万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本維新の会―国民を愚弄する”ソフトな独裁風味”

2012年10月26日 15時34分04秒 | 日本政治
維新公約素案「稚拙」 橋下代表、国会議員団を批判(朝日新聞) - goo ニュース
 本日、日本維新の会が次期衆議院総選挙に向けての公約素案を公表したそうです。その内容、”マニフェスト詐欺”と酷評された民主党の公約以上に、実現性が乏しいどころか、危険なものばかりです。

 以前には、日米同盟重視を打ち出していたはずなのですが、今度は打って変わって、2045年までの在日駐留米軍廃止を掲げています。中国の軍事力は今後とも拡大傾向が続くでしょうから、在日米軍の兵力を埋めわせるために、どれほどの自衛隊の兵力増強と防衛予算が必要なのか、そもそも、在日米軍抜きでの自衛は可能なのか…、疑問ばかりが湧いてきます。また、官僚の40歳定年制を唱えていますが、40歳で定年を迎えるようでは、誰が、官僚の道を志すでしょうか。このことは、同時に、官僚組織の上部を政治的任用に置き換えることを意味しますので、官僚の質的低下が懸念されます。医療保険制度についても、高齢者ほど負担が軽い現行の制度を見直して、一律の自己負担を目指すそうです。おそらくこの改革は、遺産に対する全額課税が不人気でしたので、高齢者負担を増やすことで、実質的に高齢者の資産を国庫に移そうとしているのかもしれません。何れにしましても、維新の会が描く将来の日本の姿は、安全保障体制が綻び、官僚組織のレベルが低下し、国民の”資産没収”が日常化する一方で、政治家が、行政組織までをも牛耳じり、予算を思うがままに使うという、”ソフトな独裁風味”の風景となるかもしれません。しかも、政治家が、闇の組織と繋がっているとしますと、日本国の行く末は悲惨としか言いようがありません。

 この公約素案については、橋下代表自身が、稚拙として批判していますが、日本維新の会の党規約では、党の決定は、代表の合意を得なければ成立しないとされていますので、国会議員団だけで、この素案を作成し、公表したとは思えません。あまりの評判の悪さに批判者側に回ったのかもしれませんが、支持率回復を狙った日本維新の会のサプライズ戦略は、国民を愚弄しているようにも思えるのです。

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コメント (6)
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