７月 ２２日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　梅雨明け・梅雨あがる・送り梅雨



　　　　　　　　　　連日暑さの続く東京です　今日明日にも梅雨明け宣言が出る予報です
　　　　　　　　　　今日の季語「送り梅雨」丁度今頃梅雨があがるころの、大雨、雷鳴を伴う雨を言います



　　　　　　　　　　梅雨明けの夕日丹沢山に落つ　　　　　　　　　　　細見綾子


　　　　　　　　　　母の髪手櫛で梳きぬ送り梅雨　　　　　　　　　　　村瀬さち子


　　　　　　　　　　若冲の鶏の白さよ梅雨明くる　　　　　　　　　　　栗田せつ子


　　　　　　　　　　傘骨の曲りしままや梅雨の明　　　　　　　　　　　中斎ゆうこ


　　　　　　　　　　茹卵つるりと剥けて梅雨明くる　　　　　　　　　　篠田法子


　　　　　　　　　　仔狸が畑に顔出す梅雨あがり　　　　　　　　　　　右高芳江



　　　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　　　　塩倉にうねる太梁送り梅雨　　　　　　　　　　　　飯島晴子


　　　　　　　　　　百姓の大きな声に梅雨明くる　　　　　　　　　　　木村蕪城


　　　　　　　　　　梅雨明けや胸先過ぐるものの影　　　　　　　　　　吉田鴻司


　　　　　　　　　　素うどんに葱たつぷりと送り梅雨　　　　　　　　　水原 春郎


　　　　　　　　　　梅雨明けや深き木の香も日の匂　　　　　　　　　　林　翔


　　　　　　　　　　みちのくの古づけ噛んで送り梅雨　　　　　　　　　下田　稔



　　　　　　　　　　　　　　　　　　


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７月 ２１日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　蝉・初蝉・おし蝉・夕蝉・落蝉



　　　　　　　　　　一雨が洗ひし野川蝉鳴き出づ　　　　　　　　　　　　細見綾子


　　　　　　　　　　初蝉や卑弥呼の里の曲り角　　　　　　　　　　　　　国枝洋子


　　　　　　　　　　みんみんや谷の底なる一部落　　　　　　　　　　　　下里美恵子


　　　　　　　　　　白き翅かすかに震ふ羽化の蝉　　　　　　　　　　　　平松公代


　　　　　　　　　　少年のポケットに蝉鳴きやまず　　　　　　　　　　　矢野孝子


　　　　　　　　　　爪立てて殻抱きたる明けの蝉　　　　　　　　　　　　近藤文子



　　　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　　　　初蝉や久に風呂わくこのゆふべ　　　　　　　　　　　水原秋櫻子


　　　　　　　　　　じいと鳴く蝉それきりの朝ぐもり　　　　　　　　　　能村登四郎


　　　　　　　　　　臥して聞けば初蝉海に沁みわたる　　　　　　　　　　山口誓子


　　　　　　　　　　みづうみに出でし園児に松の蝉　　　　　　　　　　　飯田龍太


　　　　　　　　　　初蝉のためらふ声を書き出しに　　　　　　　　　　　秋元不死男


　　　　　　　　　　これもまた浪花の声の油蝉　　　　　　　　　　　　　鷹羽狩行



　　　　　　　　　　　　　　　　　　



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７月 ２０日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　西瓜・西瓜売り・西瓜畑・西瓜提灯　（秋季）



　　　　　　　　　　観音に西瓜供へて合掌す　　　　　　　　　　　　細見綾子


　　　　　　　　　　水黒き運河に割れし西瓜浮く　　　　　　　　　　栗田やすし


　　　　　　　　　　まづ一つ割つて見せたり西瓜売　　　　　　　　　関根切子


　　　　　　　　　　大西瓜載せて帰りぬベビーカー　　　　　　　　　小栁津民子


　　　　　　　　　　朝霧の中より西瓜売りの声　　　　　　　　　　　水野雅美


　　　　　　　　　　大西瓜刃先触るれば割れにけり　　　　　　　　　山下　護



　　　　　　　　　　　　　　　　　　


