お気の毒な大殿様!
睡眠不足と疲労回復の為の貴重な仮眠時間を、職務質問で潰されたらしい。
これは、光舜堂営業日の開店時間前の話。
因みに前日のスケジュールは、
早朝から打ち合わせで横浜へ行き、戻って仕事、来客、仕事、
21時過ぎから外出、22時半~24時 西麻布で打ち合わせ、
24時半¥バー立ち寄り、部下(ワタクシね)を送り届け、帰宅26時。
大層お疲れのところに輪をかけて、
翌朝は朝で、釣りに出かけるお嬢様お二人に早朝起こされて。。。
渋谷に向かう車中ずっと、
「寝たい、寝たい」と言い続けていたので、
10時前に外回りの大きな準備だけ手伝ってもらうと、
「後は車で休んでて下さい」と追い出しました。
その後はずえだーさんとワタクシ2人だけで準備して、開店の時間。
すると、きっかり11時に戻ってきた殿。
ゆっくり1時間休めたかと思いきや ―――
(ここからはB級ハードボイルド調でお楽しみください。―※かなりの脚色有り―)
車を停めた光舜堂近くのコインパーキング
通りから少し奥まった所にあるこの場所なら、ビルの谷間で日影ができる
運転席のシートを倒し、うつらうつらするまでの数分間は、いつものように図書館で借りてきた本を開いた
睡眠不足で気分は最悪だ
だが、年甲斐も無く読む今回借りた冒険ファンタジーには思わず笑みがこぼれた
ふっ、俺にもまだまだ少年の心が残っているようだ。。。
ふわぁーっとした心地よい睡魔が降りてきたその時、
コンコン
誰だ、俺の眠りを邪魔する奴は
片目を開けて歓迎されざるノックの主を見た
警察か
わかってる、職質だろう、ヒマな奴らめ
もっと怪しい奴を取り締まれっていうんだ!
「どうしました? 昨夜も仕事が遅くて寝不足でね、仮眠の邪魔しないでください」
「ここで何してるんです?お名前は?」
馬鹿か、こいつら、仮眠だって今言ったばかりじゃないか!
「だから仮眠です
それより、最近の警官は、人に名前聞く時まず自分が名乗るのが礼儀、と教育されていないのかい?」
少し狼狽したように警察手帳を見せる警官達
渋谷署の連中か、、、
彼らの上司を知ってることは黙っていることにした
「何読んでるんですか?」
「ゲド戦記」
「なんですか、それ?」
「。。。!? ゲド戦記も知らないのかい?! 冗談だろう?」
いや、本気らしい、アーシュラ・K・ル=グウィンも知らないのか
何? ちょっとトランク開けて下さい?
めんどくさい奴らだ
「ちょっとっ!これは何?!」
え?
あー、そうか、今日は蛇皮を乗せて来てたっけ
確かに普通ならヤバい品か、だがなんだ
俺は正規ルートでの仕入れをしている、やましいことなど何も無い!
しかし、奴ら、鬼の首でも取ったような声だな。。。
「仕事道具です、二胡屋ですから」
「刃物や工具も有りますよ!」
「仕事道具だって言ってるでしょう!調べて下さい、
私の本業のHPアドレス、言いますよ」
「ちょっと待ちなさい、書きとめるから」
とろい奴だ、だが直ぐに本部で照会しているらしい
ふっ、ネットで俺の名前を検索して混乱したようだ
「西野和宏って検索すると、二胡屋とか建築家とかデザイナーとか、
色々たくさん出てくるんですが、お宅、どの西野和宏さん?」
「全部です」
「。。。」
言葉を失った警官達を横目にパイプに火を着けなおす
「それ、何を吸ってるんですか?」
「見れば分かるでしょう、パイプです」
こんなに警官の目の前で堂々とヤバい物を吸う人間がいるわけがないのに、
彼らはいったい何を言っているんだ?
いや、いたって真面目らしい、、、好きにパイプの中身も確認するがいい
「いい香りでしょう?バニラですよ」
「。。。」
蛇皮の仕入れ先、ご迷惑をかけてしまった、ったく、電話かけて下さい?
掛けられない所だと思ってるんだろう、お生憎様!
こちらは正規のルートで仕入れた商社を通しているだけだ
だが、言ったところで彼らには通じるまい。。。
「○○社長、日曜日お休みのところ本当に申し訳ありません、
とんだお手間をおかけしますが、すみません、ちょっと警察と電話で話してもらえますか?」
気が済んだか、ヒマな奴らめ、善良な市民に靴まで脱がせておいて
ズボンのポケットの中まで調べるようだ
全部自分で出そうとしたらいいですだと!
