甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

目が醒める清水……醒ヶ井へ

2015年08月15日 16時06分49秒 | 街道を歩こう!
 柏原歴史館の受付の女性に訊ねてみました。
「今から醒ヶ井まで歩くんですけど、どれくらい距離はありますか?」
「だいたい4キロくらいです」
「あっ、そうですか。ありがとうございます」
「はい、気をつけて歩いてください」

 そう励まされて、真昼の街道にひとり。歩く人はだれもいません。時折、クルマが行き過ぎるだけです。わざわざ街道をクルマで通ってみる人もいるのかもしれないけれど、たいていは地元のクルマがゆっくり抜けていくばかりです。

 確かに、自分のことを考えれば、東海道も、参宮街道も、和歌山街道も、どれも用事で抜けることはあるけれど、わざわざそこを観光するために走るということはありません。それに街道を観光するのなら、季節的にいいシーズンに行くべきであって、真夏の真昼に歩くバカはいません。

 それなのに18キップの青春気取りの私は、若者だって歩かない中山道の真夏です。と、自虐的に書いていますが、実は歩いていて、とてもさわやかで楽しかったのです。

 カバンを肩から提げて、手には駅前で買ったペットボトル。真昼とはいえ、家々の軒の下、木陰、並木がところどころあって、日向のところなら、あの日陰までポコポコ歩こうと励ましながら、だれとも話をしないで、1人でブツブツつぶやきながら、歩くのは楽しかった。




 鴬ケ原というところを歩いていると、太田道灌さんがここで上洛の時に歌を詠んだそうで、今はまったくウグイスの季節ではないけれど、セミや鳥たちの声も聞こえるし、風はゆるやかに吹き付けてくれるし、名神高速や国道が見えるけれど、それとは違う次元で自分だけが江戸情緒を独り占めしていると大満足だったのです。

 ラブホテルが近づいてきて、国道がすぐそばまでやってきて、やがて東海道は国道にのみ込まれてしまいます。しばらくは集落がなくて、町はずれなのでこんなにラブホテルがあるんだなあと感心しつつ、とにかく集落まで歩くけば何とかなるし、日陰もあるだろうと数百メートル黙々と歩き続けます。ここが1番厳しいところでしたし、何もないところでした。ただ自分の足音とクルマが駆け抜ける音だけです。



 やっと左中山道という道標を見つけて、集落に入ると八幡社があって、いつものとおりにお参りをして、そこで狛犬よりも三ザルを見つけたので、撮らせてもらって、もうしばらく名神高速の真下まで来たら、なんとそこが醒ヶ井でした。



 ヤマトタケルさんもおられました。ここでたくさんの人影を見つけられて、やはり真夏なのでみなさんは歩くのではなくて、醒ヶ井そのものを目標に来られていて、ここで三々五々しておられました。その家族のみなさんののんびりしておられるなかを、街道歩いてきたという自慢心をいっぱいにした私が、えらそうにご家族のみなさんを見下していました。たかがアホウのムチャクチャ歩きのくせに威張りやがってと思いますが、達成感があったんだと思います。



 4キロと聞いて歩き始めたけれど、しばらくしたらすぐ道標に醒ヶ井まで6.8キロという表示を見つけていたので、1時間では無理だなと思っていました。気づけば13時から14時半までおおよそ90分は越えていました。



 ちょうど梅花藻の花咲く季節みたいで、清流に根付く梅花藻に黄色い花がついていました。なかなかきれいでみなさんあちらこちらで「キレイ」「水が冷たい」とか言っておられる。



 私も何度も清水に手を入れて、その冷たさに目をさまされて、飲みはしなかったけれど、顔は洗って、よみがえることができました。





 帰りは、スタスタと歩いて、新聞屋さんにクロ柴犬を見つけたり、街並みに心奪われたりして帰って来ました。

 電車を待っているとき、名古屋に帰る女性たちに声を掛けられて、「自分は柏原から醒ヶ井まで歩きました。2時間近く歩きました」と自慢して、ささやかな満足を得て帰路についたのであります。


 


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