熊本熊的日常

日常生活についての雑記

正義幻想

2014年08月22日 | Weblog

衆目の下で氷水をかぶることが流行っているらしい。氷水をかぶって寄付をして次に氷水をかぶる人を指名するのだそうだ。難病のひとつであるALSの研究資金集めキャンペーンなのだという。

私の職場の隣の席の人はALSと闘病中だ。去年、私が今の勤務先に入社するに際し、様々な事務手続きをしてくれた人だが、その時には病状が進行して在宅勤務だった。10月に入社した当初は在宅でも通常の時間の勤務だったが、やがて1日の勤務時間が短縮され、週5日勤務だったのが3日になり、2日になり、今年の3月からは休職状態となった。私が入社する1年前は杖をつきながらも普通に出勤していたそうだ。その人の席は今でも出勤していた頃と同じ状態になっている。いつ復職してもおそらく大丈夫だろう。職場に届く郵便物が机の上に置かれているが、よく見ると一昨年のクリスマス頃のものがある。たぶん、これらの郵便を宛名の当人が読むことはないのだろう。

生きている者は誰でも必ず死ぬのだが、死に方はひとそれぞれだ。できることなら安らかに死を迎えたい。しかし、それぞれの事情で必ずしもそうはならないこともある。誰もが安らかな死を迎えることができるようにするのは善いことであって、そのために皆が助け合おう、というのが氷水をかぶって寄付をすることの趣旨なのだろう。でも何故ALSの治療だけが対象になるのだろうか?難病は他にいくらもあるだろうし、天変地異で安らかな死を迎えることができない人も大勢いるだろう。なぜALSだけなのか。