仮眠していただけで、何でボディーチェックまでするかな
「いっそ全部脱ぎましょうか?」
そこまではいいそうだ
だが鞄の中、財布の中まで調べ上げたあげく、
「失礼しました、結構です」
「普通もっと怪しい人を調べるもんじゃないのかい?そんなに人相が悪いかね私は?」
「ハイ」
おいおい、勘弁してくれ、ハイじゃないだろう、ハイじゃ、、、
いや、警官の生真面目そうな面を見てたら馬鹿らしくなってきた
「車のナンバー控えておいてくれ、私は日曜日は毎週ここで寝てるから」
おかげで一睡も出来ずじまい
眠い、、、だが、さぁ、二胡屋の時間だ
睡眠不足の目に残暑の日差しは眩し過ぎる
だが、ここで愛用のレイバンをかけたら、さっきの警官達が走って戻って来るだろう
店に戻って部下が淹れた濃い目のコーヒーと、
さっきのくだらない話に爆笑する店番の娘達の笑い声でも聞けば、
眠気も覚めるに違いない
そうだ、俺には使命が有る
やれケースが怪しい、ライフルなのか?
やれ蛇皮はどうやって入手したんだ、密輸組織か?
やれ顔が怪しい、
なんと言われようが、構わない
いわれ無き職質になぞ負けはしない
日本中のすべての二胡を健全に鳴らすまでは。
FIN
(※ 殿に、小説家の才能は無いねって酷評されました。。。)
睡眠不足と疲労回復の為の貴重な仮眠時間を、職務質問で潰されたらしい。
これは、光舜堂営業日の開店時間前の話。
因みに前日のスケジュールは、
早朝から打ち合わせで横浜へ行き、戻って仕事、来客、仕事、
21時過ぎから外出、22時半~24時 西麻布で打ち合わせ、
24時半¥バー立ち寄り、部下(ワタクシね)を送り届け、帰宅26時。
大層お疲れのところに輪をかけて、
翌朝は朝で、釣りに出かけるお嬢様お二人に早朝起こされて。。。
渋谷に向かう車中ずっと、
「寝たい、寝たい」と言い続けていたので、
10時前に外回りの大きな準備だけ手伝ってもらうと、
「後は車で休んでて下さい」と追い出しました。
その後はずえだーさんとワタクシ2人だけで準備して、開店の時間。
すると、きっかり11時に戻ってきた殿。
ゆっくり1時間休めたかと思いきや ―――
(ここからはB級ハードボイルド調でお楽しみください。―※かなりの脚色有り―)
車を停めた光舜堂近くのコインパーキング
通りから少し奥まった所にあるこの場所なら、ビルの谷間で日影ができる
運転席のシートを倒し、うつらうつらするまでの数分間は、いつものように図書館で借りてきた本を開いた
睡眠不足で気分は最悪だ
だが、年甲斐も無く読む今回借りた冒険ファンタジーには思わず笑みがこぼれた
ふっ、俺にもまだまだ少年の心が残っているようだ。。。
ふわぁーっとした心地よい睡魔が降りてきたその時、
コンコン
誰だ、俺の眠りを邪魔する奴は
片目を開けて歓迎されざるノックの主を見た
警察か
わかってる、職質だろう、ヒマな奴らめ
もっと怪しい奴を取り締まれっていうんだ!
「どうしました? 昨夜も仕事が遅くて寝不足でね、仮眠の邪魔しないでください」
「ここで何してるんです?お名前は?」
馬鹿か、こいつら、仮眠だって今言ったばかりじゃないか!
「だから仮眠です
それより、最近の警官は、人に名前聞く時まず自分が名乗るのが礼儀、と教育されていないのかい?」
少し狼狽したように警察手帳を見せる警官達
渋谷署の連中か、、、
彼らの上司を知ってることは黙っていることにした
「何読んでるんですか?」
「ゲド戦記」
「なんですか、それ?」
「。。。!? ゲド戦記も知らないのかい?! 冗談だろう?」
いや、本気らしい、アーシュラ・K・ル=グウィンも知らないのか
何? ちょっとトランク開けて下さい?
めんどくさい奴らだ
「ちょっとっ!これは何?!」
え?
