リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

2011年4月~その1

2011年04月16日 | 昔語り(2006~2013)
昔、租界と言う言葉があった

4月1日。金曜日。小雨模様。今日から4月。懸案の仕事が確定しないままで日本が週末に入ったから、少なくとも日曜日の夜までは完全週休2日。といったところ。きのうの朝牛乳を使い切って、買いに行くのをすっかり忘れてしまったので、今朝の朝食は卵とトースト。カレシがスクランブルエッグにするというのを、ワタシがきのこがたくさんあるからオムレツにしようと提案して、最終的にワタシがきのこを炒め始め、カレシが卵を溶いて入れ、ワタシが形を整えて、きのこオムレツができあがって、オレンジジュースにトーストに乗せたオムレツにコーヒーが今日の朝食・・・。

仕事がないんだから家事のひとつもやればいいのかもしれないけど、仕事の時間はワタシの時間と言うことにしてあるから、やる仕事がなければその時間はまったくの「フリータイム」。(だから、いずれ引退しても「専業主婦」になるなんてありえないわけ。)ワタシのフリータイムだから、せっかく休みの週末はここぞとばかり「だらけモード」。小町横町をのぞいて、「外国人配偶者持ち」の人への食文化の違いに関するトピックを読んでみる。「食についての好みを共有できないこの悲しさ」と言うけど、食べることは生物の基本的な営みだから、好みを共有しなければならないものではないと思う。もちろんどの国にも特有の「食文化」というものがあるけど、根本的には人種や文化にかかわりなく「何でも食べる(食べてみる)人」と「食べなれたものしか食べられない人」がいるだけではないのかな。「味覚のツボ」が一致すれば、他のところでわかり合えていなくても、一組の男女としてやっていけるのではないかという気がする。裏を返せば、味覚のツボが一致していなくても、愛情があれば好みの違いを尊重し合えるんだろうと思う。まあ、「共有」と言っても、必ずしも双方向の取引を意味しているわけでもないようだけど。

日本に住んでいる小町の住人の特徴のひとつに、海外組が「日本人は~」と言う表現を使うと即座に「みんながそうではない。ひと括りにするな」と反応するのに、海外のことになると「欧米人は~」とこれまたえらく大雑把な括りをする性向がある。ステレオタイプ化は人種や文化を問わないけど、共通しているのはいつも密に接触している人たちについてはあまrそういう括り方をしない傾向があることかな。たとえば、通勤や買い物で毎日東京の雑踏の中を往来している人たちは、いやでも他人は自分と違うことに気がつくだろうと思う。違いが見えるからこそ、誰それは非常識だの、マナー違反だの、うざいだのと言えるんだと思う。だけど、海を隔てた「外国」の雑踏の中の「違い」は見えない。それでたまたま会った人や映画やテレビで見たことがその国の代表になってしまう。逆に、日本の日常から遠く離れて暮らしている日本人にも日本の細かな違いは見えなくなるから、「日本人は~」というくくりになってしまうんだろうな。森の中を歩いて1本1本の木を見ているのと、遠くから森を見ているのとでは、見えるものが違っていてあたりまえだと思うけど。

ところが森の中を歩いていても木を見ないのか、あるいは歩きやすい遊歩道をひたすら歩いているのか、森の木が1本1本違うことがわからないらしい人たちもいる。植民地時代にはあちこちにヨーロッパ人の「租界」ができて、外国に住んで生活しているのにまるで自国で暮らしているかのように振舞う人たちがそこにいた。植民地時代は終わったけど、二十一世紀になってもある意味で「租界」は健在なように思う。たとえば、人種の壁、文化の壁、言葉の壁、制度の壁を挙げて「○○(人)は~」と不興をかこっている人たちは、日本人にしろ、何国人にしろ、精神的な「租界」に住んでいるのかもしれない。まあ、それが快適でいいというのなら、Never the twain shall meetでもしかたがないかな。どこかにひょっと思いがけなく一致する「ツボ」はあるのかもしれなけど、食べる人と、食べず嫌いの人とがいるわけで・・・。

