10月 12日

2020-10-11 13:54:03 | Weblog
                        撫子・なでしこ・瞿麦・牛麦

           秋の七草のひとつ「撫子」万葉集の中にも多く歌われています
           期せずして準備していた記事に10月11日のNHKのEテレが
           「万葉の花」この撫子でした
           なんと大伴家持は23首も歌っているとの事
           河原撫子(大和撫子)は「撫でし子」を掛詞にすることが多いそうです



     撫子の花野浄土となりにけり          沢木欣一


     撫子の句碑になでしこ早や咲きて        細見綾子


     尼御前の海へ撫子投じけり           中川幸子


     撫子に雨脚強し休め窯             長江克江


     撫子の白も咲きけり母の畑           松永敏枝



          

            河原撫子


          

            虫取撫子



     岬に咲く撫子は風強ひられて          秋元不死男


     吹かれゐる浜撫子にあそび海女         木村蕪城


     撫子やぬれて小さき墓の膝           中村草田男


     野仏の供華に虫取撫子も            松崎鉄之介


     分校の子に撫子のひるの雨           大峯あきら


     浜撫子いまだ心の喪を解かず          鈴木真砂女 


     魂去るや唐撫子の紅の中            飯田龍太




          

             蝦夷撫子(浜撫子)
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10月 11日

2020-10-10 14:20:55 | Weblog
                         通草・あけび * 郁子(むべ)・郁子の実


     顔埋めて大き通草の実を舐むる         栗田やすし


     枯れあけび宙にもつれて炎の形         細見綾子


     通草の実雨に色づく行者径           岸本典子


     宿坊のとろりと甘き通草味噌          栗田せつ子


     通草の実数へて通る下校の子          森垣一成


     蔓つきの通草売りをり道の駅          丹羽一橋


     朝市の笊に笑みたる通草かな          朝比奈照子


     水ひびく丸子の里の熟れ通草          矢野愛乃



          


     林ゆく雨や通草がぬれしのみ          水原秋櫻子


     通草採野猿に頭上越されけり          門 みのる


     熊除の鈴のかがやく通草山           福田甲子雄


     通草もぐふと晴天のでき心           今瀬剛一


     米櫃に熟れし通草をもてなさる         滝沢伊代次




          


     岩肌に郁子の実垂るる奥大井          中村修一郎


     口中に種およがせて郁子喰ぶる         上田博子


     郁子の実の夕焼色や掌にぬくし         井沢陽子


     郁子の実をぶら下げ訪へり綾子の碑       澤田正子


     珈琲の香るアトリエ郁子熟るる         佐々木美代子




          


     郁子一つ芭蕉生家の文机に            宮下翠舟


     峠路や俯向きて受く郁子の雨           岸田稚魚


     約束の郁子提げて夫見舞ふなり          石田あき子


     郁子の門訪ねあぐねて能勢にあり         後藤比奈夫


     寺男愛想なくて郁子熟るる            上田五千石



     
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10月 10日

2020-10-09 15:06:08 | Weblog
                        柿・柿干す・熟柿、・吊し柿


     柿の朱を点じたる空こはれずに         細見綾子


     柿実る幹黒き辺にまた逢はめ          沢木欣一


     柿熟す馬籠の空に昼の月            栗田やすし


     掌に茶碗のごとく熟柿受く           河原地英武


     やはらかき光差しけり吊し柿          梅田 葵


     色づくは渋柿ばかり揖斐の里          中山敏彦


     柿熟るる千年坐りゐる仏            栗田せつ子


     柿の実の色づく綾子生家かな          小島千鶴


     家苞に夕日まみれのあんぽ柿          武藤光晴


     山柿に日ざし移れり都府楼址          倉田信子


     煙立つ京の銭湯柿の秋             立川まさ子


     柿たわわ山慮へつづく石畳           磯田なつえ


     茅葺きの郵便局や柿熟るる           長谷川しげ子


     老いばかり残るふるさと柿熟す         玉井美智子



          



          



     柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺          正岡子規


     渋柿に遊びごころの鵙来をり          福永耕二


     もぎ竿の届かぬ柿が甘さうな          月形幸子


     柿の種うしろに吐いて闇深し          秋元不死男


     ふるさとの四方の畑の出荷柿          阿波野青畝


     柿点す峠これより伊賀へ入る          加藤耕子


     こりこりと柿食む音のはや夜更け        大野林火



          


