きのう店頭でお客さんと話していて、「日本酒は酒類が多くて何を選んでいいのかわからないし、高ければおいしいと思うけれどよくわからない。日本酒選びのコツを教えて・・・。」と聞かれました。確かに日本全国に蔵元はたくさんあって、販売店も専門店やスーパー、ディスカウントショップ、コンビニなどさまざまなところで売られています。
そんななかでの日本酒選びは大変です。ですから今回は日本酒選びについてお話いたしましょう。【保存版】
① 予算を決めるーーーーー。
たとえば1日1合飲めば1ケ月で30合。つまり一升瓶3本分になり、1合¥300に設定すれば1ヶ月¥9.000の予算で一升瓶を3本買うことになり、同様に1合¥250設定であれば¥7.500となる。また週に2日お酒を飲まない日をつくれば、1日¥300の設定では月¥6.000で一升瓶2本。同じく¥250の設定では¥5.000となり¥2.500の一升瓶を2本購入することになる。先の1ヶ月¥9.000の予算だと¥2.500のお酒2本に¥5.000のお酒1本という組み合わせもできる。意外と無差別に盲目的に選ぶより、1日の予算を決めると日本酒選びが楽になる。
② 原料(酒米の酒類を)決めるーーーーー。
現実的に1本¥3.000のお酒はたくさんある。さらにここから絞り込むことが必要だ。酒米は、お値段の高いもの(酒造りに適した高品質なもの)を原料にして造られていればおのずと使用している原料という観点から見ればコストパフォーマンスに優れており、安い原料で造られたもので同じ価格であれば単純に割高になる。酒米は特上、特等、一等、二等、三等という5等級に分かれる。特A地区の酒米であれば一等米以下はほとんど出さないのでほぼ特Aと表記があれば高品質の酒米であると理解することができる。また一等米以下の原料を使用している場合それらの表記はまずされていないから注意が必要になる。つぎに精米歩合。純米タイプであれば70%以下が【純米酒】、60%以下が【純米吟醸】、50%以下が【純米大吟醸】という表記になり、アル添タイプの表記は同様に【本醸造】、【吟醸酒】、【大吟醸】となる。高精白になるほどコストがかかっているので、一升¥3.000で【純米大吟醸】、【大吟醸】はあまり存在しないので、特定名称が【純米吟醸】【吟醸酒】タイプで特A地区の原料を使用して造られたものであれば非常にお買い得なお酒であることがわかる。
③ 日本酒の【顔】裏貼りを見よーーーーー。
日本酒にはだいたい【胴貼り】【肩貼り】【裏貼り】が貼ってある。【胴貼り】は正面に大きく銘柄名が書かれている。【肩貼り】には特定名称や銘柄名、最近では原料米の品種、生酒、無濾過生原酒などアイテムに応じて書かれていることも多様化してきた。そして【裏貼り】、これが重要になる。ワインで言えばエチケットのようなものだ。写真を参考にしていただきたいのですが【まつのつかさ】、【2008】。ここでの【2008】は西暦2008年に造られたお酒という意味ではなく、醸造年度が2008という意味になる。西暦は1月1日~12月③1日までが1年とされるが、醸造年度は7月1日~翌年6月30日までを1年と数える。したがって現在は西暦2009年なのだが醸造年度でいうと2009年のお酒はまだこの世に存在していないことになる。英語ではBrewingYearsといい略して【BY】と表記する酒蔵もある。20BYとか19BYとは醸造年度のこと。次に写真を下に見ていくと、麹米:竜王町産山田錦25%、掛米:竜王町産吟吹雪75%という表記がある。ここでの25と75%は麹歩合を表し、山田錦で麹を造り、その3倍の量の吟吹雪で賭米をしたことになる。
吟吹雪の下の【環境こだわり農産物認証】の定義は以下のようになる。
化学合成農薬および化学肥料の使用量を慣行の5割以下に削減するとともに、濁水の流出防止など、琵琶湖をはじめとする環境への負荷を削減する技術で生産された農産物を県が「環境こだわり農産物」として認証する制度で滋賀県独自のもの。したがって吟吹雪は低農薬で栽培された滋賀県認証の酒米ということになる。
【裏貼り】の写真に戻ると、【精米歩合】【アルコール度】【日本酒度】【酸度】【使用酵母】の順に表記があり、【日本酒度】の+4表記があるが、日本酒の入門書などでは+が【辛口】―が【辛口】という記述があるが、ある蔵元さんに聞いた話なのですが、日本酒の平均日本酒度は+3で、実際には+3を岐点に+2以下が甘口、+4以上が辛口となるらしい。【酸度】の1.4は平均的でなかには2.0とか1.0などというものも存在する。【日本酒度】甘口の―2表記であっても【酸度】が2.2なら実際には辛く感じる。あくまでこのメーターは蔵元が計ったもので出荷時にはこれだけだったという指標にはなるが酒店で陳列、貯蔵されるうちに微妙に変化してくるので必ずしも数字どうりにはいかない。
次に【使用酵母】金沢とあるが、こちらはフルーティーな香りの酵母なので、果実系の香りのお酒だと想像できる。
【裏貼り】からは定評のある竜王町産の山田錦を麹米に使用し、低農薬栽培された品質保証付きの吟吹雪を掛け米に使用し、【日本酒度】も【酸度】も特出していないので、非常に香味のバランスのとれたフルーティーなお酒であると想像でき、アルコール度も平均的なので飲みやすさも兼ね備えていることがわかる。
これはあくまで、ぼくの主観ですので絶対的なものではありませんから参考までに・・・・。
③はある程度の日本酒経験が必要ですが、①と②なら比較的容易にできますから日本酒選びの参考にしてください。
実際に【松の司】純米吟醸・楽(当店販売価格¥2.762)を飲んでみると、これがまた旨い!想像していたほど際立ってお酒の香りが強くなく、まさしく絶品である。そしてこのお酒が、ぼくをまた【日本酒の迷宮】に深く入り込ませるだけの抜群の【冴え】を持っていることをぜひ付け加えたい。そして¥2.000台でもすばらしいお酒があることを教えてくれた。