　　　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　　　　盧舎那佛西瓜まるごと供へられ　　　　　　　　　津田清子


　　　　　　　　　　かがよひて川波さびし西瓜売　　　　　　　　　　久保田万太郎


　　　　　　　　　　冷えきりし西瓜の肌の雫かな　　　　　　　　　　池内たけし


　　　　　　　　　　ふるさとのラベルのつきし西瓜買ふ　　　　　　　中條りつ子


　　　　　　　　　　小屋掛けてゆるゆると老い西瓜売　　　　　　　　鍵和田釉子


　　　　　　　　　　目隠しの中も眼つむる西瓜割　　　　　　　　　　中原道夫



　　　　　　　　　　　　　　　　　　


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７月 １９日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　万緑・萬緑



　　　　　　　　　　　万緑の中や吾子の歯生え初むる　　　　　　　　　　中村草田男


　　　　　　　　　　「萬緑の」は「萬緑（万緑）」という語を季語として初めて用い定着させた句で。辺り一面が草木の緑に
　　　　　　　　　　　覆われた状態を万緑（ばんりょく）と言う。初夏の新緑のみずみずしい緑よりも強い、真夏の深い緑



　　　　　　　　　　万緑の目にしむ伊賀と思ひをり　　　　　　　　　　細井綾子


　　　　　　　　　　万緑や書を借りて出る赤煉瓦　　　　　　　　　　　栗田やすし


　　　　　　　　　　万緑の正殿に置く石一つ　　　　　　　　　　　　　国枝隆生


　　　　　　　　　　万緑にせり出す寺の大舞台　　　　　　　　　　　　伊藤範子


　　　　　　　　　　万緑や鳥語それぞれ美しき　　　　　　　　　　　　武藤光晴


　　　　　　　　　　万緑の底に瀬音と磨崖仏　　　　　　　　　　　　　内田陽子



　　　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　　　　雲水の声万緑の堂に満つ　　　　　　　　　　　　　加藤耕子


　　　　　　　　　　水軍の島万緑に盛りあがり　　　　　　　　　　　　西村旅翠


　　　　　　　　　　カーテンは閉めじ万緑裡に寝ねむ　　　　　　　　　林　翔


　　　　　　　　　　万緑の仕上げの雨の五六粒　　　　　　　　　　　　岡本 眸


　　　　　　　　　　万緑の中の眼鏡のすきとほり　　　　　　　　　　　上野 泰


　　　　　　　　　　万緑や産声を待つ控室　　　　　　　　　　　　　　浅見まき子



　　　　　　　　　　　　　　　　　　



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７月 １８日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　極暑・酷暑・炎暑・溽暑・猛暑


　　　　　　　　　　　東京はまだ梅雨明け宣言もしていませんが連日の（16日35.3℃）（17日36.2℃）の猛暑日
　　　　　　　　　　　今日も予報は38℃　これも世界的な温暖化のせいなのでしょうか
　　　　　　　　　　　例年ならば梅雨明けからの暑さの本番ですが今年は水分補給としっかり休息をとって乗り切りましょう



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　　　　　オリーヴ葉カレーに煮込み酷暑なる　　　　　　　　細見綾子


　　　　　　　　　　　負け牛の目の血走れる炎暑かな　　　　　　　　　　栗田やすし


　　　　　　　　　　　丹念に雀酷暑の砂を浴ぶ　　　　　　　　　　　　　山本正枝


　　　　　　　　　　　酷暑かな厨に一日水使ひ　　　　　　　　　　　　　鈴木みすず


　　　　　　　　　　　集塵車唸りて来たる酷暑かな　　　　　　　　　　　横井美音


　　　　　　　　　　　窯の熱足よりのぼる炎暑かな　　　　　　　　　　　梅田　葵



　　　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　　　　　蓋あけし如く極暑の来りけり　　　　　　　　　　　星野立子


