万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

橋下代表、あなたは誰?-独裁志向のパラドックス

2012年10月22日 15時23分39秒 | 日本政治
橋下氏「けんかだけは自信ある」 元祖・維新の地、九州から“出陣”(産経新聞) - goo ニュース
 「日本維新の会」の橋下代表は、自らの出自を記事にした「週刊朝日」に対して、勝ち名乗りを上げているそうです。しかしながら、橋下氏は、国民の多くが、橋下氏の個人的な背景を知りたがっている理由については、深くは考えているとは思えません。

 ドイツを国家滅亡の淵に導いたアドルフ・ヒトラーは、今日でも多くの研究者が、その実像に迫るために、その生涯や血脈を探求し続けています。独裁者とは、歴史を動かし、人々の運命をも翻弄するがために、そのパーソナリティーは、国民にとりましても重大な関心事なのです。この点は、”英雄”も同じであり、歴史に名を残した人物の生涯は、大概、伝記としても記録されています。ヒトラーについては、ユダヤ人を迫害しながら、実は、自らはユダヤ系であったのではないか、とする説もあり(橋下氏も、韓国や北朝鮮からの帰化系であるかもしれない…)、その出自の不透明さが、独裁者にまつわる謎として残されています。ドイツを破滅に追いやったヒトラーとは、一体、誰なのか、それは、歴史の謎に対する答えを探す問いでもあるのです。そして、今日にあっては、政治家の出自を知ることは、国民が、ナチス・ドイツと同じ轍を踏まないための手段でもあります。

 橋下代表が、独裁志向ではなく、普通の政治家の一人であったならば、ここまで出自をマスコミに追求されることはなかったかもしれません。独裁者になるためには、出自を公表しなければならないことは、出自を隠したい独裁者候補にとりましては、一種のパラドクスなのではないかと思うのです。

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コメント (6)
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