万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

寧辺の施設爆破は何であったのか?

2009年04月15日 16時03分06秒 | 国際政治
北朝鮮、寧辺核施設の監視団に退去命令…米政府当局者(読売新聞) - goo ニュース
 六カ国協議からの離脱を宣言した北朝鮮は、早速、核開発の再開に取り掛かり、IAEAやアメリカの監視団を国外に追い出すようです。この展開を見るにつけ、テロ支援国家の解除の条件として行われた寧辺の核施設爆破のシーンは、何であったのかと思うのです。

 結局、核開発がいとも簡単に再開できるのならば、核施設爆破は、演出された単なる”政治ショー”に過ぎず、北朝鮮の核開発阻止には何らの効果もなかったことになりそうです。爆破当時にあっても、既に使われなくなった旧式の施設ではないか、との指摘はなされていましたが、今回の北朝鮮の行動はそれを裏付けることになりました。またもや国際社会は、北朝鮮に騙されたのです。

 アメリカのクリントン国務長官は、米朝の直接対話を示唆しております。しかしながら、まるで”いたちごっご”を見ているようで、いつまでも状況が解決に向けて動き出しそうにありません。NPT体制を維持するならば、あらゆる手段を尽くして北朝鮮の核放棄を実現すべきと思うのです。

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北朝鮮―核とミサイルはトレード・オフ?

2009年04月14日 14時23分49秒 | 国際政治
北朝鮮、「6者脱退」と表明 安保理議長声明に反発(朝日新聞) - goo ニュース
 もし、北朝鮮の言い分を文字通りに受け取るとしますと、”人工衛星”という名の大陸弾道弾ミサイル技術の開発が許されれば核開発は放棄する、と言うことになります。しかしながら、北朝鮮が、本心からこのトレード・オフを認めているとは思えないのです。

 何故ならば、小型化された核兵器と大陸弾道弾ミサイルの両者が揃ってこそ、アメリカを脅かし、自らが優位な立場に立って米朝交渉を行うとする北朝鮮の目的が達成されるからです。核とミサイルの片方が欠けても目的は実現しませんので、北朝鮮は、たとえ安保理での議長声明が採択されなかったとしても、結局、両者の開発はやめなかったことでしょう。何れにしても、結果は同じなのです。

 北朝鮮の六カ国協議の脱退宣言は、話し合い路線が北朝鮮に悪用され、時間稼ぎに利用されるリスクがなくなっただけ、むしろ見通しはよくなったのかもしれません。そうして、国際社会は、NPT体制の行方を含めて、核問題と安全保障の問題を根本的に議論する時期に来ていると思うのです。

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「核なき国」の不安への対処を

2009年04月13日 17時21分03秒 | 国際政治
オバマ米大統領の「核なき世界」、前途多難との声が大勢(トムソンロイター) - goo ニュース
 核を持たない国の不安は、核を持つ国には十分に理解されないのかもしれません。しかしながら、核問題において最も優先して考えねばならないことは、核を持たぬ国の安全保障問題ではないかと思うのです。

 核保有国の間には、現在でも、相互破壊力による核の均衡というバランスが成り立っています。これまで大国間で行われてきた核弾頭や大陸弾道弾ミサイルの数の削減交渉は、このバランスを保った上でのお話であり、全面放棄というわけではありません。ところが、核保有国と非核保有国との間にには、相互抑止のバランスは存在していません。今日に至るまで、一方的に、非核保有国が核保有国から核攻撃の脅威に晒されているという状況が続いているのです。しかも、この不均衡は、北朝鮮やイランへも核が拡散するとなりますと、さらに悪化します。

 オバマ米大統領の掲げる「核なき世界」は究極の理想ではありながらも、もし、NPT体制を維持し、加盟国に抑止力としての核の保有を認めないならば、現実の脅威への対応として、非核保有国の安全確保の仕組みづくりを進めるべきではないか、と思うのです。