     
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10月 9日

2020-10-08 12:54:43 | Weblog
                        烏瓜


     色抜けていはほをつかむからすうり         沢木欣一


     異人館跡てふ高さ烏瓜               細見綾子


     たぐり寄す鵜糞まみれの烏瓜            下里美恵子


     猿除けの網に色付く烏瓜              矢野愛乃


     三輪山の夕日したたる烏瓜             高橋ミツエ


     枯れ際の色を濃くせりからす瓜           利行小波


     竹藪に絡みて熟るる烏瓜              中山ユキ


     山の辺の道にぬた場やからすうり          金原峰子


     廃校の裏山ともす烏瓜               桜井節子


     烏瓜枯れ切つてをり揺れてをり           森 靖子


     うどん屋の衝立に吊る烏瓜             田畑 龍


     からす瓜引けば陶土のうすぼこり          井沢陽子



          



     烏瓜すがるすべなく曳かれけり           山口青邨


     烏瓜赤き日向の山へゆく              森 澄雄


     何にでも化ける力の烏瓜              宇多喜代子


     烏瓜地蔵に似たる石ばかり             山田みづえ


     枯るる前すでに痩せたるからすうり         能村登四郎


     晴れきつてどこへも行けぬ烏瓜           今瀬剛一


     別るるや野分がゆする烏瓜             野澤節子



          
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10月 8日

2020-10-07 13:13:16 | Weblog
                         寒露

          二十四節気の17番目にあたる節気「寒露」とは、
          秋が深まり紅葉も色が濃くなり、朝露が冷たい頃を言います。
          と言っても明日明後日に日本列島に近づく台風十四号 秋台風の雨の被害は甚大です
          備えあれば患いなし どうぞお備え下さい



     寒露けふ杉玉青き酒の蔵            谷口由美子


     地卵が木箱で届く寒露かな           国枝隆生


     臥す母に今日は寒露と教へらる         山本光江


     蛸めしの湯気ほの甘き寒露かな         倉田信子


     函館の灯りかがやく寒露の夜          立川まさ子


     ふふみたる井戸水ぬくき寒露かな        関根近子


     旧友の本名忘る寒露かな            岡島溢愛


     焼岳に厚き雲湧く寒露かな           平松公代



          



     茶の木咲きいしぶみ古ぶ寒露かな       飯田蛇笏


     水底を水の流るる寒露かな          草間時彦


     汲み置きの水平らかに寒露の日        角川照子


     あをあをと芭蕉の裂くる寒露かな       黒田杏子


     目に見えぬ塵を掃きたる寒露かな       手塚美佐


     湖深く見えすぎる日の寒露かな        鷲谷七菜子


     朝粥を白しと食ぶ寒露かな          吉江十志




          
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10月 7日

2020-10-06 13:30:58 | Weblog
                         銀杏・銀杏の実


     鳥越の銀杏青実が落ちゐたり          細見綾子


     銀杏落つ仏足石の指の窪            栗田やすし


     銀杏や熟読したるレシピ本           河原地英武


     銀杏の色づく風や弁士塚            栗田せつ子


     銀杏落つ飢饉供養の石仏            武藤光晴


     銀杏を拾ふ銀行街に住み            伊藤範子


     銀杏落つ箒目しるき遊女寺           神尾朴水


     升売りの銀杏こぼる朝の市           松平恭代


     とめどなく銀杏降る日よ蟹薬師         澤田正子


     深夜バー焼銀杏に舌こがす           武長脩行


     青シート広げ銀杏打ち落す           櫻井勝子


     銀杏の踏まれてありぬ宮普請          辻江けい


     教室に銀杏匂へり父母の会           長岡安子



          



     ぎんなんをむいてひすいをたなごころ      森 澄雄


     ナース来て銀杏拾ふ夜勤明け          下山宏子


     宮守のぎんなん莚乾しひろぐ          石塚友二


     韓神の杜やぎんなん地に潰る          角川源義


     歯をもつてぎんなん割るや日本の夜       加藤秋邨


     ぎんなんを焼きてもてなすまだぬくし      星野立子


     法話きく目は銀杏を拾ふ子           田畑比古



          
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10月 6日

2020-10-05 11:36:19 | Weblog
                        木の実・木の実落つ・木の実独楽


     一遍像光るまなこに木の実落つ         細見綾子


     橡の実の小石にまじる焼き畑          沢木欣一


     人気なき不破の関跡木の実落つ         栗田やすし


     木の実落つ連隊跡の石の門           中村修一郎


     火焔塚拝む木の実に打たれつつ         都合ナルミ    


     鈴懸の実の明るさよ林火句碑          岸本典子


     一位の実色づく碌山美術館           佐藤とみお


     拓本の墨の湿りや木の実落つ          玉井美智子


     信長の夢の城跡木の実降る           伊藤範子


     撫子句碑抱く里山木の実降る          矢野愛乃


     木の実食む栗鼠を間近に露天風呂        熊澤和代


     溜りゐる木の実艶めく坂の窪          東口哲半



          



