万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の安定には63年以上かかる覚悟を

2012年10月21日 16時01分50秒 | アジア
「修復に40年以上」=中国大使だった丹羽氏講演―名古屋大学(時事通信) - goo ニュース
 鳴り物入りで民間出身の中国大使として赴任した丹波氏。名古屋大学での講演で、最悪の場合、日中関係の改善には40年以上がかかると、悲観的な観測を示したそうです。

 丹波氏は、日中国交正常化から40年が経過したことを捉えて、修復には、その期間と同じだけの長い年限を要すると警告したかったのでしょう。その一方で、中国の共産党一党独裁体制に対する不満が、国民の間で燻ぶり、かつ、権力闘争が分裂の危機を孕みながら水面下で進行していることを考慮しますと、日本国は、中国の安定には、少なくとも、今後、63年以上の月日がかかることを覚悟しなければならないと思うのです。63年とは、共産主義体制が成立した1949年を起点として数えた年月です。中国の場合、権力分立を基礎とする近代国家ではないこと、民主主義、自由、法の支配、人権の尊重といった諸価値に対する理解が薄いこと、反日教育を始め、国民が長年にわたる洗脳教育を受けていること、領土が広大な多民族国家であり、かつ、チベットや東ウイグルの分離・独立問題が存在していること…といった固有の問題を抱えています。不安定要因が多数ありますので、たとえ共産主義体制が崩壊したとしても、短期間で安定した状態に至るとは、到底、思えないのです。

 日本国政府は、現体制が永続するみなし、現状のまま中国との関係改善を急ぐよりも、近い将来、中国で起きるであろう劇的変化に対して、どのように対処するのか、そして、体制崩壊後において、どのような形で民主的体制の成立を助けるのか…、を考えるべきではないかと思うのです。僅かなりとも、中国の安定化を早めるためにも。

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コメント (4)
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