万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ギリシャ―ポリス建国の精神で一から国造りを

2011年10月20日 17時13分19秒 | ヨーロッパ
混乱続くアテネ、若者ら暴徒化 20日にも市内デモ(朝日新聞) - goo ニュース
 苦心の末にユーロ導入に漕ぎ着けた時、ギリシャは、将来、自国を揺るがす財政危機が発生するとは予測していなかったことでしょう。ギリシャ神話のように、人間たちは、神々の気まぐれによる悲喜劇に翻弄されているかのようです。

 ギリシャは、神話で名が知られるのみならず、政治学の発祥の地でもあります。”ポリティックス”や”ポリシー”といった政治学用語は、古代ギリシャ諸国の都市国家、ポリスに語源を辿ることができます。古代にあっては、地中海沿岸には数多くのポリスが建設され、そのそれぞれにおいて、様々な政体の下で、政治が営まれてきました。アテネのように、民主主義の制度を発展させた国もあり、”デモクラシー”という用語もまた、古代ギリシャに起源があるのです。このことは、古代ギリシャ人には、高い統治能力が備わっていたことをも示しています。

 こうした歴史を振り返りますと、現在のギリシャは、古代のポリス建国の精神を忘却してしまったかのようです。古代ポリス世界では、自主独立と公共の精神の下で、市民達が、ポリスの政治に積極的に関わっていました。現代のギリシャにあっても、デモや暴動に走るのではなく、自力で自国を救おうとする決意の下で、国家再建に自発的に取り組む人々が必要なのではないかと思うのです。

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