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特別優遇型政策の光と影

2009年04月12日 13時41分51秒 | 日本政治
【核心】高速道路休日1000円 大渋滞は幻 募る不満(産経新聞) - goo ニュース
 最近の政府の経済対策には、一部だけを切り取って、あたかも経済効果があるかのように宣伝するパターンが多いように思うのです。”高速道路休日1000円政策”もその一つと言えそうです。

 いざ政策を実施してみますと、高速道路の交通量の増加は、国土交通省の当初の見込みをかなり下回ることになるそうです。この見込み違いもさることながら、しばし考えてみるべきことは、景気対策としての政策の良し悪しです。道路会社やETC製造会社への波及効果だけを取り上げますと、確かに収益の増加が見られますので、経済効果はあったと主張されるかもしれません。しかしながら、鉄道会社やフェリー会社の収益が低下し、また、物流を担う運輸会社が何らの恩恵も受けないとなりますと、この政策が景気浮上に貢献しているのか怪しくなります(取引が増えるわけでも、価格が下がるわけでもない・・・)。唯一恩恵を受ける個人も、不景気にあっては積極的にドライブに出かける余裕のある人々は限られてもいます。

 結局、特別優遇型の政策では、優遇措置を受けた分野にのみ利益が集まり、その他の分野は、その分、収益が減少して経営が苦しくなりそうです。こうしたプラス・マイナスがゼロになる政策は、良策と言えそうにありません。税金を投入して政策を実施する限り、不公平感を伴うものであったはならないと思うのです。

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国民は巨額の財政出動を望んでいるのか?

2009年04月11日 15時14分33秒 | 日本政治
いいのかな 国債44兆円、税収上回るかも 戦後初 (朝日新聞) - goo ニュース
 国債の発行額が税収を超えるとは、異常事態としか言いようがありません。常識的に考えれば、後から巨額の増税が待っているということになるのですが・・・。

 政府は、国庫をまるで自分の”お財布”のように考えているようですが、財政とは、国民の税負担によって賄われるものであり、国民からの預かりものです。国債の発行は、政府の借金ではなく、結局は、国民の借金なのです。現行の政治制度で問題となるのは、借金の債務を負う人と、借金を決める人とが違うところにあるのかもしれません。議会制度の始まりに、国王に対する課税同意権があったことを考えますと、現在の政治制度の方が、負担者の声が反映され難い制度なのです。

 世論調査であれ、巨額の財政出動について国民が心から賛成しているのか、政府は、意見を聞く機会を設けるべきと思うのです。このままでは、将来、国民も企業は、増税に押しつぶされてしまいそうです。

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北朝鮮への制裁骨抜きの不思議

2009年04月10日 13時06分39秒 | 国際政治
政府、北朝鮮への追加制裁を決定(朝日新聞) - goo ニュース
 北朝鮮のミサイル発射実験に先立って、日本国政府は、輸出入の全面禁止や北朝鮮人の再入国制限など、厳しい制裁措置を検討していたはずです。しかしながら、いざ蓋を開けてみますと、効果が疑問視されている送金の監視強化のみとなりそうなのです。

 政府の説明よりますと、日本国だけが突出した姿勢を示すと、国際協調が乱れるとのことのようです。しかしながら、ミサイルの脅威を受けた当事国が厳しい制裁措置を取ることは当然のことであって、むしろ、国際社会において突出することの方が自然な対応と言えます。狙い撃つかのように自国の上空を他国のミサイルが飛んでいったにも拘わらず、当事国が、黙って相手国の危険な行為を見過ごすなどあり得ないことなのです。もし、日本国政府の対応が、黙認、あるいは、ミサイルへの屈服のサインと相手国にとられるとしますと、我が国は、今後も北朝鮮からの脅しを受け続けることになりましょう。政府は、脅威を受けた国として、国際社会に制裁強化の理解を求めるべきですし、国民にも態度が軟化した理由をきちんと説明すべきなのではないでしょうか(公表されていない別の理由があるのかも・・・)。

