熊本レポート

文字の裏に事件あり

農地無断転用の責任所在・南阿蘇村からの声(理不尽)

2015-10-12 | ブログ

 南阿蘇村の農地無断転用問題が半年も足踏み状態にある中で、その南阿蘇村の村民から同問題について寄稿があった。南阿蘇村、同議会議員は、この「交付金は村民負担金」という主張に反論はあるか?
 

 南阿蘇村など中山間地域は、農家数や農業生産額で全国の四割を占めていて、食料を安定供給する上で、重要な役割にあります。
 また美しい山や谷を持つ中山間地域は、熊本市など都市部住民の水源地でもあって、そして美しい自然の治水において、都市部への雨水の急激な流出も防いでおります。南阿蘇村は、国民の命とくらしを守る重要な役割を担っているのです。
 ところが、それだけ国民から期待されているにもかかわらず、南阿蘇村など中山間地域は、都市部周辺の平地に比べて農業生産の条件は厳しく、また交通などくらしの条件も不利で、後継者不足や高齢化など色々な問題をかかえています。
 そこで重要な中山間地域の役割を考えて、これらの問題に対策として進められたのが中山間地域振興策であって、その中の一つが「中山間地域等直接支払制度」です。
 こうした中で南阿蘇村で起きました「農地無断転用問題」は、それが「中山間地域等直接支払制度」の農地であったということで、これは決して軽く考えて見過ごせる問題ではないのであります。
 政争とかにすり替えられる問題ではなく、まずは長野集落に浮上したこの返還金問題を、村の問題として全村民が考え、納得のいく、正しい解決を早急に図るのが村民のつとめと思います。
 先に述べたように中山間地域の自然、その農地は国民にとっても極めて重要で、後継者不足、高齢化という中にあって、それをどう守っていくか、続けていくかは大きな問題であります。
 そこで平成十二年、集落ごとに管理、役割を決めて、農地を中心とした自然を守っていくという協定の約束の下、そこに交付金の支払いが行われるようになりました。
 これが、「中山間地域等直接支払制度」です。
 問題の長野集落には年間一千六百万円(一期五年間で八千万円)が支払われているのですが、この補助金は二分の一が国からの支出で、後は県と村とが四分の一づつで、村民も負担している制度であります。
 この制度は、農作業に困難な高齢者の農地を守るために集落の農家が協力しあったり、用水路など村の自然を守っていく集落活動も支援するものです。
 今後、人口の減少から住民の協力による葬祭、また集落における伝統行事なども心配されておりますが、そうした問題の解消にも向けた制度です。
 また農家や農村集落だけの制度ではなく、水源地を守り、洪水や土砂崩れを防ぎ、それに美しい風景、鳥や動物たちを守ることにもつながって、都市部住民など国民全体に効果をもたらす制度でもあります。
 集落の協力によって高齢者の農地を守るという制度の一つを考えても、「議会で取り上げるほど重要な問題ではない」とする意見は間違っております。村の将来に向けた基本的な政治をおろそかにして、何んで村の明日が語れるか、ということであります。
 制度の基本でもある「農地での継続」という約束については、集落ごとで何回も役割まで協議されていて、そこに自ら立ち会っていながら「認識が甘かった」とは、立場以前の問題であります。
 単なる「農業区域」による無断転用ということだと、始末書を提出しての手続きで見逃されますが、今回の「農地無断転用」は、中山間地域振興制度に対する常識的な違反行為です。
 そして、そこには協定違反に対する八千万円の返還問題が出てきたのです。
 村民も負担する制度での協定違反で、「返還不要」はもちろんのこと、「返還金減額」など許されるはずがなく、それが許されると「村民負担金へのゴマカシ、詐欺」でもあって、「中山間地域振興対策の否定」ということで、これは村の明日を否定することです。
 もちろん、八千万円の返還が求められる長野集落の五十八人の協定者には、同じ村民として同情もいたしますが、要は責任所在であり、その取り方であります。
 村、村議会には不満であります。
 責任所在が不明の村のあり方など、子供や孫に説明ができません・・・(南阿蘇村・N子)