政治的配慮って何なんだ

4月2日。土曜日。正午ぎりぎりに起床。うっ、まぶしい。道路向こうの桜は散り始めている。完全に休みの週末は、ほんとに何にもしないで、食べて、ぐうたらして、また食べて、寝て・・・。もっとも、一度燃え尽きたワーカホリックの焼けぼっくいだから、いつまでのんびりとだらけモードでいられるかはわからない。

新しいコンピュータをセットアップしてもらってから1ヵ月。旧システムからの引越しもほぼ完了。何かふわふわと頼りならないキーボードにも慣れたし、Windows 7とOffice 2010の勝手もわかったし、タッチスクリーンの操作もコツがつかめた。全体的に「なかなかいい」。特に「いい」のがあれこれとのぞきまわっていて見つけたゲーム。おなじみのソリテアの他に目新しいものがいくつかあって、中でも「Mahjong Titans」というのにがっちりはまってしまった。要は、亀とか猫といった6種類のパターンに積み上げた麻雀の牌をペアを探して取り除いて行ってクリアするゲームで、両側を挟まれている牌はだめと言うルール。ソリテアもそうだけど、これもマウスを使わずに指先で画面をタッチするだけで遊べるから快適そのもの。ジグソーパズルのような感じもして、こういう模様合わせ的なパズルが大好きなワタシは1回やってすっかり病みつき。し~らない。

ゲームをひと休みして新聞サイトを見ていたら、産経にスーツ姿で皇居のお堀を泳いで渡った男が逮捕されたと言う記事があった。震災の政府の対応を批判する「直訴状」を持っていたそうな。どういう「批判」なのかわからないけど、政府や役所のもたつきぶりにしびれを切らしたとしたらわからないでもないな。同じサイトにワシントン支局長が地震と津波で大被害を受けた仙台空港の復旧に空軍の特殊パラシュート部隊を送り込んだアメリカ軍に度肝を抜かれたという話を書いていた。実戦を経験した部隊はやることが違うと感心している。続けて、原発事故処理での日米首脳会談で、日本の外務省の発表とホワイトハウスの発表の表現に微妙な違いがあることを指摘していて、次々と連鎖して発生する問題に有効な手を打てないでいる日本側にアメリカが苛立っていると推測していておもしろい。原発事故や同時テロを経験して、着々と対策を立ててきたアメリカの協力をためらう「合理的理由」を政府に問いかけている。メンツの問題と言うなら言語道断だ、と。

同じ産経のサイトに内閣の原子力安全委員会が原発事故処理に当たっている作業員の「造血幹細胞」の採取は不要と決めたのは作業員の命よりも政治的配慮が優先されたのではないかという記事があった。事前に造血幹細胞を採取しておけば、万が一大量に被爆して造血機能が破壊された場合でも移植して造血機能を回復させることができるそうで、医学の専門家が内閣に直参して採取を提言していたと言う。それを不要と決めた委員会は、作業員への精神的、身体的負担増や国際機関の合意がないこと、国民の理解が十分に得られていないといった理由に挙げているそうだけど、ある野党議員の見方では「被曝を前提とするほど危険な場所で作業していることになれば、国民の不安感や諸外国の不信感をあおることになりかねないという政治的配慮があるのではないか」ということだった。つまり、そんな危険な作業じゃないから心配ないと言いたいのかな。だったら、原発は安全でクリーンだよ、放射能が出ていても健康には害はないよ、と安心させるのと同じじゃないの?

もしもワタシが作業員だったら、造血幹細胞を採取しておいてもらった方が、たとえ「万が一」のことがあっても命が助かる可能性があると思って少しは気が楽になると思うけどな。国民に不安感を与えないためとか何とかいう「政治的配慮」で生き延びられる可能性を奪われるのはやりきれない。「万が一」は決して「ゼロ」ではないんだから。日本の人はそういう自分たちのメンツが何よりも大事な政府や官僚にもっともっと憤らないと、1日。わずか2食で毛布1枚のごろ寝という過酷な条件で、放射能を浴びながら事態の収束に努めている人たちがかわいそう。

