万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

波乱をもたらす中国の時代感覚

2010年02月15日 15時22分14秒 | 国際政治
日本の日米中正三角形論「非現実的」 ロバート・サター ジョージタウン大教授(産経新聞) - goo ニュース
19世紀末、明治時代の幕開けとともに、我が国は、国際社会の一員として恥じぬよう、国際法の遵守に努めたことは、昨日の記事で書きました。その結果、欧米諸国と同様に、幾つかの戦争を遂行し、富国強兵のスローガンのもとで国力を充実させ、自国の勢力圏を広げたことも確かです。当時の国際ルールは、必ずしも植民地の保有や覇権の拡大を否定していませんでした。

 一方、中国が国際社会に本格的に登場した21世紀には、既に覇権主義は過去に葬り去られ、他国の支配は正当化できなくなりました。第二次世界大戦において、連合国側が、侵略との闘いを大義として掲げたことが、国際社会のルールの転換に決定的な意味を持ったのです。また、植民地の側からの独立の要求は、民族自決を国際社会の原則と化し、国民国家体系の世界大での成立を促すことになりました。こうした国際社会のルールの変化を、中国は理解しているのでしょうか。

 中国では、”中原に鹿を逐う”という表現があるように、異民族が武力で王朝を開くことは、正当な行為として認められてきたようです。秦の始皇帝にも西域出身説があり、隋、唐、元、清といった歴代王朝の初代皇帝もまた異民族出身でした。しかしながら、現代の中国は、満州事変以降の戦争については、近年のルールを受けれて”侵略”として非難しつつも、チベットやウイグルについては、”侵略”として認めようとはしません。しかも、台湾や尖閣諸島などへの対応を見る限り、今後も、”侵略”を狙っている様子が窺えるのです。

 中国の国際法に対する態度は、自己に都合のよい部分だけは利用して、不都合な部分は無視するというものです。国際社会に参加する以上は、そのルールを全面的に受け入れる必要がありますが、中国に、その意思があるとは見えません。こうした中国のご都合主義の態度こそ、国際社会の波乱要因となっているのではないでしょうか。中国の覇権主義を抑えることは、国際社会における日米同盟の重要な役割であると思うのです。 

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コメント (10)
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