あー、そうか、今日は蛇皮を乗せて来てたっけ
確かに普通ならヤバい品か、だがなんだ
俺は正規ルートでの仕入れをしている、やましいことなど何も無い!
しかし、奴ら、鬼の首でも取ったような声だな。。。
「仕事道具です、二胡屋ですから」
「刃物や工具も有りますよ!」
「仕事道具だって言ってるでしょう!調べて下さい、
私の本業のHPアドレス、言いますよ」
「ちょっと待ちなさい、書きとめるから」
とろい奴だ、だが直ぐに本部で照会しているらしい
ふっ、ネットで俺の名前を検索して混乱したようだ
「西野和宏って検索すると、二胡屋とか建築家とかデザイナーとか、
色々たくさん出てくるんですが、お宅、どの西野和宏さん?」
「全部です」
「。。。」
言葉を失った警官達を横目にパイプに火を着けなおす
「それ、何を吸ってるんですか?」
「見れば分かるでしょう、パイプです」
こんなに警官の目の前で堂々とヤバい物を吸う人間がいるわけがないのに、
彼らはいったい何を言っているんだ?
いや、いたって真面目らしい、、、好きにパイプの中身も確認するがいい
「いい香りでしょう?バニラですよ」
「。。。」
蛇皮の仕入れ先、ご迷惑をかけてしまった、ったく、電話かけて下さい?
掛けられない所だと思ってるんだろう、お生憎様!
こちらは正規のルートで仕入れた商社を通しているだけだ
だが、言ったところで彼らには通じるまい。。。
「○○社長、日曜日お休みのところ本当に申し訳ありません、
とんだお手間をおかけしますが、すみません、ちょっと警察と電話で話してもらえますか?」
気が済んだか、ヒマな奴らめ、善良な市民に靴まで脱がせておいて
ズボンのポケットの中まで調べるようだ
全部自分で出そうとしたらいいですだと!
仮眠していただけで、何でボディーチェックまでするかな
「いっそ全部脱ぎましょうか?」
そこまではいいそうだ
だが鞄の中、財布の中まで調べ上げたあげく、
「失礼しました、結構です」
「普通もっと怪しい人を調べるもんじゃないのかい?そんなに人相が悪いかね私は?」
「ハイ」
おいおい、勘弁してくれ、ハイじゃないだろう、ハイじゃ、、、
いや、警官の生真面目そうな面を見てたら馬鹿らしくなってきた
「車のナンバー控えておいてくれ、私は日曜日は毎週ここで寝てるから」
おかげで一睡も出来ずじまい
眠い、、、だが、さぁ、二胡屋の時間だ
睡眠不足の目に残暑の日差しは眩し過ぎる
だが、ここで愛用のレイバンをかけたら、さっきの警官達が走って戻って来るだろう
店に戻って部下が淹れた濃い目のコーヒーと、
さっきのくだらない話に爆笑する店番の娘達の笑い声でも聞けば、
眠気も覚めるに違いない
そうだ、俺には使命が有る
やれケースが怪しい、ライフルなのか?
やれ蛇皮はどうやって入手したんだ、密輸組織か?
やれ顔が怪しい、
なんと言われようが、構わない
いわれ無き職質になぞ負けはしない
日本中のすべての二胡を健全に鳴らすまでは。
FIN
(※ 殿に、小説家の才能は無いねって酷評されました。。。)
このテの話には食いつき早いですね~♪
”ネタの新鮮さだけで売ってる握りの下手な寿司屋”のようなもんでごんす。。。
「ハードボイルド書くなら、チャンドラーと原 亮を読め」と言われました。。。
私は、話のタネに職質されたいなーと去年のAPECの時、家や会社のあたり(会場の近所)をのこのこ歩いていましたが、人相が良いせいか1度も職質されることなくスルーされました。どやっ!
夜に二胡担いで歩き回りましたが、一度も職質されませんでした、、、
羨ましいです!
あの、ステッカーいっぱいのキュートなケースでは怪しまれませんよ
あれでは本当に武器弾薬を担いでても問題なぁとおもう今日この頃です。
でもアメリカで捕まった時はかなりあせりました。
それは本気度が違いそう!!
日本は平和だったんだ、やっぱり。。。
二胡がライフルに見える、という話はよく聞きますよね。
ル、グインは、「闇の左手」以来もう40年ぐらい読み続けています。
しかし、しかし、
この偽ハードボイルド、なんとかして欲しい。
私はこんな、チンピラ風ですかね。
その上、見た目もかなり優しい爺だと思いますがね。