万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

チベットは独立できる―17条協定終了のもう一つの理由

2010年02月25日 15時23分15秒 | 国際政治
ダライ・ラマもツイッター=中国を刺激?(時事通信) - goo ニュース
 1951年にチベットと中国との間で締結された「17条協定」は、当事者の一方である中国の条約違反を理由として、合法的に終了させることができることは、以前のブログ記事で述べました。もうひとつ、この協定を終了せることができる理由として挙げられるのは、条約の根拠となった共同防衛の必要性の消滅です。

 「17条協定」の第一条には、「チベット人民は団結し、チベット外の帝国主義勢力を放逐する。チベット人民は、中華人民共和国という祖国の家族に戻る。」とあります。この条文は、チベット侵略を狙う外国勢力を排除するという共通の目的のために、チベットは、中華人民共和国の一員となる、と解釈することができます(もちろん、軍事力を背景とした脅迫により調印されていますので、この条約自体の効力さえ疑問があるのですが・・・)。続く条文では、人民解放軍の進駐とチベット軍と人民解放軍の合同なども定められており、この協定の第一義的な目的が、防衛の共同化にあったことを示しています。しかしながら、帝国主義や植民地主義がほぼ終焉した現代という時代にあって、既に、この共同防衛の必要性は失われています。むしろ、現代に残る帝国主義国家とは、協定の相手国である中国に他ならず、チベットが今必要としているのは、中国の侵略と植民地主義から自らを守る術なのです。

 当時の国際情勢に鑑みますと、”チベット外の帝国主義勢力”とは、イギリスを意味していたのでしょう。時代の変化によって、”共通の目的”は、その存在意義を失ったのですから、この協定も、速やかに終了させるべきと思うのです。

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