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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

階級闘争に直面する共産主義国家中国

2012年10月04日 15時53分51秒 | アジア
中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス 「デモで暴れたやつは中国人の面汚し」と北京人は吐き捨てた プチブル層と民工層の間に横たわる深い溝(日経ビジネスオンライン) - goo ニュース
 先月、中国で発生した激しい反日デモの背景については、様々な説が取り沙汰されています。政権中枢の権力闘争説、上海派の陰謀説、簿煕来派の復讐…などなど。どれも、さもありなむ、と思えるのですが、加えて、反日デモが暴徒化した要因として、中国の一般市民の間では、都市戸籍と農村戸籍との間に横たわる溝が挙げられているそうです。

 中国人暴徒は、日系企業の商店や工場なども襲い、徹底的に破壊した映像が報じられたことから、日本国内では、自らの職や所得を失いかねない行為に対して理解に苦しむとする声も聞かれました。しかしながら、中国の内情を見ますと、外資系企業に就職できる人々は恵まれており、こうした機会さえ持てず、失業状態にある若者たちの不満が、日系企業への襲撃として爆発したというのです。その多くは、農村から出稼ぎに来ている農民工の二世であり、農村戸籍である限り、プチブル階級を形成している都市戸籍の人々のような生活を夢見ることはできないそうです。つまり、戸籍差別という法律上の階級差別が公然と存在しており、改革開放路線によって、その不平等は、誰の目にも明らかとなっているのです。共産主義革命の目的が、プロレタリアートが権力を独占することで、階級闘争を永遠に消滅させることにあったことを考えますと、共産主義国家において、今なお階級が存在していることは、矛盾以外の何ものでもありません。

 そして、今回の暴動は、たとえ農村戸籍の不満の噴出が要因の一部であったとしても、将来的には、共産主義国家でありながら、国家を二分する”階級闘争”が激化する可能性を示唆しています(中央の権力闘争とも結合するかもしれない…)。近い将来、中国の共産主義体制は、自らが抱え込んだ矛盾によって、自滅するのではないかと思うのです。

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コメント (4)
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