万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

沖縄米兵の犯罪と”慰安婦問題”

2012年11月03日 15時37分54秒 | 国際政治
米兵侵入「極めて遺憾」=国防総省が声明(時事通信) - goo ニュース
 先日、沖縄で、アルコールで酔った米兵が一般民家に侵入し、中学生に暴力を振うという事件が発生しました。この事件に対しては、ルース駐日大使が謝罪するとともに、国防総省も遺憾の意を表しています。

 沖縄では、米兵による民間人に対する暴力事件が頻発しており、沖縄県の治安向上のための対策を強化すべきことは確かです。もっとも、この事件は、米軍所属の兵士によって引き起こされものであり、米軍が、軍の指揮命令系統を通して、民間人への暴行を、兵士達に命じているわけではありません。どの国の軍隊でも、軍規を守らずに犯罪に走る兵士は、昔も今も、必ず出現するものです。こうした兵士達は、凡そ、軍法会議で処罰されるか、あるいは、戦時中の行為であれば、国際的な軍事裁判によって裁かれてきました。一方、国家ぐるみの犯罪については、国家による組織的な命令があったことを立証しなければ、軍事裁判の法廷でさえ、人道に対する罪に問うことはできません(今日では、国際刑事裁判所が設立されているが、アメリカは未加盟であり、かつ、個人の刑事責任を問うている…)。今回の沖縄米兵による事件も、アメリカ政府に対して、犯罪者として犯人の処罰を求める、あるいは、身柄の引き渡しを求めることはできても、兵士による民間人への暴行を理由に、アメリカという国家に人道に対する罪を問うことはできないのです。このように、一般の兵士による犯罪行為と、国家が命じた犯罪行為とでは、本来、天と地ほどの違いがあるはずなのですが、この点に鑑みますと、韓国や北朝鮮のみならず、中国までもが主張している”慰安婦問題”は、両者の区別を混同しているどころか、一方的に、日本軍の公式の命令による民間人の強制連行と決めつけています。インドネシアで発生した日本軍の軍人によるスマラン事件については、戦犯として既に刑は執行されており、この裁判でも、軍の命令ではないことは、明らかとなっています(対日軍事裁判では、人道的罪とされるC戦犯はほとんどいない…)。しかも、こうした軍人が起こした事件の被害者に対しては、戦後、日本国政府は、謝罪も支援(アジア女性基金の設置…)も行っているのです。

 先日訪日したアーミテージ米元国務副長官は、”慰安婦”の強制連行説を肯定していると報じられていますが、日本軍の命令による強制連行であると認識しておられるのでしょうか。もし、軍よる強制連行を証明する証拠書類が、アメリカに保管されているならば、ぜひ、公開していただきたいと思うのです。確固たる証拠があれば、日本人の多くは、事実として素直に受けとめるでしょうが、根拠が曖昧なまま人道的な罪が日本国に対して問われ、糾弾されたのでは、日本人にとりましては、不名誉な冤罪の受忍と言わざるを得ないのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。



にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする