光舜堂は楽器作りです。
二胡も作りますがヴァイオリンも作っています。
楽器作りが思うことは、みな同じです。
自分の作った楽器は当然のこととして、全ての楽器が美しく鳴って欲しいと、他の人が作った楽器でも、より良く鳴れ!と調整に励むのです。
その一環としての松脂作りなのです。
今は無い天然熟成の松脂の引き出す音を聞いて以来、如何に擦弦楽器の最初の振動を引き起こす松脂が大切なことかという事に気が付きました。
自然が数十年かけて作り出すものを何とか月単位に縮めたとはいえ、その松脂は単に溶かして型に入れるだけではありません。
日々熟成具合を見ながら温度に気を付け湿度に気を付け、攪拌しながら空気を取り入れ育てていくのです。
そうやって育ち上がった時に、引き出す音色の美しさは、私にはその労力には代えがたいものがあります。
しかし困ったことに、このところ、松脂の原料もガス代も値上がりが激しいです、そして触媒類も。
そこで、煌、光輪、寂光の発売に当たって、値上げを考えていたのですが、今まで通り6600円としました。
光舜松脂の様々ある特性の一つに、経年変化で変質せず、これだけ暑い時期にも変化はなく溶けるとこともありません。
また、一回に使う量も大変少ないということがあります。
実験してみて、弓毛を松脂の上に乗せて一往復当たり使う量というのは、ヴァイオリンの比較的新しい弓毛だと100分の1ミリの厚みくらいでしょう。この辺りは、弓毛の種類や新しさなどにもよって変わりますが、おおよそ8年くらいから10年くらいは保つのではないかと考えています。
その上、油分のあることで弓毛の上で固まってしまう松脂での傷みが少なくなります、張替え時期がかなり長くなるようです。
通常販売されている擦弦楽器の松脂が、3,4年経つと変質して使えなくなったりするものも中にはありますし、熱で溶けることで中の成分がそれまでと変わって音や引っかかり具合が変化するということもあるようですので、製品としての安定感と量が少なくて済むという事を考えまして、今回少しだけ以前の者より量を調整し金額をそのまま6600円に据え置くことにいたしました。
たぶんこれでも8年から10年くらいは使えるはずです・
このようにすることで、しばらくは金額を上げないで済みそうです。
材料の仕入れ等の事で努力するのは生産者の務めですから。
まだまだ駆け出しの松脂屋です。まずは多くの人に試してもらい、喜んでもらうのが先決だと考えています。
その為に、本当に!!と思われる方も多いとは思いますが、他社の松脂の上にも乗って天然熟成のキレの良さ音色の豊かさ、そして弓の操作性の良さを知っていただきたいと「音」はお試しのために4400円とします。通常の半分くらいの量です。
これでも4,5年は使える量だと考えます。
他のヴァイオリン系の「煌」「光輪」「寂光」「B」は6600円とします。
そして、光舜松脂は商業的な通常の流通には乗せないで販売しています。
大卸、卸、そして小売りという流通に乗せないことでなるべくリーズナブルにみなさんに使っていただけると思うのです。
この光舜松脂を大変気に入ってくれているクロサワ楽器店さんには卸をしていますが、通常考えられないほどの良い条件で引き受けてもらっています。
それだけこの天然熟成の松脂というのを気に入っていただいています。
ありがたいことです。
それ以外は、ある意味クチコミだけが頼りです。
「煌」「後輪」「寂光」を弾いた方の笑顔が次々と広がっていくのが楽しみです。
松脂工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