 国際協調を破壊する行為を、国際協調の名の下で許すとするならば、それは、何かひどく間違っているように思えるのです。

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日本国は非核保有国の安全問題を提案すべき

2009年04月09日 17時36分15秒 | 国際政治
自民・坂本氏「日本も核を」 党役員連絡会で発言(朝日新聞) - goo ニュース
 日本も核を、と叫ぶだけでは、イランや北朝鮮と同列の国家と見なされ、むしろ、国際社会から警戒されることになります。もし、日本政府が、自国の安全を考えるならば、非核保有国が抱えているNPT体制の制度上の欠陥を国際社会に提起すべきと思うのです。

 現在のNPT体制では、条約に違反して核開発を行い、密かに核を保有することになった国に対する有効な制裁規定はなく、国際査察の受け入れが義務付けられているに過ぎません。違反国に対する制裁や対抗措置は、あくまでも個別の国家の判断に任されております。また、国連安保理も核放棄に対して有効に機能するとも思えませんし、六カ国協議といった多国間交渉も無力を露呈しています。この状態では、条約を誠実に守っている非核保有国だけが、常に、他国からの核攻撃の脅威にさらされるという不利益を被ります。

 日本国政府は、NPT体制を洗いなおし、日本国を含めた非核保有国の安全を確立する方法こそ提案すべきと思うのです。ルール違反をした国だけが優位に立つ、というアンフェアな状況は許してはならないのではないでしょうか。

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アメリカのMD予算削減は日本国のチャンス

2009年04月08日 12時39分08秒 | 日本政治
参院も抗議決議採択、北朝鮮ミサイル発射(朝日新聞) - goo ニュース
 報道によりますと、アメリカのゲーツ国防長官は、F22の生産を終了するとともに、ミサイル防衛システムの予算も削減することを大統領に提案するそうです。北朝鮮のミサイル発射実験の直後であっただけに、この記事を目にした時には残念に思えたのですが、見方を変えれば、日本国にとりましては、MD開発を進めるチャンスとなるかもしれません。

 日米同盟において、両国の防衛技術協力についてどのような協議や取り決めがあるのかはわかりませんが、レーザー技術を含めたMD技術は、我が国の安全保障のみならず、将来のパワー・バランスに大きな影響を与えることが期待されています。もし、アメリカが、MD技術の開発に力を注ぐ意思がないならば、日本国は、代わりにMD予算を増額し、MD技術の確立に努めるべきと思うのです。アメリカは、核保有国でもあり、十分な攻撃力も抑止力も備えていますので、日本国ほどに、MDの必要性が高いわけではありません。この事情を考えますと、専守防衛を基本とし、しかも、周辺諸国からミサイル攻撃の脅威にさらされているわが国ほど、MD開発に適した国はないのです。

 我が国がMD技術の確立に成功すれば、それは、同盟国であるアメリカの利益にもなるはずです。将来性にかけて積極的にMD開発に取り組めは、日本国は、技術力をもって平和に貢献することになるのではないでしょうか。

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国際社会の安全に無責任な中国

2009年04月07日 14時41分00秒 | 国際政治
安保理 対北新決議に中露冷淡 ほくそ笑む北「成功祝うべきだ」(産経新聞) - goo ニュース
 国連安保理における中国の態度を見る限り、中国は、常任理事国、および、核保有国としての責任を果たそうとする意思がないようです。六カ国協議では、主催者のように振舞っていましたが、北朝鮮のミサイル実験を擁護するようでは、その本気度が疑われます。

 アジア情勢が不安定化する最大の要因は、本来、国際社会の安全に対して責任を負うべき中国が、責任者どころか国際秩序に対する挑戦者となっていることではないか、と思うのです。国連憲章でもNPTでも、常任理事国や核保有国に対しては、国際社会の平和を守り、核拡散を防止するという責務を課しています。しかしながら、中国の行動パターンはその逆であり、むしろ、自らに法的な義務を課している現在の国際法体系に対して反旗を翻し、違反行為を容認しているようなのです。もし、責任者としての自覚があるならば、他国に危険を及ぼすような行為に対して、強く非難するはずです。

