財源不足で明日の福祉が懸念されるといわれる一方、特別養護老人ホームの余剰金2兆円には世界のトヨタでも怒る。 公金で運営される社会福祉法人が、その黒字を社会還元するどころか、借り方と貸し方とが一致しない貸借対照表を提出している同法人の多いことに専門家は、「法人資金が経営者らの私的用途に流用されている可能性が濃厚」と見ている。
社会福祉法人の事業になぜ競争入札が求められるか(経理規定)というと、それは原資が税金からなる公的資金にある。公金が絡む場合の発注には住民、国民サイドには公明正大と透明性が、そこに求められる。
ところが同法人の中には、何らかの思惑を持って意図とする業者へ発注、契約する者も多い。それが相見積もりによる調整後の発注契約で、もちろん入札は形式的な書類上の作業。これらは明らかに偽入札で違法行為。 社会福祉法人千寿会(間部一彰理事長・熊本県下益城郡美里町二和田1233)は平成24年4月、同県上益城郡嘉島町大字上仲間に『。
特別養護老人ホーム悠優かしま』をオープン。独立行政法人福祉医療機構から3億円の融資(利息年1・05%H29…以降年1・65%)を受けての開園であった。
この後である。同法人の本拠地である美里町議会の複数の議員から「千寿会の発注する施設の新築、増改築は全て三津野建設(熊本市東区健軍本町)…」 クレームが挙がった。
先に紹介した特別養護老人ホーム悠優かしま>はもちろん、美里町でスタートした特別養護老人ホーム陽光園(H6)、介護センター陽光園、グループホームひだまり(H13)、高齢者支援ハウス太陽の丘、そしてヘルパーステーションひまわり、それにコミュニティハウスみんなの家 (H20)と、同法人の発注契約先は全て三津野建設。
ここまで「三津野建設への連続発注」となると、当初から思惑、意図が存在しての違法発注の疑いは濃厚で、それを「偶然の結果」と否定するには無理がある。
それでは何の理由があって「違法性の疑いが濃厚な三津野建設への連続発注」となったかだが、同法人には「二代目理事長(間部病院長)よりも実力者のS名誉施設長(理事)」(同施設スタッフ談)の存在があった。彼の妻、長男も同施設の幹部スタッフで、見方によってはS氏の同法人。
そして先述の同法人スタッフが何気なく語った話が、「名誉施設長であるS理事の次女が三津野建設の幹部社員に嫁いでいる」
背景である娘婿のI氏(三津野建設)との利害関係。それが理由。結婚時期はスタートとなった老人ホーム。
陽光園の建設前後というが、仮に同工事後だったとしても 後続施工の発注は特命発注の経理規定違反。約10年間に及ぶ五つの違法発注を熊本県健康福祉部は見逃したともいえるが、同部OBの一人は「法人側の倫理観を信頼し、その内部告発に頼らざるを得ない福祉行政を舐めた行為」と憤慨して語るが、問題発覚後も制裁に消極的な行政であることも確か。
昨年10月、熊本市は前市長が理事長を務める社会福祉法人に対し、「実態のない工事代金として補助金を不正受領した」と摘発して返還を求めた。
ところが熊本県健康福祉部には、「問題を現場が摘発しても、上司がOBの再就職先に温存する」という批判がある。こうした熊本県方式を『熟柿の落下期待方式』というが、どっちもどっちで、市民の福祉にはほど遠い行政といえる…。
本店があるはずの場所は、他人が所有する更地だった。
接触してきた西原村は「意外な捜査関係者の訪問もあって、主人公争いのような入れ替わり立ち替わりには『実態が見えない』というのが実感で、事業の推進状況では村の土地を貸与する場合もあるというのは語りましたが、そこに宿泊施設を村が建てるとか、まして連携して事業を推進するとかの約束はありません」(企画課)といった。
これは同村宮山地区に「歴史体験型のアウトレットモールを建設し、そこに西原村が建設する宿泊施設を管理して無料提供する」と述べている『株式会社西原癒やしの郷』についてだ。
同社の登記上での本店(同村小森)は、冒頭に述べた通り阿蘇森林組合が所有する雑種地…。
同村企画課の「実態が見えにくい」とはこれだけではなく、「A社がBを帯同すれば、次は『本物は同社』とBがCを連れて来て、そしてまたC社が本家を名乗り出るという構図」も理由。その一つが株式会社阿蘇西原歴史村で、事業の進展よりも本家争いのである。
もちろん『文化的、地域の経済振興の上で価値ある企画』(お菓子の香梅談)を否定はしない。問題なのは首を傾げる品格である。
平成8年、旧阿蘇町に同じく映画会社からテーマパーク建設のプランが持ち込まれ、わずか二年の間で不良債権7億円、不 明金約2億円を生んだ経済事件がこの熊本にはあった。正しく趣旨よりも事業に対する倫理観の問題。それと同一に見るつもりはないが、西原村での今回の場合と違って、旧阿蘇町が自ら旗振り役を務めた時でも多額の被害、被害者を発生させたわけだから「趣旨に小躍りする前に冷静な判断」(某経済人の反省の弁)は確か。
そんな中、先の企画会社から「加藤清正公の映画化話」が加藤神社に持ち込まれた。
彼らを誘導したのは、熊本市役所勤務時代に熊本城総合事務所の所長を務めた重村和征市議(熊本市議会)。
応対したのは湯田宮司と同神社の氏子総代の役員だが、重村市議は「清正公の生誕四百五十年を記念して…」と、同映画化へ向けた協力を要請。
その協力が「制作に向けての資金」を外した要請であったら何ら文句の付けようもないが、地元経済界、市民への資金カンパが背景にあるとするなら、これほど品格のない、いや市議会議員として資質を疑われる話はない。
というのは、「セイショコさん」と呼ばれて慕われている加藤清正公の映像化は、没後四百五十年の記念事業として大河ドラマ化(NHK)に向けて実行委員会が設立され、湯田宮司を中心とする同実行委員会が15万4千人の署名をNHKに提出。朝鮮への出兵が対韓国でネックとなっているというと、荒木章博県議が韓国へ出向き、その結果は幸山熊本市長が「問題なし」とコメントを発表。
しかも同大河ドラマ化への活動は単に熊本県だけの問題ではなく、庄内地方(山形県鶴岡市・清正公の遺骨は遺族によって密かに庄内丸岡に運び出された)においても多くの市民によって署名活動が行われていて、こうした清正公を慕う多くの市民、自治体、政界の熱き活動を市議会議員が「知らなかった」では通らない話。同市議を含めた企画会社の自主制作なら「感謝」であるが、それが異なるとなると資質が問われる。
趣旨は理解できても、やはり問われるのは実行者の資質と品位…。