誰が言ったのかには諸説があるけど、民主主義においては「The people get the government they deserve(国民はその程度に相応の政府を持つ)」と言われる。そうだとしたら、日本国民のメンツにかかわる問題だと思うんだけど。

仕事人間に仕事がないとどうなる

4月3日。日曜日。よく眠ったけど、ヘンな夢を見ていた。オフィスのようなところから道路に出て、車に乗り込んで、ダッシュボードにあるメモの住所へ向かっていた。道路なのになぜかやたらと歩行者がたくさん歩いていて、みんなてんでにぶらぶらと車の前を横切るもので、運転しにくいったらない。なぜか車に知らない人(男!)が乗っていて、ワタシが「カレシを迎えに戻らないと」と言ったら、「歩いて行くだろうからいいよ」と言い、ワタシが「住所の場所は遠いから歩いては行けないよ。戻らなきゃ」と言ってハンドルを切ったところで目が覚めた。何だったんだろうな。それよりも、車の後部席にいつの間にか乗っていた男、いったい誰なんだろう。いきなり人の夢に出て来て、名乗りもせずに運転しているワタシに指示したりして、ちょっと失礼だと思うけど・・・。

曇りがちでちょっと肌寒い日。カレシは庭仕事。ワタシは遊び仕事。先々週だったか、ニューヨークの会社から小さい仕事が入って来て、何か見覚えがあると思っていたら、たいぶ前に同じ会社のサンフランシスコのオフィスに出したトライアルの原稿と同じ、尻切れトンボの契約書。トライアルならそう言えばいいのに。改めて訳すこともないので、トライアルでやって「A」の評価をもらった文書と同じだから無料ですと元の翻訳を送っておいた。トライアルと言わずにトライアルをやらせるなんてちょっと人が悪いと思うけど、この分野は「無料トライアルはノー」という人が多いらしいし、こっちのレートに同意したし、何か予期される案件があって人を集めておきたかったのかもしれない。先週ファイルに入れるので最新のレジュメを送れと言って来た。お、脈がありそうかな。アメリカの主要都市の他に、ロンドンやパリ、フランクフルト、ストックホルムにもオフィスがある会社だし、法律分野の仕事をもらえそうだし、ここは送っておこうか。

庭仕事で食欲倍増したカレシは、早くから「腹が減った~」。ちょうど良く今夜はボリューム料理。鶏のもも肉を使って実験的にサムゲタン風に煮込んでみることにした。シンガポールで買って来たアジア料理の本に基本的なレシピがあるし、ちょっとググってみたらバリエーションとでも言うのか、「サムゲタン風何とか」がたくさんある。それをざっと見渡して、我が家の「試作品」は、鶏ももともち米、しょうがとにんにく、大根と長ねぎ、冷凍庫にあったぎんなん、ナツメの代わりにプルーン、そしてスライスした高麗人参。塩で味付けして、白コショウを少々。少しとろみのある、あっさり味のスープができ上がった。これにカレシが庭から採ってきたビーツの葉とシメジを炒めたのに照り焼きにしたイワナを載せて、何風だかわからない「晩御飯」。でも、カレシは「もっとないの?」というくらい「サムゲタン風チキンスープ」がいたく気に入って、実験は成功。高麗人参ともも肉がまだ残っているから、次は「サムゲタン風七穀粥」なんて作ってみようかな。(ついでに、もち米の袋を眺めて、ちょこっとお餅ができないかなあと夢想しているワタシ・・・。)

何となく体中がほかほかとした気分になって、オフィスに戻ったら、先週からの未確定案件は「なし」で確定したとのメール。お、と言うことは明日の夜までは休みの延長。なんかうれしくなって、またぞろゲームを始める。どうしちゃったんだろうな。この何週間かで、一気に仕事への情熱が冷めてきたのではないかと言う危惧の念が一瞬だけにしろ頭をもたげてくる。どうしたんだろうな、21年もがんばって仕事をして来たのに。もっとも、ワタシは自分のことを「翻訳家」と呼んだことはないし、漠然とでもファッショナブルな職業に就いている気分になったこともないから、たぶんワタシの情熱は自力でのんびりとした老後を送れるための「金稼ぎ」の方に向いていたのかもしれないけど。ま、仕事が入って来るまで、おいしいものを作って食べて、遊んで、大いにだらけて、エネルギーを蓄えて次の波に備えよう。(ニューヨークにレジュメを送ってしまったし・・・。)

