万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

「17条協定」の終了でチベットは独立できる

2010年02月19日 15時18分16秒 | 国際政治
米大統領、チベットの独自性維持「強い支持」(読売新聞) - goo ニュース
 チベットと中国との間の関係は、国際法から見ますと、1951年4月に結ばれた「17条協定」を根拠とした法的な繋がりに過ぎません。しかも、軍事力をバックとした脅迫による条約締結を、条約法条約は無効としていますし、この協定に記されたチベット尊重の規定さえ、中国は守っていないのです。

 実のことろ、チベットは、この「17条協定」を終了させることで、法的には独立を手にすることができます。条約法条約も、一方の当事国に条約違反があれば、相手側は条約を終了させることができるとしていますので(第60条)、チベットは、中国に対して条約違反を理由に「17条協定」の終了を求めることができるのです(中国も条約法条約の締約国・・・)。最近になって、中国は、国際社会の圧力をかわすためにか、チベット亡命政府と会談を行った模様です。しかしながら、何らの進展もなく、中国によるチベットの植民地支配は依然として進行しており、状況は一向に改善されていません。チベット亡命政府は、「17条協定」の終了を中国側に通達することで独立を回復するか、あるいは、交渉の梃子とべきなのではないでしょうか。

 国際社会もまた、チベットの民族自決を尊重し、「17条協定」の終了とチベット独立を承認することで、植民地支配の終焉に協力することができます。中国に配慮しては、いつまで経ってもチベットは救われませんし、国際社会における法の支配を否定することにもなります。願わくば、オバマ大統領には、チベットには独立の望みがあることを、ダライ・ラマ14世を伝えていただきたかったと思うのです。

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コメント (6)
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