日本がWTO敗訴=韓国の水産物禁輸を一転容認―最終審
2011年3月11日に発生した福島第一原発の事故以来、韓国政府は、日本産の水産物に対して禁輸措置をとってきました。同措置を不当性とした日本国政府は、WTOの紛争解決パネルに判断を求めたのですが、最終審に当たる紛争処理上級委員会は、一審となる小委員会の判断を覆し、同問題について韓国側の言い分を認めたそうです。日本国側の逆転敗訴となったのですが、この判決、マイナス面ばかりではないように思えます。
プラス面として第1に挙げられる点は、農水産物に関しては、必ずしも輸出量の増加が一般の国民にとりましては利益とはならないことです。日本国政府は、2020年までの目標として農産物輸出1兆円を掲げ、輸出拡大の促進に努めています。食糧自給率が高く、国内で余剰農水産物がある場合には、新たに販路を広げるという意味でも輸出拡大は望ましい方針なのですが、現状を見ますと状況は逆です。食糧自給率は低下の一途を辿る一方で、近年、健康面から国産が見直される傾向にあるとはいえ、安価な輸入食品も増加傾向にあります。これらの要因が相まって、国産品の値上がりが家計を圧迫しており、かつては日常的に食卓に上った食材も、今では高級食材と化した事例も少なくありません。例として、近年、健康効果から注目を浴びているサバの缶詰を取り上げれば、サバの海外輸出拡大と国内需要の増加によって、水産各社とも値上げを決定しています。こうした状況下にあって、韓国向け水産物の輸出が再開されるとしますと、食糧自給率(食糧安全保障)の更なる低下、代替輸入の増加、水産物並びに加工食品価格の上昇、国民生活の悪化といった諸問題に直面することとなりましょう。韓国による禁輸の継続は、これらの面においてプラス効果となりましょう。
第2のプラス面は、日本国もまた、海外からの輸入農産物に際して自国の食品安全基準を徹底できる点です。現在の状況は不確かなのですが、民主党政権の時代に、韓国から輸入する農産物に対して大幅に安全基準を緩和させたとする情報があります。つまり、今日なおも、細菌汚染度や農薬残留量等において日本国の安全基準を下回る農水産物が韓国から輸入されているかもしれないのです。仮に、WTOが、加盟国に対して食品安全基準の設定権限を完全に承認する、あるいは、韓国政府の設定した放射能汚染基準の正当性を認めたとすれば、日本国側も、当然に、自国の独自基準を韓国産の輸入品に対して適用することができます。
報道に拠りますと、小委員会の決定が取り消されただけであり、日本国の水産物の安全性等に関する判断は維持されているとのことですが、何れにしましても、日本国政府も国民も、プラス面を伸ばすことで、危機をチャンスに変える努力は必要なように思えるのです。
*追加情報により、19時30分に記事を一部削除、並びに、修正いたしました。
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2011年3月11日に発生した福島第一原発の事故以来、韓国政府は、日本産の水産物に対して禁輸措置をとってきました。同措置を不当性とした日本国政府は、WTOの紛争解決パネルに判断を求めたのですが、最終審に当たる紛争処理上級委員会は、一審となる小委員会の判断を覆し、同問題について韓国側の言い分を認めたそうです。日本国側の逆転敗訴となったのですが、この判決、マイナス面ばかりではないように思えます。
プラス面として第1に挙げられる点は、農水産物に関しては、必ずしも輸出量の増加が一般の国民にとりましては利益とはならないことです。日本国政府は、2020年までの目標として農産物輸出1兆円を掲げ、輸出拡大の促進に努めています。食糧自給率が高く、国内で余剰農水産物がある場合には、新たに販路を広げるという意味でも輸出拡大は望ましい方針なのですが、現状を見ますと状況は逆です。食糧自給率は低下の一途を辿る一方で、近年、健康面から国産が見直される傾向にあるとはいえ、安価な輸入食品も増加傾向にあります。これらの要因が相まって、国産品の値上がりが家計を圧迫しており、かつては日常的に食卓に上った食材も、今では高級食材と化した事例も少なくありません。例として、近年、健康効果から注目を浴びているサバの缶詰を取り上げれば、サバの海外輸出拡大と国内需要の増加によって、水産各社とも値上げを決定しています。こうした状況下にあって、韓国向け水産物の輸出が再開されるとしますと、食糧自給率(食糧安全保障)の更なる低下、代替輸入の増加、水産物並びに加工食品価格の上昇、国民生活の悪化といった諸問題に直面することとなりましょう。韓国による禁輸の継続は、これらの面においてプラス効果となりましょう。
第2のプラス面は、日本国もまた、海外からの輸入農産物に際して自国の食品安全基準を徹底できる点です。現在の状況は不確かなのですが、民主党政権の時代に、韓国から輸入する農産物に対して大幅に安全基準を緩和させたとする情報があります。つまり、今日なおも、細菌汚染度や農薬残留量等において日本国の安全基準を下回る農水産物が韓国から輸入されているかもしれないのです。仮に、WTOが、加盟国に対して食品安全基準の設定権限を完全に承認する、あるいは、韓国政府の設定した放射能汚染基準の正当性を認めたとすれば、日本国側も、当然に、自国の独自基準を韓国産の輸入品に対して適用することができます。
報道に拠りますと、小委員会の決定が取り消されただけであり、日本国の水産物の安全性等に関する判断は維持されているとのことですが、何れにしましても、日本国政府も国民も、プラス面を伸ばすことで、危機をチャンスに変える努力は必要なように思えるのです。
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