熊本市と隣接する光の森(菊陽町)を中心に急激な団地、住宅の増加を見せた2004年、同地に新熊本北郵便局がオープン。その新熊本北郵便局の建設に向けた造成中、発掘した地中から自動車が浮上するという珍事、いや事件が在った。
民間企業への委託とはいえ、耐用年数25年間しても何百億円の公金が投下される環境インフラ。果たして県行政の誰が、こんな不透明で、奇々怪々なる事業を推し進めようとしているのか…。(次号へつづく)
この地上に噴出した複数の廃車は、そこに隣接する株式会社星山商店(熊本市)によって処理されたが、その後で同社の関係者が傷害事件に遭遇したと話題になった頃、再び同社に産廃の不法投棄という噂が持ち上がった。
(熊本日日新聞)
その疑惑の場所と噂になったのが、今年の8月に同社が一般ごみ、産廃の最終処分場として熊本県環境保全課に開発許可を求めた熊本県山都町(旧蘇陽町)東竹原の中間処理施設(仮置場?)跡地。
(熊本日日新聞)
当時、該当地住民からの「自動車のシュレッダーダスト、多種の産廃を不法投棄した疑いがある」という情報は同県廃棄物対策課も把握。だが同課は『法改正以前の行為で、また容疑だと対処不可能』と、遠い県境への公務を嫌がったという経緯にあった。
それを今回、同じ環境生活部の環境保全課が『条件が整えば申請を受理するのは当然』と、開発許可の申請を公務として立派に遂行。その背景には、実は「喉から手の出るほど欲しい最終処分場」という県行政の現状があった。
ところが現在、その県行政を気落ちさせる形で計画は中断。肝心の星山商店が、渋い表情を見せる同環境保全課を前に「環境アセスメントの面から計画を練り直す」と進軍を休止したのだ。勿論、同課の期待に応えるべく、計画業者は再提出に向けて環境アセスに入るが、問題なのはこの「開発が環境にどう影響するか」という調査の手法。
「過去に産廃の不法投棄という容疑が掛かった以上、建設が始まると、その造成の段階で地中から有害物質が噴出し、流出する(宮崎県五ケ瀬、高千穂町の源流)可能性がないとも言えない。そこで環境アセスには関係自治体も関与して、第三者専門委員会で実施する必要がある」(有害物質に詳しい某准教授談)
だが現状は通常の自己責任として、計画業者の環境アセスに任せられるようで周辺住民は、その結果で見解を示すという状況になる。
そもそもこの事業は地元住民、それに肝心の川下となる五ケ瀬、高千穂町の住民らの不安から浮上する反対、その反対運動がどれほど拡大しても熊本県は、この最終処分場計画を認める方向で行政を執るという見解にある。
そのエビデンス(根拠)は昨年10月、上益城広域連合(熊本県上益城郡5町)の新ごみ焼却処理施設の建設及び整備、それに同運営を株式会社大栄環境(大阪府)・有害物質回収協業組合石坂グループ(熊本市)JVの民間企業に委託するとして突然、その協議開始の締結に蒲島知事が立ち会った事にある。
詳しくは後述するが、大栄環境・石坂グループは確保された土地を借用して、そこに焼却処理施設を建設する計画で、その土地確保に尽力したのが星山商店という噂が第1点。そして大栄環境は、処理施設の建設を業界のトップメーカー辺りに発注する訳だが、その処理型から最終処分場を要するという背景、これが第2の理由。即ち、星山商店が計画の最終処分場は、熊本県行政にとって必至の環境インフラ。
ここで断っておくが、最終処分場は住民、県民にとって必要不可欠の環境インフラ。
2008年、県は県北の南関町に県営最終処分場を竣工させた時、「次は県南」と計画を発表。ところが同年、蒲島知事が就任すると、その構想は吹っ飛び、そこから14年、単に環境インフラだけでなく奇々怪々なる行政が始まった。
上益城広域連合(上益城郡5町)の新ごみ処理施設の建設、同運営について「大栄環境、石坂グループから県に提案があって、そこで民間企業への委託に決定」と言われ、それで『ハイ、判りました』と簡単に納得する方が不可解。
勿論、提案を受けたのが蒲島知事で誘導、主導が同知事とは、県政に関わりが強い側に行く程、それを信じている者はいない。
陳情、要請で関わりの多い某地元経済人が「統計学の学者にリーダーシップは勿論、行政の実務を求めるのは酷な話」と見解を述べたが、それでは、表現は悪いが「裸の知事様」である。
民間企業への委託とはいえ、耐用年数25年間しても何百億円の公金が投下される環境インフラ。果たして県行政の誰が、こんな不透明で、奇々怪々なる事業を推し進めようとしているのか…。(次号へつづく)