万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

欧州財政危機―”誰を救うのか”の大問題

2011年10月14日 11時25分03秒 | 国際経済
スロバキア、欧州金融安定基金強化策を可決(読売新聞) - goo ニュース
 欧州財政危機をめぐり、欧州では、あわただしい動きが続いています。”ユーロ”を守るという漠然とした共通認識は成立しているようですが、ここにきて、この問題、”誰を優先的に救うのか”という議論をめぐって紛糾しているように見えるのです。

 救われるべきは、ギリシャなのか、金融機関なのか、ユーロの通貨価値なのか、そして、他の迷惑を蒙る加盟国なのか。この判断、なかなか難しそうです。ギリシャを救済するならば、EFSFは、ギリシャへの融資を優先し、制度改革もまた、財政移転政策の強化を含むものとなります。金融機関を救うならば、ギリシャのデフォルトや国債の暴落、および債務削減などに備えて、デクシアへの対処のように、連鎖的な信用収縮を防ぐべく、EFSFは資本増強のための支援基金の役割を果たさなければなりません。ユーロの通貨価値を救うならば、ECBは、ギリシャ国債といった加盟国国債の買い取りをせず、平時の金融政策に戻す必要があります。そうして、スロバキアの”ささやかな抵抗”が示唆するように、他の加盟国の放漫財政によって一方的な負担を強いられる加盟国を救うならば、財政移転政策よりも、加盟国の財政規律の強化と離脱を含めた制裁制度を設けなければならないかもしれないのです。

 優先順位や方法を間違えますと、コスト高になったり、モラル・ハザードを起こしたり、将来的には副作用に苦しむことにもなります。この問題、最適解を見つけることは難しそうですが、誰もが許容できるコストで、最大の救済効果を目指すしかないのではないかと思うのです。

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