　　　　　　　　　　　白づくめ灯台立ちて炎暑来る　　　　　　　　　　　森田 峠


　　　　　　　　　　　内干しの玉葱小屋の猛暑かな　　　　　　　　　　　藤田あけ烏


　　　　　　　　　　　家にゐる限り子が居り日日炎暑　　　　　　　　　　上野さち子


　　　　　　　　　　　塩鮭の骨切る酷暑つゞきをり　　　　　　　　　　　右城暮石


　　　　　　　　　　　箸とれど極暑の膳の興もなや　　　　　　　　　　　水原秋桜子



　　　　　　　　　　　　　　　　　　



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７月 １７日 海の日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　海の日　夏の海・夏の潮・夏の湖・夏の波　



　　　　　　　　　　巫女が舞う緋の色冴えて夏の海　　　　　　　　　　　沢木欣一


　　　　　　　　　　夏潮に足浸けしのみ離島去る　　　　　　　　　　　　栗田やすし


　　　　　　　　　　夏の海見んとて砂丘ひた登る　　　　　　　　　　　　下里美恵子


　　　　　　　　　　原色のサーフボードや夏の海　　　　　　　　　　　　太田滋子


　　　　　　　　　　夏海や朱の回廊に釣燈籠　　　　　　　　　　　　　　市原美幸


　　　　　　　　　　日の入りしより夏潮の匂ひ濃き　　　　　　　　　　　中村清子



　　　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　　　　船に打つ五尺の釘や夏の海　　　　　　　　　　　　　渡邊水巴


　　　　　　　　　　かくまでに父似の男児夏怒濤　　　　　　　　　　　　宇多喜代子


　　　　　　　　　　七十の海女達者かや夏の海　　　　　　　　　　　　　阿波野青畝


　　　　　　　　　　屋上に宿名かゝげて夏の海　　　　　　　　　　　　　鈴鹿野風呂 


　　　　　　　　　　夏の夜の波止若者等来て占むる　　　　　　　　　　　中村汀女


　　　　　　　　　　乳母車夏の怒濤によこむきに　　　　　　　　　　　　橋本多佳子



　　　　　　　　　　　　　　　　　　




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７月 １６日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　芙蓉・酔芙蓉・白芙蓉



　　　　　　　　　　雲助の溜り場跡や白芙蓉　　　　　　　　　　　　栗田やすし


　　　　　　　　　　白きまま雨に昏れゆく酔芙蓉　　　　　　　　　　矢野孝子


　　　　　　　　　　深川や樽に咲かせし酔芙蓉　　　　　　　　　　　関根切子


　　　　　　　　　　紅芙蓉咲き裏道を明るくす　　　　　　　　　　　伊藤靖子


　　　　　　　　　　開かんと青味帯びたる白芙蓉　　　　　　　　　　中川幸子


　　　　　　　　　　酔芙蓉根こそぎ掘つて足場組む　　　　　　　　　伊藤範子



　　　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　　　　朝な梳く母の切髪花芙蓉　　　　　　　　　　　　杉田久女


　　　　　　　　　　料理屋の夜の間寂や白芙蓉　　　　　　　　　　　飯田蛇笏


　　　　　　　　　　ゆったりと着こなす齢酔芙蓉　　　　　　　　　　奥野晴山


　　　　　　　　　　一輪のはや大酔や酔芙蓉　　　　　　　　　　　　水原秋櫻子


　　　　　　　　　　満目の雲となりつつ芙蓉閉づ　　　　　　　　　　福永耕二


　　　　　　　　　　白芙蓉ふたたび交す厚き文　　　　　　　　　　　野澤節子 



　　　　　　　　　　　　　　　　　　



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７月 １５日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　青胡桃



