9月 21日

2020-09-20 18:30:43 | Weblog
                          敬老の日、老人の日


     日もすがら山葵の根分け老人の日        沢木欣一


     敬老日干菓子配られ戸惑へり          栗田やすし


     敬老の日やネクタイは久し振り         櫻井幹郎


     紅差して市長待つ母敬老日           矢野孝子


     人肌に燗して手酌敬老日            中山敏彦


     三歳のガールフレンド敬老日          丹羽一橋


     大正のオムライス食ぶ敬老日          岡島溢愛


     理髪椅子神父をのせて敬老日          朝倉和江


     ファックスで似顔絵とどく敬老日        牧 啓子


     敬老日夫の夕餉にオムライス          生川靖子


     老老の介護に倦みし敬老日           田畑 龍


     児より届くハートのメール敬老日        廣島幸子



          



     敬老の日の眉長き師にまみゆ          福永耕二


     顔つつむ敬老の日の蒸タオル          水原秋櫻子


     売れ残る敬老の日の祝菓子           七田千代子


     朱の椀にみづからを祝ぐ敬老日         松本 美簾


     区長代理来て敬老の日なりけり         安住敦


     敬老の日のコーヒーのアメリカン        村本畔秀


     雀来て敬老の日の雨あがり           吉田鴻司




     
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9月 20日

2020-09-19 17:56:35 | Weblog
                         秋彼岸・後の彼岸・秋彼岸会


     鵜の川の石白々と秋彼岸            栗田やすし


     浅草に雉子吊し売る秋彼岸           細見綾子


     秋彼岸雲脱ぎし富士紫に            中村たか


     衛星の淡き航跡秋彼岸             畑 ときを


     秋彼岸仏足石の水たまり            大平敏子


     青空へ寝釈迦仰向く秋彼岸           片山浮葉


     秋彼岸位牌の数のお萩買ふ           安藤幸子


     秋彼岸仮本堂で忌を修す            川地哲清


     病む母の白髪を梳けり秋彼岸          清水聡子



          



     あだし野の秋の彼岸の仏道           倉田 紘文


     樹下賑やか秋の彼岸の見舞客          石田波郷


     さびしさは秋の彼岸のみづすまし        飯田龍太


     深川は水場の秋の彼岸かな           久保田万太郎


     駄菓子函秋の彼岸を積み重ね          久米三汀


     秋彼岸いろを灯して絵蝋燭           梶山千鶴子


     うまさうに見れば彼岸の燒茄子         正岡子規




          


     
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9月 19日

2020-09-18 13:16:31 | Weblog
                       子規忌・糸瓜忌・獺祭忌

          9月19日は正岡子規の忌日、糸瓜忌、獺祭忌ともよばれています


     法隆寺の子規忌の雨の萩思ふ            細見綾子


     獺祭忌紙切る鋏街に買ふ              沢木欣一


     風呂敷を教卓で解く獺祭忌             栗田やすし


     抽斗に遺りし薬獺祭忌               中村たか


     本棚の一書斜めや糸瓜の忌             二村美伽


     家計簿の余白に一句獺祭忌             森垣一成


     子規いつも横顔ばかり子規忌くる          山 たけし


     衣被塩で味噌でと獺祭忌              齊藤眞人


     禿び筆を風に晒せり獺祭忌             近藤文子


     獺祭忌朱の線多き夫の辞書             足立サキ子


     白粥に梅干し一つ獺祭忌              熊澤和代



          

             根岸 子規庵



     句修行の三十路に入りぬ獺祭忌           水原秋桜子


     去る者を追はず天下の子規忌かな          阿波野青畝


     歯を借りて包帯むすぶ子規忌かな          秋元不死男


     妹のそののち知らず獺祭忌             行方克己


     さび鮎をつつく宵得し子規忌かな          石田波郷


     沖の月子規忌のけふを照らしけり          佐野まもる


     その庭の荒びしままの子規忌かな          長谷川櫂



          

            子規病臥の間より庭をのぞむ


     
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9月 18日

2020-09-17 14:39:08 | Weblog
                        吾亦紅・白吾亦紅・吾木香・われもかう


     吾亦紅ぽつんぽつんと気ままなる             細見綾子


     湖に音なき雨や吾亦紅                  江口ひろし


     抜きん出て風に応ふる吾亦紅               坪野洋子


     師の句碑に久闊の友吾亦紅                平松公代


     陶房の裏の日溜り吾亦紅                 舩橋 良


     ぽつぽつと夕日の中の吾亦紅               谷口千賀子


     吾亦紅寂しさうとも気ままとも              堀 一之


     風くれば影失へり吾亦紅                 山本悦子


     吾亦紅影濃く映り綾子句碑                松本恵子


     吾亦紅束ねて売れり道の駅                大倉カツ江


     句碑すでに地になじみをり吾亦紅             牧野一古


     山の陽を集め色濃し吾亦紅                市川克代


     吾亦紅句碑に供ふる師の忌日               桜井節子



          

