熊本レポート

文字の裏に事件あり

合志市を題材にして逆立ちで考える統一地方選挙

2015-03-24 | ブログ

  昨年12月、合志市議会が定例議会で「議員報酬の6万5千円アップ」を決議したことで、同市に「議員報酬を考える会」(大住清昭会長・前市長)が誕生し、同会は今回の市議会議員選挙に5人の新人を擁立して同事案の否決を決定。
「大企業のトップクラスでも月額6千円程度のベースアップといわれる中で、アベノミクス効果の実感もまだない地方において、年間出勤日数50日前後(一般的に行政市では予算3月期と決算9月期が1ヵ月、6月期と12月期が半月の約90日の議会出席)で月額37万円という報酬は庶民感覚からズレている」
  これが同会の主張で、「アップ前(議員報酬)に戻す」と反対文書1万4000部を市内に配布し、15回以上の市民との懇親会を各町内で開催。
  地方債約164億円、積立金約56億円で、差し引き借金額が108億円の合志市となると「議員意識が問題」とする市民感覚は一般的な常識。
  こうした同会の動きに対して、報酬アップに賛成した同議会議員は
「前市長のパフォーマンス」
  冷ややかな見解を述べたが2011年2月、減税及び財政改革を推進中の河村名古屋市長は市議会議員定数75名を半数の38名に減らし、議員年棒1600万円を800万円に半減する案で議会側と対立し、その結果で市長、市議会リコール投票となったが、選挙は市長側の圧勝に終わった(ただし後、新人議員の感情的な変貌と政治力学で公約不履行)。
  合志市の場合も同じで天草、阿蘇市とは異なり、地縁及び血縁の少ない新市民で人口は増大中という点を考えると、報酬引き下げ派候補らの当選という予測は十分ある。
  ただ問題なのは選挙が団体選挙戦で、「報酬引き下げ」には10名以上の同志議員を要する(合志市議会議員の定数は来期から19名)という点。
  前々回(前回は無投票)の同選挙結果から単純計算で推定すると(定数19名に対して現職16名、新人9名の25名が出馬予定)、当選ラインは800票。
  同じく前々回の得票数からの推定だと当確予想の現職(前々回1100票以上)は7名(報酬アップ反対は1名)。同仮定からだと残り12議席を巡って9議席の獲得議席が必要となって、考える会では全員当選が公約達成の必須条件。
  それだけに知名度の高い前市長が2000票以上でトップ当選でも争うということになると、皮肉なことに同志2人の新人候補の当選を阻むという結果も予想されるわけで、団体戦としての選挙戦術、運動がいかに重要かということになる。
 ところで報酬削減とか定数削減とかの問題は本来、備わっているはずの資質の問題で、同議会が取り組むべき明日の行政自治からは外れた事案。調査能力もなく、明日の自治を考える発想も無理となると元々、ボランティアを理想とする議員が報酬月額37万円とは何かということになる。
  地方自治法の専門家には、「議会制民主主義の根底が大きく崩れる地方議会は不要」という意見もあって、究極的には首長の議長兼任で裁決議員3人という時代も到来と予測する。
 議員の資質向上に何が必要なのか。これは統一地方選挙を前にしての課題で、候補者に「4年間で何を成したか」と確認し、「何を成すか」と確約を取り付けるのが有権者として権利遂行の上で投票前の義務ではなかろうか…。