　　　　　　　　　　一茶より北斎の径青胡桃　　　　　　　　　　　　　細見綾子


　　　　　　　　　　青胡桃峡の川底透けて見ゆ　　　　　　　　　　　　栗田やすし


　　　　　　　　　　青くるみ荒瀬へ枝を張りゐたり　　　　　　　　　　巽　恵津子


　　　　　　　　　　木曾谷へ枝垂れ影なす青胡桃　　　　　　　　　　　野島秀子


　　　　　　　　　　旧道はダム湖の底ひ青胡桃　　　　　　　　　　　　幸村志保美


　　　　　　　　　　石を積む余呉の岸辺や青胡桃　　　　　　　　　　　熊澤和代



　　　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　　　　青胡桃村家入口向きむきに　　　　　　　　　　　　中村草田男


　　　　　　　　　　三叉路の一つは海へ青胡桃　　　　　　　　　　　　鍵和田釉子


　　　　　　　　　　石仏寺守る一戸の青胡桃　　　　　　　　　　　　　つじ加代子


　　　　　　　　　　青胡桃飛ばして栗鼠ぞ木がくるゝ　　　　　　　　　石塚友二


　　　　　　　　　　咋日より今日影ひろげ青胡桃　　　　　　　　　　　中村汀女


　　　　　　　　　　ルーベンス満喫ふとる青胡桃　　　　　　　　　　　林 　翔 



　　　　　　　　　　　　　　　　　



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７月 １４日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　パリ祭・巴里祭


　　　　　　　　　　パリ祭の名で知られている、7月14日はフランス革命記念日です
　　　　　　　　　　半世紀前、銀座には知るだけで3件のシャンソン喫茶がありました　そしてこの日は巴里祭の
　　　　　　　　　　とトリコロールの小旗が街路に掛かっていました　　外国の記念日さえ俳句の季語として活きています
　　　　　　　　　　写真はマティス展より



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　　　　街灯に細き雨降るパリー祭　　　　　　　　　　　　下里美恵子


　　　　　　　　　　銀巴里で聞きしシャンソン巴里祭　　　　　　　　　伊藤旅遊


　　　　　　　　　　スカーフを小粋に結びパリー祭　　　　　　　　　　横井美音


　　　　　　　　　　擦り切れしレコードかけて巴里祭　　　　　　　　　近藤文子


　　　　　　　　　　タロットの恋の行方や巴里祭　　　　　　　　　　　ころころ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　　　　　火を吐いてみせる男や巴里祭　　　　　　　　　　　有馬朗人


　　　　　　　　　　　パリー祭靴直し屋の蝶ネクタイ　　　　　　　　　　毛塚静枝


　　　　　　　　　　　席いつもふたつづつ空く巴里祭　　　　　　　　　　橋本榮治


　　　　　　　　　　　パリー祭帽子売場に待合はす　　　　　　　　　　　田中照子


　　　　　　　　　　　パリー祭みどりのベレーを被らばや　　　　　　　　林　翔



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　


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７月 １３日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　百日紅・さるすべり



　　　　　　　　　　藁草履買ふ山麓の百日紅　　　　　　　　　　　　　　　栗田やすし


　　　　　　　　　　百日紅のみに風ある真昼かな　　　　　　　　　　　　　梅田　葵


　　　　　　　　　　南吉の借用証書百日紅　　　　　　　　　　　　　　　　片山浮葉


　　　　　　　　　　島のバス曲がりて散らす百日紅　　　　　　　　　　　　小原米子


　　　　　　　　　　百日紅雨に明るし石光寺　　　　　　　　　　　　　　　長江克江


　　　　　　　　　　ほろほろと百日紅散る苔の庭　　　　　　　　　　　　　河合義和



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　　　　女来と帯纏き出づる百日紅　　　　　　　　　　　　　　石田波郷


　　　　　　　　　　満月出て白さるすべり遊ぶごとし　　　　　　　　　　　森 澄雄


　　　　　　　　　　さるすべり百日過ぎし紅の濃さ　　　　　　　　　　　　鷲谷七菜子


　　　　　　　　　　暁の夢たゆたうて白さるすべり　　　　　　　　　　　　林 翔


　　　　　　　　　　百日紅まなじりに火の育つ日々　　　　　　　　　　　　福永耕二


　　　　　　　　　　百日紅その一日の真盛り　　　　　　　　　　　　　　　辻 桃子



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　


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