６月 ４日

　　　　　　　　　　　　（　野萓草・のかんぞう）

一重咲きが野萓草，二重咲きが藪萓草と言われています。どちらもユリ科の植物です


萓草の黄からはじまる野の夜明 　　　　　　　　　　後藤比奈夫


萓草の十時にひらく双子の家 　　　　　　　　　　　宮坂静生


野萓草もつてのほかの恋をして 　　　　　　　　　　大石悦子


野萓草咲いて萎れて飛び地墓地 　　　　　　　　　　高澤良一




藪萓草


　伊吹嶺６月号　遠峰集より　


桑解いて風やはらかき奥三河
剪定の農夫脚立を横抱きに
春疾風雀吹かれて横つ飛び
産着干す竿すれすれに初つばめ
母がりや餡のはみ出す蓬餅
春雷の一喝背筋ただしたり　　　　　　　　　下里美恵子　　（知立）

６月 ３日

　　　　　　　　　　　　（　夏水仙　）


花かざし夏水仙の独り立ち 　　　　　　　　　　　　　沢木欣一


なんの蔓夏水仙にからみたる 　　　　　　　　　　　　岸本尚毅








狐の剃刀（夏水仙と同じヒガンバナ科）


狐の剃刀霧へ落として来りけり 　　　　　　　　　　　櫛原希伊子


狐の剃刀山柔らかく日に抱かる 　　　　　　　　　　　雨宮抱星

　伊吹嶺６月号　巻頭句　


桜東風土嚢背負ひし義士の像
雲雀東風水屋に積まる米俵
地震の地強く照らせよ春北斗
泪てふ茶杓の擦れや冴返る　　　　　　　　　　　金原峰子　（蒲郡）