甘い生活 since2013

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津市に新築の五重塔!

2020年04月23日 06時08分24秒 | 三重の文学コレクション

 林 望さんが、わざわざ津市の五重塔建設の現場に来られたそうです。残念ながら、ボクは、そういうことがあったのも知らなかった。何という県民だ!

 三重県の津市の古刹観音寺に、今、平成の五重塔が新築されつつある。この寺には、古く三重塔は在った由であるが、室町期に倒壊して以来、再建されることはなかった。今回の五重塔は、精神的には、その塔から幾許かのものを受け継いでいるかもしれないが、実際には、まったくまっさらの新築事業だというのが正しかろう。

 津市の観音寺といえば、浅草と大須(ナゴヤ)と三つ合わせて三大観音というみたいですけど、参拝者の数では負けているかもしれません。それに、ここは町中にあるので、駐車場もなくて、現代では行きたくても行きにくいところになっています。道からスーッと斜めに見る程度しかできない。

 そういうふうに五重塔が、今この時代に「新築」されるなんてことは、めったとないことなので、ひとつ見に行こうかと思い立ったのだが、正直言うと、室生寺の五重塔再建みたいなものなら格別、まっさらの新築ではあまり面白くはなかろうと思いながら、はるばる津まで出かけて行ったのだった。
 しかし、それはとんだ大間違いの考えであった。

 それにしても、林望先生って、翻訳家でしたっけ? 美術愛好家? 建築家? 本業はなんだったろう? 先生、何を見つけたんです?



 そこで、私が見たものは、撥剌たる表情をして、早朝から夜遅くまで、活き活きと、黙々と、塔を建てている、若い宮大工たちの姿であった。
 まったく新しい塔を創る。これは修復や模倣なのではなくて、ゼロからの創造の営為なのだ。平成の御代に、平成の人々の浄財喜捨を集約し、平成の宮大工の技術を集大成して、どこにも無いものを創るのだという志が、おのずから天を衝く塔の形となって、今天壌の間に現れつつある。そうやって二百年後の重要文化財を創っているのだという気概が、現場に充ち満ちている。
 素晴らしい光景だった。
 現代の技術といっても、その工法はまったくの伝統的組木工法であって、この二千年の間に、私たちの祖先が守り磨き上げてきた寺社建築の精髄と言ってもよいものであった。

 そりゃね、ものを創り上げる現場って、いいですね。しかもそこに伝統があったら、もっと人は活き活きとしていられるでしょう。

 そんなふうにして作られた塔があったのか。今度、コロナが落ち着いたら、近鉄に乗って行ってみようかな。



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