 アジアの不幸は、無責任な国が軍事大国化することであり、暴力主義が容認されてしまうことです。日本国は、たとえ国連決議が採択できなかったとしても、国際社会に責任を負う国家として、独自の制裁を実施し、アジアに広がりつつある暴力主義を抑え込むべきと思うのです。 

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「在外北朝鮮籍の人」は”影の政府”をつくっては

2009年04月06日 17時09分22秒 | 国際政治
在外の「北朝鮮籍の人」が批判を=橋下大阪知事(時事通信) - goo ニュース
 大阪府の橋下知事は、府下に在日朝鮮の人々が多く居住していることを意識してか、「北朝鮮籍の人」に体制の変革を促す発言をされたようです。

 北朝鮮では、”人工衛星”の打ち上げ成功を祝っているようですが、北朝鮮のトップの健康状態も怪しく、何時、体制に異変が起きてもおかしくない状況のようです。そこで、体制が崩壊した場合に備えて、”影の内閣”ならぬ”影の政府”をつくり、本国で異変があった場合、バックアップ機能を果たせるようにしてはどうかと思うのです。日本国には自由がありますので、思うままに政策を立案したり、国家の仕組みを考案することもできます。もちろん、体制崩壊後には、韓国との再統一を政策として提案することもできましょう。

 本国の人々は、自らの将来について何もすることができないのですから、在外北朝鮮人の人々が、本国の人々に代わってその役割を果たすべきと思うのです。

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北朝鮮ミサイル実験―舞台は政治に

2009年04月05日 15時39分39秒 | 日本政治
確認されぬ「2段目」、指定区域外れ日本側に落下か(読売新聞) - goo ニュース
 日本国政府を含め周辺諸国が強硬に反対する中を、北朝鮮は、本日、”人工衛星発射”という名のミサイル実験に踏み切りました。この実験が、成功なのか失敗なのかは現在の情報のみでは判断することはできませんが、その本当の結末は、今後、日本国政府および国際社会が、北朝鮮への制裁を如何に実現するかにかかっていると思うのです。
 
 日本国政府は、北朝鮮に対する制裁の手段を数多く握っています。その最大の武器は、北朝鮮への送金の全面停止や出入国管理の強化となりましょう。また、北朝鮮を財政面で支えていると指摘されているパチンコ産業に対する規制強化も、間接的な制裁手段と言えそうです。日本国は、既に国連安保理への提起に動いており、北朝鮮に対する国際的な制裁強化を呼びかけてもいます。中国やロシアは難色を示しているようですが、任意の諸国だけでも制裁に協力することはできるはずです。

 北朝鮮は、実験後に訪れるであろう自国に対する制裁については、全く想定していなかったのかもしれません。しかしながら、実験の真の結果は、上空ではなく地上の政治に舞台を移した後、やがて明らかとなると思うのです。
 
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香港とマカオはブラック・ホール化する?

2009年04月04日 17時44分04秒 | 国際経済
タックスヘイブン ブラックリスト公表(産経新聞) - goo ニュース
 G20では、タックスヘブンの取り締まりを強化することが合意され、この方針に沿って、OECDがブラック・リストを公表したと伝えられています。ところが、北朝鮮の秘密口座でも知られるマカオや香港については、このリストには掲載されませんでした。

 もちろん、リストに名がないことは、マカオや香港が租税回避地ではないことを意味しているのではなく、中国からの圧力に屈して、公表を見送ったと考えてよさそうです。そうして、この公表見送りは、やがてマカオや香港を無法地帯と化し、マネーロンダリングや秘密口座がひしめき、世界中の怪しいマネーを吸い寄せるブラック・ホールとなすかもしれません。

 中国政府は、金融市場における不正を取り締まるどころか、悪の温床を保護するという、よからぬ道に迷い込みそうなのです。

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偽装ミサイル防止策―宇宙条約の改正を

2009年04月03日 15時51分51秒 | 国際政治
日本の「重要対象」に報復も=ミサイル迎撃なら-北朝鮮軍が警告(時事通信) - goo ニュース
 北朝鮮は、宇宙条約に加盟した上でIMOやICAOに通達を行い、今回のミサイル実験は合法的な人工衛星の打ち上げであると主張しているようです。もし、実際にはミサイル実験であったとしても、人工衛星に偽装すれば許されるという前例がつくられるとなりますと、今後とも、同様の事件が起きる可能性があります。

