二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

楽器を育てる,その5

2011-09-10 07:57:37 | ■工房便り 総合 
さも何十年も二胡を触って来たような言い方になってすみません。

私もまだ1台の二胡が出来上がってから、10数年その皮が駄目になるまで見守ってきたわけではありませんが、

この何年かの間ですが、二胡作る為に様々見せていただき、また弾かせていただいて、

そして光舜堂を始めて、300台くらいの色々な二胡、弾いてみて、調整してみた結果、

先生クラスの人の二胡や、20年あるプロが弾いていた二胡の皮の張り替えなどさせていただいた、経験と、

数十年木工や、鉄屋その他の材料を触って来て、自然の物の変化する様を見ていた経験との組み合わせの推測でもあります。

また、他の蛇皮の使った弦楽器、三線や、胡弓などの経年変化などを調べてみた結果です。

しかしそれがすべてであるとは思っていません。

必ずしもすべての二胡が上記の様な経過をたどるとは限りません。

弾き込みの量にもよりますし、どのような調整をされて来たかに因っても、結果はかなり違います。

まだまだ私の知らないことなど沢山あるとは思いますが、二胡を育てるというのは、このようなことかもしれないということでしかありませんが、

弦楽器の木部と言うのは、絶対的に補修が必要。

皮は、必ず張り替えの次期が来る。

と言う事です。

これは三味線や、三線あるいは、バイオリン等では改めて言うことではありません。

常識なのです。

本来ならば、日本に居られる、子供のころから二胡弾いてきた先生方が、

ご自分の経験を、商売としての先生業だけでなく、

日本の二胡弾きの為に、二胡の真実というのをちゃんと公平に、伝えていただけるのが一番良いのではないでしょうか。

もちろん、そのようにやっておられる方も沢山おられますが、

どうもなんとなく剣道の極意書の様になって神秘性を打ち出されても、少し違うような気もするのです。

楽器はとかく迷信のかたまりです。

何故、良い音のする、あるいは鳴りの良い楽器が出来るかが、まだ解明されていませんから。

ストラデバリウスとまではいかないけれど、塗料が、とか当時の気候がとか、

とかく神秘性を持たせたがるのは、すべての楽器に言えることなのかもしれませんが、

せめて、二胡も、バイオリンの常識ぐらいにはなってほしいような気がします。

また、今販売されている物の様に、木の種類も判然とせず、

皮もどんなレベルの皮か分からず。

鱗が大きいほうがよい皮であるという、間違った常識が、広がっていくような二胡販売。、

また、ちゃんと調整もされておらず、何回か弾いているうちに、その雑音だらけの音に嫌気がさし、

折角二胡の音にほれ込んで始めた二胡のレッスン、途中で投げ出す方も多いと聞きます。

弾き込み育てる大切さと言うのを、先生方はもっと強調してほしいですし、

その前に、弾き込みたくなるような、楽器であってほしいものです。

この項終わり。


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6 Comments

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近々 (ぢみ)
2011-09-10 20:43:29
楽器の音響工学に関する書籍が届きますので、興味があれば一緒にみましょう。

経年変化や二胡に関しては恐らく記述は無いと思いますが、バイオリンなどの擦弦楽器に関しては少々の記述があると思います。

西野さんの経験を理論的に裏付け出来るのではないかと期待してますのです。(笑
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ありがとうございました (やすぞ~)
2011-09-11 11:57:53
何となくわかってきました。

最初に買った楽器の鳴りと、今の楽器の鳴り。

音色は違えど、鳴りはやはり三年間引き続けた、最初の二胡ですね。

楽器を育てるが、何となくわかりました!
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じみさん (nishino)
2011-09-12 08:06:17
本楽しみです。

かなりマニアックな内容なのでしょうね。

よろしくお願いします。
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やすぞうさん (nishino)
2011-09-12 08:08:29
こちらこそありがとうございました。

やすぞうさんのメールがきっかけで、思わず長いものになってしまいましたが、

おかげ様で二胡のことを広く考えることができるようになったと思います。

ありがとうございます。
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本Get! (ぢみ)
2011-09-12 22:25:01
いやぁ、とにかく割り高な本でした。値段が相当高い割りにそれほど中身が深くないし、小さめの本。でも中身は分かりやすく、ワタクシレベルにはちょうど良い感じです。読みながら思わず『へ~っ』て感嘆詞が出ます。でも西野さんなら既に知っていることばかりじゃないですかね~って感じです。
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(ぢみ)さん (nishino)
2011-09-12 22:46:05
見せて下さい、是非お願いします。

まだまだ知らないことばかりですよ。
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