うん、まずはきんぴらごぼう作りから始めようか。ゲーム三昧はそれからということにして・・・。

放射能は困るし、電力不足も困る

4月4日。月曜日。雨。ずいぶんよく降った。ワタシもずいぶんよく寝た。午前3時を過ぎると眠くなって来て、普通に4時過ぎにベッドに入ると、すと~んと眠ってしまう。仕事がないから脳もリラックスしているんだろうな。いつもなら就寝時間ぎりぎりまでこき使われているからなあ。

今日も仕事戦線は静かな気配。どこも予算の新年度でもあるし、原発問題が落ち着くまでには数ヵ月はかかるというし、ひょっとしたらしばらくは静かな状態が続くかもしれないな。ということは、この数年の間ずっと棚上げして来た「趣味」を再開しても大丈夫ってことかな。そう言ったら一番乗り気なのがカレシで、どこそこへ行こうだの、何それをしようだの、今からもうぬれ落ち葉になりそうな気配。ま、ほんとうに急に仕事が途絶えるようなことがあっても、65歳定年まであと2年のところまで来ているし、それまでの生活を十分に補填できるだけの蓄えもあるし、二人とも完全に隠居になったときのためのミニ予行演習みたいなものだと思えばいいかな。濡れ落ち葉は外(ボランティア)に出て日に当たれば適度に乾くだろうし・・・。

新聞を見ると、アメリカの景気は割と良い方向に向かっているようなのに、カナダドルは相変わらずのバカ上がりで、今日の対米ドルレートは1ドル3セント以上。福島原発の問題で原油や天然ガスの需要増を見込んでいるのかな。その対米ドルで日本円が下がって来ているから、こっちはダブルパンチ。秋には対米ドルで90円くらいまで下がるかもしれないというから参っちゃうなあ、もう。だけど、そんなに円安に振れていいのかな。もちろん、日本の政府としてはこれからソニーやトヨタにプレステやアニメやプリウスをじゃんじゃん輸出してもらって稼いでもらわなければならないから、輸出の足かせになる円高は望まないだろう言うことはわかるけど。

わかるんだけど、円安になったら輸入しているものの価格が上がる。日本はこれから原子力に代わる発電源として石油や天然ガスが必要になるだろうし、被災地の復興のための建設資材も国産だけでまかない切れるはずがないし、放射能汚染が広がればこれまで以上に食料品を輸入しなければならなくなるというときに、円安になったら困らないのかな。どれも日本国内の生産で十分にまかなえるから大丈夫ということなのかな。輸入価格が上がるということは、日本国内の消費者にとっては生活物資が値上がりするということで、国産品がみんな安全だと言い切れるかどうかわからない状態では、間に合ってますも何もないだろうに。その上で復興の財源にすると言って消費税率を上げられたら、生活者の家計にはダブルパンチ。もっとも、円高をいいことにあれもこれもと買い占められたら、今度はこっちが困るかもしれないな。

新聞にLos Angeles Timesから転載した記事があって、福島原発で作業状況や、食品や魚から検出された放射能のデータ、政府の対応などを長々と伝えていたけど、その中で全国紙の読売新聞が実施した原発に関する世論調査の結果を月曜日に発表したという一節があって、福島原発事故による不安にもかかわらず、回答者の半数近くが現存の原発を維持することを支持していたと書いてあった。えっ、原発反対が多数じゃないの?と思って、早速読売のサイトを探してみたら、あった、あった。(URL) 「今後、国内の原子力発電所をどうすべきか」という問いに、46%が「現状を維持すべきだ」と答えている。記事には電話による全国調査とあるだけで、調査対象者の人数や誤差限界の数字が記載されていないから、統計としての有意性にちょっと問題があるけど、それでも、東電が喜びそうな意外な結果。ふむ、放射能が飛んで来るのは怖いけど、さりとて電気をふんだんに使えないと生活に支障が出るし・・・二十一世紀の選択は難しいな。

