9月 11日

2020-09-10 13:39:03 | Weblog
                         秋刀魚・さいら・サンマ


     うつくしく秋刀魚の骨を残しけり        河原地英武


     窯焚きの燠で焼きたり新秋刀魚         矢野孝子


     祭壇に昆布と秋刀魚神饌として         中根多子


     スコップで秋刀魚の箱へ氷投ぐ         鈴木みすず


     防災の七輪で焼く大秋刀魚           加藤百世


     無愛想は薩摩の気風秋刀魚焼く         齋藤眞人


     酒美味し腹の苦みの初さんま          武藤けい子


     大漁旗掲げ秋刀魚のつかみ取り         小田二三枝


     秋刀魚焼く火伏せの護符を煙らせて       坪野洋子


     夕暮れや母に教はるさんま飯          松原和代


     酒旨し焦げ目程良き初秋刀魚          瀬尾武男


     水揚げの秋刀魚クレーンで吊り下ろす      豊田紀久子


     秋刀魚焼く向ふ三軒両隣            山本法子



          



     さんま焼くや煙突の影のびる頃         寺山修司


     風の日は風吹きすさぶ秋刀魚の値        石田波郷


     火だるまの秋刀魚を妻が食はせけり       秋元不死男


     秋刀魚焼く煙りの中の割烹着          鈴木真砂女 


     塩秋刀魚おのが油の火に焼かる         きくちつねこ


     秋刀魚焼くレモンのやうな月が出て       西村和子 


     ぼうぼう焼く男盛りの青秋刀魚         武田和郎



          
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9月 10日

2020-09-09 12:47:30 | Weblog
                         藪からし・貧乏蔓 

          名前の由来は繁殖力が非常に強く,竹藪なども 枯らすほど繁茂することからまた,
          別名は庭の手入れどころではないような荒れ放題の貧乏の家でよく見られることからなんて
          酷い言われようですね


     藪からし枯れてゆく時みやびやか        細見綾子


     業平の井筒にからむ藪からし          牧野一古


     猫多き陶器の街や藪枯らし           田畑 龍


     売家の看板覆ふ藪枯らし            加藤百世


     孔子像の裾に茂れり藪枯らし          武藤光晴


     生垣の貧乏かづら引きおろす          竹中和子


     寄せ墓を覆ひ尽くせり藪からし         市江律子


     木喰の里静まれり藪からし           石原進子


     藪枯らし絡む陣馬の馬防柵           服部鏡子


     渡し場の踏板覆ふ藪からし           山本法子



          



     藪枯しなまなましさよ野分過          能村登四郎


     月の出て蔓先潤ふ藪からし           岸田稚魚


     ぬかるみに土器の一片藪からし         佐藤鬼房


     まぎれ咲くからすうりあり藪からし       水原秋櫻子


     藪からし石切の棲む石の谷           下田 稔


     あるといふところにありし藪枯         星野立子


     古池のはたと日暮るる藪からし         上林孝子



          
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9月 9日

2020-09-08 14:18:15 | Weblog
                         白露(処暑の後15日目、9月8日頃)

          2020年の白露は、9月7日から9月21日です。
          白露は二十四節気のひとつ,白露は毎年9月7日頃~9月22日頃にあたりますが、
          日付が固定されているわけではありません。二十四節気は1年を太陽の動きに
          合わせて24等分して決められるので、1日程度前後することがあるからです。
          なお、白露といっても、白露(二十四節気の第15)から秋分(二十四節気の第16)
          までの期間をさす場合と、「今日は白露です」のように白露に入る日をさす場合があります。
          今日の写真は白露の旬の食べ物 かぼす・いちじく・梨を掲載しました


     本棚に古白遺稿や白露の日           栗田やすし


     蔵壁を白露の夕日移りゆく           清水弓月


     髪染めて出稽古に行く白露の日         小島千鶴


     空海の霊泉を汲む白露かな           長崎眞由美


     奈良町で茶粥を食ぶる白露かな         武田明子


     山畑に人影動く白露かな            中川幸子


     命名の筆をおろしぬけふ白露          小田二三枝


     ひそやかに藍の息継ぐ白露かな         小田和子


     墨の香に部屋を潤す白露かな          松平恭代


     城仰ぐ句碑に白露の風渡る           尾関佳子


     鐘の音の湖にひびける白露かな         関根近子



          



     草ごもる鳥の眼とあふ白露かな         鷲谷七菜子


     漬梅の紅のひと粒白露の日           飯田龍太


     白露に阿吽の旭さしにけり           川端茅舎


     白露にて已が咀嚼にも親しみぬ         森 澄雄


     白露の籬をへだてて桂川            石原八束


     今日も又銀座の夜を歩す白露          稲畑廣太郎


     粥食つて腹透き徹る白露かな          福永耕二




          
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9月 8日

2020-09-07 12:39:00 | Weblog
                          女郎花・粟花・男郎花 

          女郎花(オミナエシ)の名前の由来は、小さな黄色のお花が粟粒に似ているところから。
          粟飯(あわめし)の別名、女飯(おみなえし)が変化したとも言われています。
          もうひとつの説はオミナエシのヘシは圧しを意味し、
          花の可愛らしさは人間の美女も圧倒するぐらいという説もありました。
          女郎の漢字が、女性を意味する言葉になったのは平安時代。
          女郎とは、貴族の女性(高貴な女性)を表す言葉だったのです。
          ( 今日もすべてサイトの知識拝借致しました )


