( 佃島・佃煮屋天安 )
久しぶりに佃島の吟行、この一角は震災、戦災の被害も
少なく昔ながらの佇まいがあります
広さからいったら東京ドームと変わらないかもしれない
佃大橋東橋詰を南に月島のもんじゃ通り、橋を渡れば聖路加タワー
そして築地・銀座、北は門前仲町、深川八幡、芭蕉庵
連衆のCさんのお句がこの佃煮屋のあたりの匂いと扇風機を詠まれた
実際は換気扇なのだが、この機転はいい。いい句でしたよ!
佃煮は煮た後、冷まして余計な水分を飛ばさなければ長持ちしないので
私の家の家業であった佃煮工場(こうじょうでは無くこうば)では大型扇風機が
いつも唸っていました。
子供の頃、夏の夜は兄と工場に泊り込む、朝には佃煮の醤油と鰹節の匂いを
たっぷり纏った兄弟のできあがり(家庭用扇風機など有りません)
そう言えば、昔の子供は家業の匂いを纏ってました。
天麩羅屋の島田さんはごま油の匂い、豆屋の小川君は煎り豆の匂い
莫大小屋の堀井くんは埃っぽい匂い・・・教室は匂いの宝庫?
最近の下町にも匂いが少なくなった気がする
路地を通れば「ここんちは今夜はカレーだな」「ここは昆布煮てる」なんて
昔はみんな鼻が利いた
俳人も 目利き、鼻利き、耳聡さ、の感性が絶対に必要に思う
表面を捉える写生では美しい句は詠めても、鑑賞者に伝わらない
五感の鈍ったころころはCさんの一句に目覚めました。
他所へお出しになる可能性があり、ここに紹介できないのが残念です。
もう額の花が咲いていました。
額の花ひすいの花粉葉にこぼれ 澤木欣一
地震あとは簡素に住みて額の花 千原叡子