新聞記事、最後に「ちょっとポジティブなニュース」として、NHKが漂流する屋根の上から救助されたワンちゃんが飼い主と再会したと報道したという一節で閉められていた。歴史的な悲惨な災害でみんな暗い気持になっているときだからこそ、アップビートな話で締めくくっているのは、いかにもハッピーエンドが好きなアメリカ人らしい。

だから円高にしなきゃと言ったでしょ

4月5日。火曜日。雨は止んだけど、けっこう肌寒くて、午後になっても10度まで行かない。予報を見ても、最低気温が零度近くまで下がっている。ずっと東部や大西洋岸で大雪を降らせて暴れていたラニーニャ嬢が今頃になって「そういえば、あっちの方へはご無沙汰だったわ~」なんて思い出したわけじゃないだろうな。温室では野菜の苗がどんどん伸びているってのに、今頃こっちへのこのこと来られても迷惑なんだけど。(冬中だって来られたら迷惑だけど・・・。)

朝食後、まずメールだけチェックして、(中サイズの)トートバッグを担いでモールに急行。金曜日の夜に買い物に行ったときにチェックした私書箱に「保留メールあり」のカードが入っていたので、まずは溢れた郵便物の引き取り。モールは水曜日から金曜日の3日。だけ午後9時まで開いているから、その時間前に買い物に行けば私書箱を溢れさせることはないんだけど、スーパーが真夜中まで開いているもので、つい早く行きそびれる。今日もカウンターのお嬢さんに「保管料を取った方がいいんじゃない?」と言ったら、「ほんとねえ。We should!」とウィンク。ずっしりと重い(ほとんどがカタログの)郵便物の束を引き取って、今度はスーパーへ。金曜日の夜に行ったときにカレシが自分のリストに書いてあったオレンジジュースを買い忘れて、今朝の朝食が最後。増量するのにグレープフルーツも使ってしまったから、明日の朝のために緊急調達。トートバッグが重くて肩に食い込むので、とりあえず冷凍のを1個だけ。

帰り道の地下鉄駅の前に食べ物の屋台が出ていて、焼きそばや牛丼、その他アジア食を売っている。近くにカレッジがあるからけっこう需要があるだろうな。屋台といえばホットドッグが定番だったのを、市がコスモポリタンなバンクーバーでそれはないだろうと、エスニックフードの屋台を奨励し始め、メニューや衛生管理などの審査をして営業許可を出している。出店場所は抽選か何かで決まるらしい。きのうからダウンタウンで新たに19台が営業を始めたそうで、ラジオ局のサイトがそれぞれの出店場所のリストを載せていた。ギリシャ、ベトナム、インドと結構バラエティがある中に「たこ焼き」を見つけてびっくり。場所はペンダーストリートの800番地台のブロック。「和風」ホットドッグで成功したJapadogの二匹目のドジョウになるかな。たこ焼き大好きのカレシを引っ張って行ってみなきゃ・・・。

早い夕食を済ませて今日から再開する英語教室へカレシを送り出して、ゆっくりと新聞めぐり。ロイターズに「円安は日本経済の重荷になるかもしれない」という分析記事が載っていた。平時なら円安は日本企業の強い味方だけど、今は円高の方がトリプル災害からの復興に貢献するのではないかと言う話。ほら、きのうワタシが言った通りでしょ?と、わりと鼻高々にカレシを相手に円高推進論をぶってみたら、経済学専攻だったカレシは「それはそうだけど」と肯定しておいて、「でも、日本じゃ誰もキミの言うことなんか聞いてないよ」と否定。ま、そりゃそうだな。ワタシは経済学者じゃないし、えらい評論家でもないし、いや、ワタシという人間が日本には存在してないもんね。それでもやっぱり円高に誘導すべきだと思うんだけど、あんがい外国投資家が東電とか日本株を売り払って東京市場から逃げ出しているせいで円安に振れていることもあり得るし、実際はどうなるんだか・・・。