     木と成れり歌垣原の女郎花          沢木欣一


     朝の汽車すこやかに露女郎花         細見綾子


     どしゃぶりの箱根峠や男郎花         栗田せつ子


     野の花にひときは高し女郎花         磯田なつえ


     庄川に渡しの跡や男郎花           夏目悦江


     痩身の師の忌や風の男郎花          山 たけし


     蛸壺に溢るるばかり女郎花          加藤雅子


     放鶏の四五羽が庭に女郎花          武藤光晴


     をみなへし押花にして旅終る         小澤明子


     日の斑揺る養蜂箱や男郎花          八尋樹炎


     業平の寺に一叢男郎花            長崎眞由美


     女郎花揺れ合ふ霧の船つき場         岩城のり子



          

            男郎花(をとこえし)



     波立てて霧来る湖や女郎花          水原秋櫻子


     掌にこぼれ五弁仔細に男郎花         富安風生


     手折らむに根こそぎ抜けて女郎花       辻 桃子


     釣堀の池の出島の女郎花           上野 泰


     ありやなしや将門の首男郎花         逸見真三


     昼闇にかたまりやすく女郎花         宇多喜代子


     はは恋の風ぬけやすき女郎花         上原多香子



          
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9月 7日

2020-09-06 15:10:43 | Weblog
                         桔梗・きちかう・ききやう・沢桔梗

     おもかげをさだかにしたり白桔梗        細見綾子


     前裁に貧しき桔梗茎からむ           沢木欣一


     木道をはみ出してをり沢桔梗          山口秀子


     母いつも人待つ暮し白桔梗           鈴木真理子


     沢桔梗その紫の滴れり             八尋樹炎


     桔梗や朝の茶席のほの暗し           鈴木英子



          



     桔梗一輪馬の匂ひの風動く           飯田龍太


     白桔梗百日経を写しては            寺井谷子


     むらさきの山気そのまま沢桔梗         渡辺恭子


     沼の辺の踏み場なかりし沢桔梗         小路紫峡


     ひとところ水まつすぐに沢桔梗         高橋悦男


     ほの暗き京の老舗や白桔梗           岡部名保子


     光秀の社も城も桔梗咲く            西田円史




          

             沢桔梗
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9月 6日

2020-09-05 15:57:05 | Weblog
                         綾子忌・綾子の忌

          俳人細見綾子の忌日。1907年3月31日 - 1997年9月6日)は、兵庫県出身の俳人。
          松瀬青々に師事、「倦鳥」を経て「風」創刊時より 同人。翌年、俳人、沢木欣一と結婚。
          後、「風」編集発行人。句碑は犬山城が見下ろす国宝「如庵」のある有楽苑入口に建立
          「 木曽川を見おろして城冴え返る 」



     今もなほ師の手の温み綾子の忌         栗田やすし


     綾子忌や句碑の温みを手の内に         河原地英武


     今年また青空賜ふ綾子の忌           国枝隆生


     萩咲いて風新しき綾子の忌           倉田信子


     棗の実雨に色づく綾子の忌           栗田せつ子


     秋草の色みなやさし綾子の忌          上田博子


     綾子の忌空美しくあたらしく          伊藤 範子


     赤極む珊瑚樹の実や綾子の忌          田畑 龍


     吾亦紅ひとつ紅濃き綾子の忌          国枝洋子


     犀川にかはせみ飛べり綾子の忌         矢野愛乃


     みそはぎを一輪挿に綾子の忌          近藤文子


     奈良百句写し終へたり綾子の忌         青木しげ子


     綿の実の弾けし今朝は綾子の忌         大島知津



          



     綾子の忌壷に高きは吾亦紅            滝沢伊代次


     柿太り初むると思ふ綾子の忌           深川知子


     珠洲焼に秋海棠活け綾子の忌           前 孝治


     綾子忌の風に穂をあぐ藍の花           鈴木千恵子


     綾子忌の月のあまねし卯辰山           井上智子




          
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9月 5日

2020-09-04 13:06:02 | Weblog
                         野分・野分雲・野分晴

        かつて、台風のことを野分(のわき)と呼んでいましたが、正確には秋に吹く暴風のことを指します。
        ハリケ-ンという名称も、元は強い暴風のことを指していたようです
        もともと日本語に「台風」という言葉そのものが無く、それまでは「野分」を使用していました。
        台風は英語のtyphoonからとったと言われていて、大正時代頃から使われるようになったようです。
         ( すべてサイトから知識をお借りしました)
        現在、日本の南の海上を非常に強い台風が北西に進んでいます
        台風にせよ野分にせどうぞ細心のご注意でお過ごしください



