陸別の社会福祉法人初の独自運営 20人就業訓練 林業再興も願い12日開所
[陸別]かつて林業で栄えた十勝管内陸別町内に、知的障害者の働く場の確保と林業再興を目指して、町内の社会福祉法人がカラマツ製材工場を整備し、12日に開所式を開いた。道によると、社会福祉法人による製材工場運営は「聞いたことがない」(保健福祉部)珍しい取り組み。ただ、主力製品は世界不況と円高で需要が急減しており、逆風下での船出となる。
北勝光生会(月居勇志理事長)が運営する「共生型就労支援センタ-みどりの園」。床面積一千平方㍍の工場で、カラマツを原料に梱包材や貨物の荷役台などを生産する。同法人の施設に住む知的障害者20人が、製材工場勤務経験者らの支援を得て、製品の梱包や機械操作の一部を担う。企業での就労が難しい人に働く場を提供する障害者自立支援法の就労継続支援事業で、工賃は月1万数千円の予定。技能を身に付け、民間の製材工場への就職を目指す。障害者が製材工場で働くには、安全管理面などから社会福祉法人だけですべて運営するのは難しい。今回は、技術指導や原木仕入れ、製品販売を30年前から障害者を雇用している同管内足寄町の青山製材工場(青山繁則社長)に委託することで、開所にこぎつけた。陸別町は、1973年から知的障害者の受け入れに力を入れ、現在は人口2800人のうち170人を占める。一方、かつて10以上あった製材工場は次々と姿を消し、2004年にゼロになった。06年施行の障害者自立支援法で、施設を利用する障害者は入所施設からの退去が求められるなど「自立」が迫られている。しかし、過疎が進む町内での就労は限られるため、同法人が製材工場の運営に乗り出すことに。04年に廃業した工場を昨年取得し改修。整備費1億7千万円のうち、国と道が計6700万円、町も5千万円補助した。工場は、昨年秋から梱包材の需要が急減し、十勝管内でも製材工場の休止が相次ぐ中でのスタ-トとなる。金沢紘一町長は「福祉は酪農、林業に告ぐ町内第三の産業。過疎の閉塞感をなんとか打破したい。製材の市況は厳しいが、町も側面支援していく」と話している。