１０月 ２０日

　　　　　　　　　　　　（　藍の花　）



沈みたる一蝶白し藍の花 　　　　　　　　　　　星野高士


古木偶のざんばら髪や藍の花 　　　　　　　　　吉田汀史


藍の花栞れば紅の失せにけり 　　　　　　　　　坊城中子


藍の花織子泣かせし門構 　　　　　　　　　　　坂本淳子


綾子忌の風に穂をあぐ藍の花 　　　　　　　　　鈴木千恵子


この村に減りし土蔵や藍の花 　　　　　　　　　谷口秋郷






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１０月 １９日

　　　　　　　　　　　　　　（　竜胆　）



阿弥陀仏山りんだうの供へあり　　　　　　　　　　細見綾子


壺の口いつぱいに挿し濃竜胆 　　　　　　　　　　　川崎展宏


山の日の片頬にあつき濃竜胆 　　　　　　　　　　　富安風生


竜胆や朝はきらめく白馬岳 　　　　　　　　　　　　水原秋桜子


竜胆の花暗きまで濃かりけり 　　　　　　　　　　　殿村菟絲子




伊吹嶺の俳句　（ムーさんの俳句歳時記から転載させて頂いています）
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月山の雨に竜胆色深む　　　　　　　　　　　　　伊藤克江


木道に憩ふ老婆や濃りんだう　　　　　　　　　　滝沢昇二


りんだうの束ごと並べ母の葬　　　　　　　　　　服部萬代


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１０月 １８日

　　　　　　　　　　　　　（　橘の実　）



やよさめや橘青き実をつけて 　　　　　　　　　　　　細見綾子


橘は黄を深めつつ天の鈴 　　　　　　　　　　　　　　長谷川秋子


青き葉の添ふ橘の実の割かれ 　　　　　　　　　　　日野草城


右近の橘の実のしぐるるや 　　　　　　　　　　　　　種田山頭火


飛鳥野に橘実のる古りし寺 　　　　　　　　　　　　　寺田青胡






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１０月 １６日

　　　　　　　　　　　　（　通草・あけび　）


米櫃に熟れし通草をもてなさる 　　　　　　　　滝沢伊代次


夕空の一角かつと通草熟れ 　　　　　　　　　　飯田龍太


通草熟れ消えんばかりに蔓細し 　　　　　　　　橋本鶏二


山気降り通草に色を紡ぎ足す 　　　　　　　　　加藤耕子


通草もぐふと晴天のでき心 　　　　　　　　　　　今瀬剛一




郁子の実


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宿坊のとろりと甘き通草味噌　　　　　　　　　　栗田せつ子


通草の実雨に色づく行者径　　　　　　　　　　　岸本典子


リフト小屋笊に通草の爆ぜゐたり　　　　　　　　山下智子


宗悦の書斎を飾る通草の実　　　　　　　　　　　野島秀子


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１０月 １５日

　　　　　　　　　　　　　　（　溝蕎麦　）



溝蕎麦は水の際より咲きそめし 　　　　　　　　　高浜年尾


溝蕎麦や土橋明るく田をつなぐ 　　　　　　　　　三輪千代子


溝蕎麦に狭められたり飛鳥川 　　　　　　　　　　国枝洋子


溝蕎麦や板を打ちては鯉を呼ぶ 　　　　　　　　　宮坂静生


溝蕎麦や足摺へ向く遍路みち 　　　　　　　　　　中平泰作




段菊


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溝蕎麦の白埋め尽す城の堀　　　　　　　　　　　矢野孝子


溝蕎麦や白山麓の堅豆腐　　　　　　　　　　　　　牧　和代


たそがれの砦みぞ蕎麦明りかな　　　　　　　　　山　たけし




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１０月 １４日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山路のホトトギス
　　　　　　　　　　　（　時鳥草・杜鵑草・油点草　）



活ける間も花のこぼるる杜鵑草 　　　　　　　　　　松沢佐多子


杜鵑草揺らし嵯峨野をわたる風 　　　　　　　　　　吉岡桂六


ゆく水に触れて色濃し杜鵑草 　　　　　　　　　　　山口いさを


咲きはじめはや生臭き杜鵑草 　　　　　　　　　　　川崎展宏


紫の斑の賑しや杜鵑草 　　　　　　　　　　　　　　　　轡田進




タイワンホトトギス



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句屏風を背に水盤の杜鵑草　　　　　　　　　　　服部冨子


いかるがに青々句碑や杜鵑草　　　　　　　　　　山下智子


子規庵の小庭に群るる杜鵑草　　　　　　　　　　武藤光晴



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１０月 １３日

　　　　　　　　　　　　（　秋明菊・貴船菊　）


とぎ汁を秋明菊に注ぎやる　　　　　　　　　　　栗田やすし


観音の影のさまなる貴船菊 　　　　　　　　　　　阿部みどり女


干傘が秋明菊をこぼしけり 　　　　　　　　　　　高田洋子


石積みて畑さゝへあり貴船菊 　　　　　　　　　　甲賀 山村


僧房の月の秋明菊の畑 　　　　　　　　　　　　　黒田杏子





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秋明菊群れ咲く一茶位牌堂　　　　　　　　　　　中根多子


遺髪塚秋明菊の揺れ止まず　　　　　　　　　　　河合義和


湯治場や秋冥菊の白まぶし　　　　　　　　　　　菊池佳子





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１０月 １２日

　　　　　　　　　　　　（　豆柿・小粒柿・小玉柿　）



夕日眩し都府楼跡に小粒柿　　　　　　　　　　　栗田やすし


豆柿に陽気な空のありにけり 　　　　　　　　　　谷口ふみ子


小粒柿陽にきらきらと鄙言葉 　　　　　　　　　　鍵和田釉子


豆柿や亜浪生家の水の音 　　　　　　　　　　　　高島 久


豆柿や空黝きまで奥丹波 　　　　　　　　　　　　広岡仁






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小粒柿熟れて明るし隠れ里　　　　　　　　　　　後藤暁子



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１０月 １１日

　　　　　　　　　　　　　（　野菊・野地菊　）



渓流が石噛むところ野菊咲く　　　　　　　　　　細見綾子


雨粒のときどき太き野菊かな 　　　　　　　　　　中村汀女


かかる日のまためぐり来て野菊晴 　　　　　　　富安風生


らんぼうに野菊をつんで未婚なり 　　　　　　　　秋元不死男


金網に吹きつけらるる野菊かな 　　　　　　　　　岸本尚毅





土うすき岩の対島の野紺菊 　　　　　　　　　　　　林 翔


山のいろ山より湧きぬ野紺菊 　　　　　　　　　　　手塚美佐


切株が坐れと二つ野紺菊 　　　　　　　　　　　　　太田土男


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落人の里や野菊の吹かれをり　　　　　　　　　　　福田邦子


匂ひ濃き畑の野菊を刈り残す　　　　　　　　　　　藤田岳人


野紺菊一輪絵島の文机に　　　　　　　　　　　　　橋本紀子


大滝の上はせせらぎ野菊咲く　　　　　　　　　　　加藤百世


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１０月 １０日

　　　　　　　　　　　　（　鳥兜・鳥頭　）


今生は病む生なりき鳥頭　　　　　　　　　　　石田波郷


とりかぶと紫紺に月を遠ざくる 　　　　　　　長谷川かな女


火の山にかぶさる雲や鳥兜 　　　　　　　　　高橋悦男


とりかぶと夜伽の紐の前結び 　　　　　　　　伊藤通明


人嫌ふこと許されず鳥頭 　　　　　　　　　　草間時彦


鳥兜毒もちて海の青透けり 　　　　　　　　　加倉井秋を






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山門の脇に色濃し鳥かぶと　　　　　　　　　　　大津千恵子


霊山の峰に群れ咲く鳥兜　　　　　　　　　　　　　河西郁代



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