     野分あと雲のやさしくなりにけり        沢木欣一


     初野分母をへだててしまひけり         細見綾子


     木つ端浮く野分濁りの隅田川          栗田やすし


     明日香路の小流れ迅し野分晴          中村修一郎


     葛根湯喉に残れり野分の夜           奥山ひろ子


     野分晴てんやわんやの千切雲          夏目隆夫


     屋根に干す朱泥の壺や野分晴          栗田せつ子


     野分雲割つて日矢差す九十九里         武藤光晴


     野分雲小舟曳きゆく空らの舟          伊藤範子


     野分だつ雲に隠るる阿蘇五岳          若山智子


     浅草へ野分濁りの川上る            林 尉江


     屋敷畑なぎ倒し去る野分かな          古田富美子


     潮やけの甘蔗の葉白む野分あと         平 千花子



          
     


     真向より礫まじりの野分吹く          能村登四郎


     泣きさうな人の顔見し野分かな         廣瀬直人


     サーフアーに天地逆しま野分波         野澤節子


     硯洗ひ野分の端に波郷病む           秋元不死男


     石を出て石に帰れず野分仏           加藤秋邨


     理髪師にひげそられ街に野分満つ        有馬朗人


     大いなるものが過ぎゆく野分かな        高浜虚子


     芭蕉野分して盥に雨を聞く夜かな        松尾芭蕉



          
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9月 4日

2020-09-03 14:01:24 | Weblog
                          秋明菊・貴船菊


     とぎ汁を秋明菊に注ぎやる           栗田やすし


     秋明菊群れ咲く一茶位牌堂           中根多子


     遺髪塚秋明菊の揺れ止まず           河合義和


     秋明菊咲く鷹城の野面積            熊澤和代


     丈草井秋明菊の咲き乱る            高木佐知子


     湯治場や秋冥菊の白まぶし           菊池佳子



          



     秋明菊ゆふべ黒髪おそろしき           鍵和田釉子


     名を聞きてよりしみじみと貴船菊         片山由美子


     僧房の月の秋明菊の畑              黒田杏子


     みちのくの月をかかげて貴船菊          野見山朱鳥


     長雨の皆下向きに貴船菊             寺田順子


     干傘が秋明菊をこぼしけり            高田洋子



          
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9月 3日

2020-09-02 14:13:12 | Weblog
                         秋の蝶・秋蝶


     わが細き影をよぎれり秋の蝶          栗田やすし


     秋草に一片墜ちし交い蝶            沢木欣一


     秋の蝶固きコンクリート嗅いでゆく       細見綾子


     秋の蝶笈摺堂に翅たたむ            都合ナルミ


     青空をすべり堕ちたる秋の蝶          江口ひろし


     秋蝶の影もつれあふ陣場跡           栗田せつ子


     秋蝶のもつれて舞へり師弟句碑         鈴木みすず


     海渡る山車に追ひつく秋の蝶          牧野一古


     糶終へし市の暗みに秋の蝶           武藤光晴


     秋の蝶文士の墓に翅たたむ           鈴木真理子


     供花のなき司祭の墓に秋の蝶          菊池佳子


     秋の蝶みねのお墓に低く舞ふ          渡辺かずゑ


     秋蝶の二羽飛び交へり子規の庭         豊田紀久子



          



     秋の蝶鳴門の潮に見失ふ            相川やすゑ


     秋の蝶利島へ紺の海十里            和泉 好


     草にある午前のしめり秋の蝶          鷲谷七菜子


     秋蝶の撞かずの鐘にきて遊ぶ          道川虹洋


     まつしろな秋蝶轢いたかもしれぬ        夏井いつき


     秋の蝶磐石に鈴振る如し            小川軽舟


     山の雨縫うて気儘や秋の蝶           西村和子




          
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9月 2日

2020-09-01 15:36:13 | Weblog
                         鳳仙花・爪くれない・つまべに・つまぐろ


     鳳仙花赤散る雨の降りはじめ          細見綾子


     病癒え髪梳く母や鳳仙花            田畑 龍


     鳳仙花襁褓干しある島の路地          内田陽子


     鳳仙花はじけてゐたり祖母の墓         横森今日子


     はじけ飛ぶ三年二組の鳳仙花          近藤文子


     荒磯の風に弾けし鳳仙花            小原米子


     鳳仙花自我に目覚めし少女の眼         上村龍子


     蛸壺に海女の育てし鳳仙花           長江克江




          



     鳳仙花がくれに鶏の脚あゆむ          福永耕二


     軽雷の置き去る雨や鳳仙花           水原秋櫻子


     鳳仙花はぜる木曽路の細格子          上田千登子


     降り足らぬ砂地の雨や鳳仙花          杉田久女


     初めての町なつかしき鳳仙花          角川春樹


     鳳仙花触れずに弾ぜし陽の匂ひ         松浦静香


     そば通るだけではじけて鳳仙花         川口咲子



          
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