< *印 新仮名遣い>
三谷和夫:利根の水を遠く引き来て友は田にチバコシヒカリの米をつくりぬ(新アララギ2018.1)
佐々木フミ子:乳飲み子をつれて歌会に出でし我に優しかりし人ら疾うに世になし (新アララギ2018.1)
木村和子:夕方の郵便配達まち遠し厨にて聞く投げこむ音を(新アララギ2018.1)
須田博:年の瀬のアメ横行けば客を呼ぶだみ声飛び交ふ「安いよ安いよ」(歌会2018.1)
千葉照子:隠れ棲む具視自ら支度せし土間の厨に竈が遺る(歌会2018.1)
今野英山:日の暮るる丘を下りぬアンリ・ルソーの蛇の顔出す葉群の小道(新アララギ2018.1)
高橋毬枝:新しきサングラス得て湧く旅心紅葉づる山の極み見たかり(新アララギ2018.1)
山崎日出男:声高に今の不安を叫ばぬが独り呟く国の危うさ(歌会2018.1)
麦島和子:*長き人生悲喜こもごもありたれどやんわり生きゆく変らぬ母よ(新アララギ2018.1)
岸野トモヱ:*酉さんよ病を連れて飛び立って戌は吾が干支病無きよう(歌会2018.1)
大倉康幸:*『異邦人』のムルソーのかの無表情生きる辛さは今も変わらず(新アララギ2018.1)
相川盈子:*チェコの宿にネット繋ぎて唐突な民進党の分裂を知る(新アララギ2018.1)
宮本通代:気がつけば寄りかかり立つ吾なりき洗面台にも流し台にも(新アララギ2018.1)
葛岡昭男:*薄き髪を隠して被るヘルメット同期の友は過去を語らず(新アララギ2018.1)
渡辺澄子:*重箱の手作りおせちの幾品か老いて手抜きすこの年の瀬は(歌会2018.1)
石川芳江:*元気です充実してると強がりを賀状に書きいる師走の宵に(歌会2018.1)
丸山さち子:*街の灯がともればヤモリ現れて小さき手を見せガラス戸にうごく(新アララギ2018.1)
戸田邦行:*花も木も生きていること喜ぶか考える葦は無駄に生きるが(新アララギ2018.1)
鈴木英一:*玉眼がきらりと光る運慶仏吾の心を見透かすごとし(歌会2018.1)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます