万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国楊外相の対話継続提案―硬軟両面作戦に警戒を

2012年11月10日 16時11分44秒 | アジア
「双方とも接触保持すべき」楊外相…対話継続も(読売新聞) - goo ニュース
 尖閣諸島をめぐり、悪化の一途を辿る日中関係。この問題について、中国の楊外相は、共産党大会の取材で集まった記者団を前に、日本との対話を継続する必要性があると述べたと報じられています。

 この発言、中国側の譲歩のようにも聞こえますが、硬軟両面から揺さぶりをかけ、自らの望む方向に相手を誘導する手法は、犯罪組織でも使われる、”追い詰め作戦”の一つです。強面役と宥め役とに予め役割分担をし、強面役が拳を振り上げると、宥め役が現れて、”怪我をしたくなかったら、こうした方がいいよ”と、何らかの要求を飲むように、やさしい声で誘うのです。楊外相の言う”対話”とは、もちろん、”領土問題化”を前提とした日本国への要求であり、おそらく、天然資源を含む”共同管理”、あるいは、尖閣諸島の割譲を言い出してくることでしょう。尖閣諸島に対して、歴史的にも法的にも根拠のない中国にとりましては、半分でも尖閣諸島に属する権益を手に入れることができれば、目的は半ば達成したようなものなのです。そして、この成功に味をしめた中国は、次なる要求を突き付けてくることでしょう。再び、硬軟両面作戦を駆使して…。

 中国の作戦は、既に見抜かれているのですから、安易な譲歩は禁物です。軍事的な圧力に屈し、日本国政府が、正当な権利を他国に譲る前例を造りますと、国際社会の法秩序は、一気に流動化します。中国政府がICJに訴えることができない理由は、国際法上の根拠の欠如にあるのですから、日本国政府は、防備を固めるとともに、法を盾に尖閣諸島を守り抜くべきと思うのです。

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コメント (2)
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