     よろこべばしきりに落つる木の実かな      富安風生


     妻の手に木の実のいのちあたたまる       秋元不死男


     たのしさや木の実のあまたポケットに      西村和子


     木の実独楽力尽きては実にかへる        山本 牧秋


     中宮寺香炉に木の実焚き添へて         大島民郎


     山中に喝と木の根をうつ木の実         福永耕二


     木の実独楽遠く住む子へまはしけり       高橋悦男



          
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10月 5日

2020-10-04 16:07:08 | Weblog
                        葛の花・葛の葉・真葛・真葛原・葛かずら


     伊良湖岬蔓引けば寄る葛の花          栗田やすし


     葛咲いて紙漉谷をおほふかな          細見綾子


     葛の花石の燈台明治調             沢木欣一


     土手高き火薬庫跡や葛盛ん           都合ナルミ   


     丹波路の川を狭めて葛咲けり          岸本典子


     葛の葉や石塔なべて兵の墓           伊藤旅遊


     葛匂ふむかし一揆のありし地よ         小島千鶴


     葛の葉や倶利伽羅峠雲奔る           石崎宗敏


     刈り伏せて葛の匂へり狼煙崎          若山智子


     廃線路覆ひつくせり葛の花           奥山ひろみ


     真葛原紅き花穂の立ち上がる          近藤きん子


     天ぷらにすと摘み来たる葛の花         夏目悦江


     しろがねの川へ迫り出す葛の花         幸村志保美



          



     馬子唄の鈴鹿はのこる葛の花          鈴鹿野風呂


     火の山へゆく花葛の径の幅           大峯あきら


     隠るるごと葉裏葛咲き奥石見          能村登四郎


     葛咲くや嬬恋村の字いくつ           石田波郷


     葛散つて浴後のごとき夕べかな         岡本 眸


     花葛の果ての果てまで昼の海          飯田龍太


     花葛やこはれさうなる昼の月          夏井いつき



          
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10月 4日

2020-10-03 15:43:26 | Weblog
                          棉・棉摘・棉吹く・棉取・棉の桃・桃吹く

           棉吹く/棉の桃/綿の実. 棉の蒴果が裂けて中の棉がふきだすこと、コットンボールといわれます
          それが桃の形状に似ていることから、「桃吹く」 とい い、俳句独特の表現ですね



     細々暮らす人が作りしか畑の棉         細見綾子


     棉の実が弾け三河路晴れつづく         梅田 葵


     綿弓を打ちたる宮司綿まみれ          牧野一古


     棉の実の一つ弾けし白さかな          武山愛子


     棉吹くや一際あをき朝の空           加藤ゆうや


     棉摘むや窯の煙突見ゆる畑           長江克江


     棉打ちの繭まで綿の飛び散りぬ         安藤幸子


     綿の実のはじけて峡の日和かな         日野圭子



          



     棉吹くや母が遺愛の糸車            栗田素江


     基督に肖し横顔が棉摘みに           平井さち子


     ゆつたりと桃吹く日なり根本寺         小枝秀穂女


     桃吹くや燦々と貧しかりし日          渋谷道


     腰布もサリーも汚れ棉車            佐々木とみ子


     紡げよと棉ことごとく吹く荒地         正木ゆう子


     桃吹くやお面をつけて子供来る         佐々木六戈




          
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10月 3日

2020-10-02 17:02:53 | Weblog
                        薄紅葉・初紅葉・早紅葉


     うすもみぢしてよそほへり滝の山      細見綾子


     初紅葉美濃と近江をひと跨ぎ        上杉和雄


     薄紅葉ピカソ観し目にやさしかり      佐藤とみお


     たたなはる山に朝日や初紅葉        谷口千賀子


     石垣の隙間に蔦の初紅葉          塩原純子


     谷渡る風にそよげり薄紅葉         鈴木未草


     野仏の並ぶ坂道薄紅葉           藤田英子


     薄紅葉二の丸茶屋に抹茶の香        日野圭子



          



     色付くや豆腐に落ちて薄紅葉         松尾芭蕉


     薄紅葉淵のいろくづ日のつつむ        小澤實


     簗掛けて高鳴る水や薄紅葉          松本たかし


     初もみぢ明かりの及ぶ岩湯かな        鷹羽狩行


     吊橋を拒む馬あり初紅葉           菅原鬨也


     一院のはたと明るき初紅葉          千原叡子


     薄紅葉マリアの像を島うらに         飯塚樹美子




          
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