この二胡も今お預かりしている楽器です。
皮もとても良い張り方していますね。
裏から覗いても傷などなく、かなり均一に見えます。
比較的、皮の問題を取り上げる方はいらっしゃいます。
この鱗の大きさ、あるいはこの張り具合、仕上げ方など、
確かに、この張り具合などは大変音に直接的に影響があるのでとても大切なことだと思います。
しかし、皮の裏側についている脂肪を取る作業が、張り具合を決定する上でも大切です。
脂肪は、刃物でとります。削っていくのです。
当然手作業です。
削るためには、刃物が当たりますから、小さな傷のできることなどもあります。
ある部分だけが削りすぎてしまうと、その部分は弱くなります。
最終的に、皮を張り込んだときに部分的に弱いところができると、当然歪みます。
その歪みは音にした時に現れます。
刃物だからこそ、名人の技というのがあるのでしょう。
普通の牛革や馬皮などを薄くするのは、剝きという工程の中で行われます。
昔は、これも手作業で行われていたそうですが、今は機械化されています。
では蛇皮も、という話にはならないのです。
鱗があるために、ぴったりとは平らにならず、
以前やってもらったことがあるのですが、かなり難しかったみたいです。
多分中国でも試してみたことがあるのでしょう。しかし今だに手作業というのは変わらないようです。
いつかできるようになるのかもしれませんが、なにしろ、木工には、立体的に削るNCルーターというものがありますし。
皮に応用できるようになるのかもしれません。
とにかくこの手作業というところが問題ですし、皮に刃物を当てる時に様々なトラブルがあるのです。
ですから、
ここまで皮を薄く削れるというのは、かなりの名人技というしかいえません。
私には多分できないと思います。
私は基本的に刃物は使っていないのです、これは、皮屋さんから教えてもらった方法です。
しかしやりすぎてしまうと、削ったものは元には戻せません。
実はこのような削りすぎてしまった皮の張替えが、もう一台来ているのです。
良く鳴る楽器です、ただ音の割れがかなりあります。
それをなくして、同じくらいに鳴る楽器にしてくれというご依頼です。
難問です!
工房光舜堂西野&ほぉ