて、このGAND&BERNARDELとの違い分からなかったとのことです。
来月初めには何とか試作一号が、何名かの方に試奏してもらえるはずです。
松脂工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