熊本レポート

文字の裏に事件あり

熊本県益城町のクーデターに見た単純に曲解された政争の町

2021-11-15 | ブログ
 選挙となると与野党双方から「浮動票に期待」と語られるが、誰も言わないけど、これほど無責任な層はない。
 憲法や外交、そして安全保障問題と、根幹から政策理念の大きく異なる与野党に対して、どっちにでも動くという浮動層は、基本的に確固たる政治理念を持たない有権者。
 これは住民運動や自治活動にもいえるが、180度も考えや行動を変える住民ほど厄介で、無責任なものはない。
 平成元年7月、益城町台地東土地区画整理組合の冨田組合長と永井副組合長が辞任し、後の総会で「岩村久雄組合長の就任」を組合員多数の賛成で決めた。
 これには理由があった。
 冨田組合長と、それに同組合と連携して開発事業化に取り組んでいた企業に対して、「公金の私的流用、利権を漁っている姿勢が見られる」との内部告発が浮上し、その内容が町内中に流布された。
 それを仕掛けたのはアイ・ウッド㈱、それにじねん創健社㈱の代表を務める福永力三氏。彼は、熊本県更生保護協会の理事でもある。



「公金の流用など真っ赤な嘘、まして利権漁りの組合運営など断じてなく、全ては誹謗、中傷。そもそも誰もが認める人格者であることから組合理事長に据えた訳で、副組合長にあっては熊本県警OB」(組合員談)
 だが冨田組合長、永井副組合長は退き、岩村久雄組合長の就任に同意。
「いや、あれは新組合の提案として『坪15万円から16万円』の売値を出され、それを福永氏が公約したからだ(前組合長時代での事業計画では坪単価10万8000円)。1反当たり1700万円も違えば、そりゃ動くさ(組合員数165名)」
 理由はカネ(売値の増額公約)、金で前組合長、副組合長を追い出した。
 だが、その理解は全くない。



 しかもだ、売値坪10万8000円で同事業計画は熊本県の許可が下り、事業化寸前であったが、彼らは坪15万円から同16万円に乗り換えた。
 そのエビデンス(根拠)はと問うと、「そりゃ福永氏の公約」と語るが、それでは現状はどうかと続けて尋ねれば「そりゃ判らん」と口を閉じる。
 あれ(クーデター)から2年、未だ「判らない」と応える組合員。
 だが子どもへ、孫の時代への引き継ぎでも果して彼らは、「判らない」で通せるだろうか。
 多分、最悪の場合は嘆き、喚き散らすだろうが、その責任は彼ら自身にある。彼らには理解すら出来ないだろうが、前組合長及び副組合長、そして事業化寸前まで進めて来た企業を追い出した責任がある。
 福永氏は熊本大震災後の前組合長時代、自ら私有地拡大した3町歩をもって「単独開発」を申し出たが、『地権者の同意の下、一括した住宅、商業地域化を図る』とした組合法に反すると却下された経由にあった。
 その組合法に適合するか否かはともかく福永氏は、その延長上にあるのか、5万坪の開発を大和ハウスと契約という話が流れているが、それが全体の5%ということを考えると、それはあくまで内々の話。
 それどころか、あれから2年を経過し、資金面を含めた事業計画は未だ出されていないが(熊本県)、その熊本県担当課は、個人的な見解と断った上で「許可はかなり厳しい」と語った。
「あそこの地形を考えると、造成費用に8万円から10万円が想定されるし、それを16万円で買えと言われても造成後は坪26万円。採算が合わないし、購入する開発業者が何処に居ますかね」
 開発業者の見解。
 ところで御船町を選挙基盤とする増永慎一郎県議が、該当の西村益城町長を訪ねて「住宅地域と商業地域とを区分した開発」を提案し、その了承、協力を求めた。福永・岩村体制の代弁である。
 しかし西村町長は「組合はここまで30年近く、住宅地域及び商業地域をセットとして進めて来た訳で、その関わり(補助金等の町政)を考えると認められない」と、同提案を却下。
 長い歴史を経過し、事業化寸前まで来ていた計画に対し、ここに来てリセットされ、「はい、新提案」と出されて、「はい」と応えるようでは首長失格。
 それをごり押す県議の方に無理があるというか、政治家資質としは失格。
 今日、明日の話ではないが、該当事案には将来、訴訟も起きかねない事が想定され、現状を詳しく調査し、そして分析し、町民である組合員にそれを周知して、対策を組合と一緒に講じる必要があるのではないかという質問に対し、同町幹部は、「支援、協力はして来ても相手は独立した組合法人。その点が町にとっても歯痒いところ」と
応える。
 どっちにも転ぶ浮動層ほど厄介な物はないが、カネでトップを交代させた責任も理解出来ないとなると、問題の解決が困難なことも確か。
 一方、ラブホ王とも称される福永氏を考えると、公約の3年での実現も決して難しい話ではないと、そういう見解もある。
 後1年だが、果して益城町の浮動層は、どう転ぶか…。