万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

自民党が日本の共産党になる日は来るのか?

2019年04月29日 15時14分54秒 | 日本政治
自民党は、戦後長らく、特に米ソが鋭く対立した冷戦時代にあっては、共産主義と闘う反共・親米政党の役割を果たしていました。自民党の保守党としてのイメージはこの時代に築かれたのであり、今日に至るまで、多くの国民がこの自民党像を以って同党を理解しています。しかしながら、自民党内部における親中派勢力の拡大は、従来の自民党像を覆しつつあります。

 候補者選定等の党内人事に絶大な影響力を保持している二階幹事長の度を越した親中姿勢は既に危険水域に達しているのですが、この状態が今後も継続するとすれば、やがて自民党は‘日本の共産党’、あるいは、‘中国共産党の日本支部’へと変貌してゆくことでしょう。そしてそれは、自民党が自発的にこの道を選んだと言うよりは、中国共産党の対日戦略の‘勝利’であるかもしれません。それでは、中国共産党は、どのような対日戦略を遂行してきたのでしょうか。

 日本国民の大半は、共産主義に基づく暴力革命を支持してはおらず、むしろ、日本国内で共産主義政権が樹立される事態を怖れています。このため、‘本物’の日本共産党ですら暴力革命の路線は放棄し、民主的選挙を経た平和的手段による政権奪取を殊更にアピールしているのです。中国共産党も、日本国民の‘共産党アレルギー’を熟知しており、‘万年野党’と化している日本共産党には共産化の役割を期待はしていないことでしょう。しかも、露骨に日本共産党を支援すれば、日本国民の反中感情に火を付けかねず、中国の日本国に対する政治的野望も表沙汰になります。

 日本共産党による革命は共産主義者の‘正道’であるとはいえ、この方法を利用できないとすると、次善の策として考えたのが、一時的には政権交代があったものの凡そ‘万年与党’の座を維持してきた自民党の内部に親中派の勢力を拡大させる作戦であったと推測されます。日本国民の多くは自民党を保守政党と信じていますし、長年の習慣で投票用紙に自民党の候補者名を記入する有権者も少なくありません。いわば、有権者の心理には‘自民党に任せておけば間違いはない’という一種の慣性の法則が働いており、自民党の支持基盤に見られる保守的心情を上手に利用すれば、日本国の政界に対して影響を及ぼすことができるのです。これは、一種の偽旗作戦です。

 自民党を籠絡する手段としては、多方面作戦が展開されたことでしょう。例えば、まずは、一党独裁体制にあっては中国共産党は唯一の‘与党’ですので、自民党の政治家に対して中国利権を独占的に提供するという方法があります。二階議員の地元である和歌山県の白浜アドベンチャーワールドには上野動物園を上回る頭数のパンダが供与されていますが、巨大な中国市場を背景としたビジネス関連の利権は相当数に上るはずです。白羽の矢を立てた議員を斡旋の窓口に据えれば、同議員の党内での地位を高めることもできます。また、所謂‘ハニートラップ’と呼ばれる手法もありますし、訪中時に際しての饗応といった古典的な手法もあるかもしれません。

 そして、間接的であれ、中国共産党が自民党内の人事権を掌握できれば御の字です。二階幹事長はまさにこのポストにあるのですが、かくして自民党が‘日本の共産党’と化した場合、どのような事態が起きるのでしょうか。現状が続くとすれば、親中政権の誕生は時間の問題となりましょう。もっとも、この段階に至りますと、日本国民も自民党の変質と異変に気が付くこととなります。この時、看板は‘自由民主党’であっても中身が‘日本の共産党’となった自民党に対して、日本国民、特に保守層は全幅の信頼を置いて同党を支持し続けるのでしょうか(偽旗作戦に騙されることに…)。

 こうした事態を受けて自民党が分裂したとしても、新自由主義派と親中派に分かれたのでは、どちらを選んでも日本国民は苦しむこととなりましょうし、野党各党を見ましても、親韓国・北朝鮮派、あるいは、イデオロギーに染まった極左ばかりのようです。元号が平成から令和へと移る今、日本国民も、政治に対して無関心ではいられない時代を迎えつつあるように思えるのです。

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コメント (6)
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