            ながほのしろ吾亦紅



     吾亦紅夕日といへど眼に痛し               福永耕二


     下北のこれは白花吾亦紅                 黒田杏子


     吾亦紅霧にころころしてゐたり              矢島渚男


     吾亦紅さやぐ背川の芋水車                石原八束


     草の中すいと抜けたる吾亦紅               高木晴子


     生まれたるままの身がよし吾亦紅             福田甲子雄


     綾子の忌壷に高きは吾亦紅                滝沢伊代次



          
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9月 17日

2020-09-16 17:27:50 | Weblog
                        鶏頭・鶏頭花


     鶏頭のくれなゐ黒をきはめたる              沢木欣一


     いま漉きし紙鶏頭の庭に干す               栗田やすし


     鶏頭を三尺離れもの思ふ                 細見綾子


     鶏頭のひときは朱き母の墓                上杉和雄


     ぐい呑みの厚き手触り鶏頭花               石原筑波


     子規庵の錆びし庇や鶏頭花                鈴木みすず


     鶏頭の火の付きさうな一揆村               坪野洋子


     空青し美瑛の丘に鶏頭燃ゆ                太田滋子


     トロ箱に鶏頭咲かせ路地住ひ               江口ひろし


     山車蔵の板目あせたり鶏頭花               溝口洋子


     種こぼす引込み線の鶏頭花                大島知津


     盥水垂らし鎌研ぐ鶏頭花                 渡辺久美子


     槍鶏頭洗ひざらしの空を突く               熊澤和代



          

             槍鶏頭



     泣く吾子を鶏頭の中に泣かせ置く             福永耕二


     命美し槍鶏頭の直なるは                 石田波郷


     わがために径に縁なす槍鶏頭               山口青邨


     鶏頭を火と見る齢過ぎしかな               林 翔 


     鶏頭も暮れゆく靄をまとひけり              水原秋櫻子


     恋果てゝ鶏頭の紅にも無心                鈴木真砂女


     いとけなき鶏頭月光菩薩かな               夏井いつき



          

             とさか鶏頭
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9月 16日

2020-09-15 14:04:37 | Weblog
                         竜胆・りんだう・笹竜胆・蔓竜胆


     阿弥陀仏山りんだうの供へあり         細見綾子


     鎖場の岩に張り付く蔓龍胆           国枝洋子


     岩滑り落つる水透く濃竜胆           山 たけし


     月山の雨に竜胆色深む             伊藤克江


     木道に憩ふ老婆や濃りんだう          滝沢昇二


     りんだうの束ごと並べ母の葬          服部萬代




          

            蔓竜胆



     空の瑠璃ここにしたたる竜胆花         太田鴻村


     竜胆や嶺にあつまる岩の尾根          水原秋櫻子


     りんだうの三つかたまりて一つ咲き       高木晴子


     壺に挿す星のしづくの濃竜胆          神蔵 器


     竜胆や少女の腰に山刀             西本一都


     栞りたる竜胆色を失はず            加藤三七子


     病む色ぞ霧が看とりの濃りんどう        秋元不死男




          
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9月 15日

2020-09-14 13:32:19 | Weblog
                        燕帰る・帰燕・帰る燕・去る燕・玄鳥去る

          9月7日~21日頃 二十四節気,白露の末候「燕去る」です
          ツバメたちが、冬を前に南の国へ旅立つ時季です。


     去る燕水に幾度も触れゆけり         細見綾子


     四阿に石の円卓燕去る            沢木欣一


     低く飛ぶ秋吉台の帰燕かな          栗田やすし


     ひとしきり群れて明日去る燕かも       下里美恵子


     峡の空帰燕の群の飛び巡る          清水弓月


     飛鳥寺の鐘ひびく空燕去る          栗田せつ子


     出撃せし沖へ帰燕の盛んなる         国枝隆生


     雲ひとつ燕帰りし城の空           梅田 葵


     去ぬ燕米屋に二つ巣を残し          福田邦子


     岬鼻は帰燕の空となりにけり         丹羽一橋


     国後の見ゆる峠へ去ぬ燕           若山智子 


     燕去ぬ砂丘に砂のさ走る日          伊藤旅遊



          



