ところが、チェックインカウンターの場所がわからず、そこで少し時間を食った。次の電車だったら少し焦っただろうけど、予定よりも30分くらい早く着いていたのでそこは慌てずに何とか見つけ、手続をして搭乗口に向かった。
そばを食べたりしながら待ち時間を過ごしているうち、9時になって搭乗案内が始まった。「窓側席の方からご案内いたします」と言われ、連絡バスに乗り込んだ。が、9時になったらパン屋さんに予約の電話を入れようと思っていたので、ここで再び焦った。連絡バスの中で電話するのはルール違反というのはわかっているんだけど…と思っているうちに、5分ほどで飛行機の脇に着いた。降りる前に電話番号を押し、降りると同時に発信ボタンを押した。すぐに機内に入らなければいけないとわかりつつ、お店の方がすぐに出てくれたのでなんとか他の方の迷惑になることもなく注文を終えて機内に入った。
前の座席との間は狭いということはわかっていたけど、「それほどでもない」と思う気持ちと、「やっぱり狭いな」という思いが交錯しながら、ここでも音楽と読書と、さらに窓に映る景色を楽しみながらその狭さによるデメリットを薄めようとして、少しは成功した。
関西空港に着き、第2ターミナルから第1ターミナルへの移動もスムーズで、ここでも予定していたよりも前の電車に乗ることができた。乗車前にトイレに入ることが出来たので、ラピートを使わず普通の急行電車に乗り、難波に向かった。南海電車に乗るのは何年振りだっただろう。それくらい、縁のない路線だけど、見たことのない沿線を眺めるのは楽しい。
パン屋さんの焼き上がり時間は14時ということで、まだ少し時間があったので、難波駅の周辺で昼食を取ろうと思い、あてもなく歩き始めた。
すると、目の前にどこかで見たことのあるビルがあった。その名は「味園ビル」。昨年、『ドキュメント72時間』で取り上げられたスポットだ。怪しさが漂う街並みの中でひと際怪しいそのビルに興味を持ち、入口脇のスロープを上がって行った。ところが、中は薄暗く、昼間はそんな場所なのだろうかと思いながらさらに上のフロアに行くと、そこはホテルだった。そんな様子をちらっと見て、その場を後にした。再訪することはないだろうけど、ここを舞台にした映画『味園ユニバース』は観てみたい。
初LCCは目的の一つだったけど、初「味園」は思いがけないものだった。