熊本熊的日常

日常生活についての雑記

怖いもの見たさ

2014年02月13日 | Weblog

靴を買うときはこの店、と決めているところから去年の夏にもらったクーポンが期限を迎えていた。とりあえず靴を買う予定はないが、踵やつま先の補修をしないといけないのが一足あり、ベルトも買い替えないといけないのが一本あったので、今日は普段よりも早めに家を出てその店に立ち寄った。勘定の段になってレジに消費税増税にかかわる注意が書かれてあるのに気がついた。補修や修理のように受付から納品まで時間を要するもので仕上がりが4月以降にずれ込む予定の場合、税率を8%で計算するというのである。ついては、3月受付分は8%の可能性が大きいとのこと。増税はいよいよ目前だ。

現政権になって以来、景気の先行きに漠然とした楽観があるようだが、増税して景気が良くなるということはあり得ないだろう。消費税のように万人にかかる税金が上がるということは、万人の所得がそれだけ減るということだ。税金が増えるのを補ってあまりある所得の増加があれば心配ないが、追加的に価値を生むことなく所得だけ増えるなどという理屈はないだろう。

都知事選のときにも感じたが、政治の世界では景気、もっとひらたく言えば人々の暮らしに対する目線が弱いのではないか。確かに街中の風景を見れば、行き倒れそうな人がいるわけでもないし、それどころか栄養を過剰に摂取しながらその過剰をいかに解消するかを訴える商品やサービスがたくさんある。個々人にそれぞれの不安や不満があるにしても全体としては、少なくとも物質的には豊かな社会なのだろう。都知事選の投票率が低かったのは前日に降り積もった記録的な雪の所為も無いとは言えないだろうが、そもそも関心が低かったというだけのことだろう。それだけ差し迫った問題が無い、感じられないのである。それを「豊か」と呼ぶなら、そういう状況なのだろう。世に「識者」と呼ばれるような人たちは、あれこれ「問題」を指摘して深刻ぶったりしているが、そういう口先だけの商売が成り立つのも「豊かさ」の現れだ。

たぶん、世の中のために本当に価値を生んでいる人たちは、それとも気付くことなく黙々と日々を送っているのだろう。本当の悪人も、誰に気付かれるということもなく黙々と活動しているのだろう。表で騒いだり右往左往しているのは「本当」ではない人たちだろうが、そこに表出していることのなかに「本当」の断片が見え隠れしているような気がする。表層のこととか騒がれていることには少しも興味を覚えないのだが、あたりまえに暮らしていればそうした雑音を避けるわけにもいかない。自分自身の生活には、消費税率の引き上げの影響は間違いなく何らかの形で顕われるはずだし、それは困ったことであるはずだ。しかし、それでなにがどうなるのか、ということに興味津々である自分もいる。怖いもの見たさ、とでも言うのだろうか。