     列車待つ我も帰燕の群の中          有馬朗人


     海峡を帰燕にはやき一羽ゆく         能村登四郎


     いぶしたる炉上の燕帰りけり         河東碧梧桐


     燕去る鶏鳴もまた糸のごと          飯田龍太


     分校に下りて憩へる帰燕あり         飴山 實


     絶壁に波打つ別れ燕去る           池内友次郎


     安房一島置きざりにして燕去る        佐川広治




          
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9月 14日

2020-09-13 13:24:57 | Weblog
                         水引草・水引の花・銀水引・御所水引


     滝への道水引草のぬるる道           細見綾子


     風葬の地の供華ならむ水引草          伊藤旅遊


     帝井の裏の水引咲き揃ふ            長崎眞由美


     楸邨の飛蝗の句碑や水引草           武藤光晴


     山寺の水引草や雨きざす            厚味當子


     石佛に水引草の紅こぼれ            牧 啓子


     人住まぬ庭に水引草こぼる           中根多子


     水引のひと叢赤し一茶句碑           成田久子


     水引の花に一つづつ雨の玉           武山愛子


     塗り剥げし母の庭下駄水引草          ころころ



          

             金水引



     銀水引命の綱と人かなし            山口青邨


     水引に女人高野のざんざ降り          大峯あきら


     信玄が六女の寺の水引草            藤田あけ烏


     水引の白のかなしき自刃の地          鷹羽狩行


     仕掛けあるごとく水引ゆれてをり        藤岡筑邨


     水引草身は老いて眼は老ゆまじや        林 翔


     水引やひねもすそこに眠り猫          石田波郷



          


     


     
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9月 13日

2020-09-12 16:49:41 | Weblog
                         曼珠沙華・彼岸花・死人花・まんじゅさげ・捨子花

          彼岸花にはどちらかと言うと縁起の悪い名前がついていますが
          それなりの理由が有るそうです
          彼岸花は球根植物です いつか先祖縁者が植えなければ増えません
          球根には毒があり子供たちに触らせないために、そして
          その毒は水性なので丁寧に水にさらして毒ぬきをすれば球根はでんぷん
          なのでいざ飢饉などの非常食料となるから手を出さないようにという
          事だそうです。曼珠沙華は梵語で赤い花の意。



     行く水のまがね光りや曼珠沙華         沢木欣一


     寂光といふあらば見せよ曼珠沙華        細井綾子


     山の日や畦伝ひ咲く曼珠沙華          栗田やすし


     古戦場土手に真紅の曼珠沙華          上杉和雄


     曼珠沙華手折ればぽきり青き音         山田悦三


     本郷の露地の深きに曼珠沙華          森垣一成


     曼珠沙華葉となりゐたり石舞台         佐々木美代


     過疎村の寺へ列なる曼珠沙華          武藤光晴


     長雨におじぎし合へる彼岸花          金原峰子


     日に燃えて茎ひややかな曼珠沙華        足立サキ子


     彼岸花さんばら髪の如く果つ          山本法子


     父母逝きて身近になりし彼岸花         栗生晴夫


     彼岸花番場の宿へ一里てふ           山本悦子



          



     ダム開くや吹きすさぶ白彼岸花         澁谷 道


     湖の色すでに寂びたり曼珠沙華         水原秋櫻子


     まんじゆさげ月なき夜も蘂ひろぐ        桂 信子


     逆臣のひとりか白く曼珠沙華          宇多喜代子


     出雲路の雲紡ぐかな曼珠沙華          吉田鴻司


     捨子花顔仰向くるあはれなり          岡本 眸


     とび火して空へつづけり曼珠沙華        今瀬剛一




          
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9月 12日

2020-09-11 13:16:24 | Weblog
                          数珠玉・ずずだま・とうむぎ


     数珠玉を政子産湯の井にこぼす          栗田やすし


     数珠玉を押し分けて乗る潮来舟          都合ナルミ


     数珠玉を一輪挿しに鴫立庵            下里美恵子


     数珠玉や湧き水の鳴る寺の径           漆田一枝


     おかつぱの掌に光りたる数珠の玉         菊池佳子


     数珠玉や川風通る糸干場             関根近子



          



     数珠玉の枯れて現る一水路            冨田みのる


     数珠玉や野川ここより北へ急く          石田波郷


     ずずだまの穂にうすうすととほき雲        長谷川素逝


     数珠玉の結び初めたる隠れ井戸          呉屋菜々


     数珠玉や鶏がかほ出す札所寺           関戸靖子


     日照雨して数珠玉は実のうらわかし        石田いづみ


     数珠玉や歩いて行けば日暮あり          森 澄雄



          
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