 宇宙条約の目的はあくまで平和利用であり、締約国は、この目的に沿って行動する義務があります。しかしながら、当条約には、締約国の宇宙利用が、本当に平和利用が目的であるのか確かめる手段が定められていません。また、近隣諸国の安全が損なわれる可能性がある場合の措置についても、規定を置いていないのです。いわば、各国の良識と良心に任されていると言えます。そうして、条約にこうした盲点がある故に、北朝鮮のような目的を偽装しようとする国も現れてしまうことになったのです。
 
 偽装ミサイル実験を防ぐには、ある国の実験が他の国の安全を脅かす可能性がある場合には、危険にさらされる国が、実験に先立って目的の調査や中止を求めることができるよう、宇宙条約を改正すべきなのではないでしょうか。人工衛星というミサイル実験の口実は、封じるべきと思うのです。

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チベットを犠牲にしたフランス

2009年04月02日 15時30分55秒 | 国際政治
中仏首脳、会談へ チベット独立 不支持で合意(産経新聞) - goo ニュース
 金融危機の発生で、どの国も経済的に疲弊していることにおいては立場は同じはずです。にもかかわらず、チベットの独立不支持を表明することで、中国との関係改善を図るとなると、これは、他国を犠牲にした行為となるように思うのです。

 国際法に照らしても、チベットには、十分に独立を主張する権利があります。ダライ・ラマ14世は、自治権の拡大を求めるとしていますが、チベットに、本源的な独立の権利があることには変わりはないのです。如何なる国際法学者も『17条協定』をもって、中国によるチベット侵略と併合を正当化することはできないことでしょう。これ程までに、中国のチベット支配が侵略行為であることは明確なのですから、フランスのチベットの独立を支持しない、という意思表示は、延いては国際社会における法秩序の否定ともなりかねないのです。

 もし、サルコジ大統領に言い訳の道が残されているとしましたら、それは、この共同声明が公表された日が、エイプリル・フールであったということだけかもしれません。

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ミサイル防衛で軍産複合体が”善玉”になる?

2009年04月01日 15時34分22秒 | 国際政治
北朝鮮が打ち上げるのは弾頭でなく人工衛星の可能性高い=米高官(トムソンロイター) - goo ニュース
 北朝鮮の人口衛星打ち上げを口実としたミサイル実験については、アメリカの軍産複合体の陰謀であるとする説が囁かれているようです。つまり、極東での緊張を煽ることで、日本国へのミサイル防衛システムの売り込みを容易にしよう、ということのようなのです。

 しかしながら、既に、ロシアも中国も大陸弾道ミサイルを大量に保有していることを考えますと、この説は、いささか説得力に欠けると思われます。両国とも小型化された核弾頭を保有していることは確かですし、我が国にとりましては、国家を挙げて反日教育を行い、敵愾心を植え付けている中国の方が、はるかに重大な安全保障上の脅威となっています。つまり、北朝鮮のミサイル実験があろうとなかろうと、日本国には、ミサイル防衛を急ぐ必要性があることには変わりはないのです。

 また、軍産複合体にとっても、攻撃兵器からミサイル防衛重視へと、各国政府が政策方針を転換することは、新市場の開拓の絶好のチャンスとなるはずです。ミサイル防衛は生まれたばかりの技術ですので、わざわざ緊張を高めたり、戦争を起こさなくても、現状でも充分に、ビジネスチャンスがあるはずなのです。全ての諸国が、ミサイル防衛を完備するまで市場は拡大し続けるのですから。むしろ、ミサイル防衛技術は、”悪玉”として批難されてきた軍産複合体を、戦争ではなく、平和のためにビジネスを行う”善玉”の企業体に変身させてしまうかもしれません。

 軍産複合体が”善玉”に変身するという説は、4月1日の記事ではあっても、現実のものとなってほしいと願うのです。
 
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