道新いずみ欄 “平等ってなに?”
朝食の時、小学生の次男が「先生が差別するんだ」と言い 出した。「同じ問題を間違えたのに、女子には優しく『大丈 夫?』と言うのに、男子には『しっかりしろよ!』って言うん だ。平等 にしてほしいよ」先生も大変だなぁと、プッと笑い そうになった。が、男子にとっては大問題なのだ。平等って 何だろう。次男とやりとりして、こんな質問をしてみた。「貧し くおなかのすいた人と、裕福でおなかいっぱいの人、そして 自分の3人で、丸いケ-キをどうやって分けようか」。私は 「貧しい人に多め、自分と裕福な人には少なめに」。そんな 答えを次男に期待していた。でも次男は「きっちり3等分」と 答えた。「あのね・・・」と、切り出そうとした時、次男が「そし て」と続けた。「おれの分を2等分してほかの人に分ける。 おれはこの前食べたからいいんだ」。私は声が出なかった。 「そうすれば、おなかがすいている人も満腹になるし、おなか がいっぱいや前に食べた人も我慢することないでしょ」。確か に・・・。私の期待した分け方では、貧しい人だからということ で「施す」ようなおごりがある。学校に向かう彼をベランダの 窓から見送った。小柄な彼の後ろ姿がたくましく見えた。ラン ドセルをしょって通学するのも1ヵ月を切った。春はもう間近 だ。私は一人、朝食の食器を片付けながらうれしくなった。
高橋 敦子(42歳・主婦)=札幌市北区