放射能汚染した水を大量に海に放出したせいで、農業に次いで今度は漁業が風評被害。そうなると思ったけど、築地が茨城の魚の引取りを拒否したという話。築地市場としても売れそうにないからしょうがないということなんだろうけど、フランスの研究所と大学が予測した汚染水の拡散を見ると、放射性物質の濃度は薄まりはしても、「汚染水」は仙台湾まで届いて、さらに広がって行く。大地震と大津波であれだけの被害を受けた宮城の人たちが、また今度は放射能汚染という災害に見舞われる(現に、漁ができなくなっている)わけで、すごくやりきれない気持になる。政府は農業も漁業も、すぐに「補償する」といとも簡単に言っているけど、この分だとものすごい額になるんじゃないのかな。身内から借りたとはいえ借金率200%の国のいったいどこにそんなお金が埋まっているんだろうな・・・。

いろいろ比較研究してみると

4月6日。水曜日。いい天気だけど、やっぱりまだちょっと低温。寝ても寝てもまだ寝たりない気分で、正午過ぎに起床。カレシが階段の下から「今日は1ドル4セントだってさ」と、昼のニュースで流れたばかりの対米ドルレートを教えてくれる。ああああ。仕事なんかしたくなっちゃうなあ、もう。円高と同じで、カナダドル高は輸出産業にはきつい。かく言うワタシも端っこの端っこだけど、一応は輸出ビジネスだから「働けど、働けど・・・」みたいになってしまう。何とかしてくれないかなあ。

でもまあ、もうすぐ復活祭の連休だし、高くなったカナダドルを持ってみんな大挙して国境の南へショッピングに行くんだろうから、消費者が潤うと言うことではいいことなのかな。ワタシもどさっと来た通販カタログを見てネットで越境ショッピングしようかな。もちろん、みんなが南へ行ってしまうと肝心のカナダ側のビジネスが困るし、アメリカドルが安くなればアメリカ人はカナダに遊びに来なくなって観光産業も困ってしまう。つまり、あちらが立てばこちらが立たずで、国際経済はややこしい。年末でには1ドル10セントくらいまで行くと言う予想もあるから、しばらくはヒマな方が気が楽かもしれない。

原発危機も、見ていると何だかあちらを塞げばこちらで漏れるみたいなことになっているようで、Damned if you do, damned if you don’tというか、すべてが「苦渋の選択」らしい。Bloombergのコラムでウィリアム・ペセクが「日本人も怒りを抑える限界に来ている」というような、なかなかおもしろい洞察をしていた。データを改ざんしたり、リスクを過小評価したりの毒企業なのに、役員たちは今も給料をもらっているし、首にもならないでいる。ソフトバンクの孫社長が100億円もの私財を寄付したのに、東電の役員からは新聞記事になるような寄付があったという話は聞かないのはどういうことだ、という論調。たしかに原発危機対処の手際の悪さや「不安を煽らないように」という一見ありがたい理屈を建前にした「隠蔽体質」を傍から見ているとじれったくなる。でもまあ、いろんなビジネス文書を翻訳していると、何も東電だけじゃないし、財界だけじゃないし、それに昨日今日始まったことでもないことはわかるんだけど。

ヒマな方が気が楽だなんて言っていたら、Talk of the devil(噂をすれば)で、あ~あ、右からも左からも仕事の話。アメリカから来た日本語のテープ起こしを含むプロジェクトはかなり大きそうだけど、サンプルを聞いてみたら全然わからなくて愕然となった。英語なら何年も上級秘書として口述テープのタイプをやっていたからまだ自信はあるけど、日本語の口述タイプはやったことがない。それでもかっては同時通訳だってできたんだから聞き取れるはずだと思うんだけど、日本語で話をしているのはわかるのに、いくら音量を上げて、耳をかっぽじって聞いても、意味のある言葉として聞き取れない。日本語を耳で聞くことがほとんどないから、ボケてるのかもしれないけど、こりゃだめだ。翻訳の方ならやれると返事をしておこう。それにしてもなあ・・・。

読売の見出しに『海外の大衆紙、恐怖心あおる誇張報道』というのがあった。読売くらいの大新聞なら、欧米のいわゆるタブロイド紙と呼ばれる大衆新聞が日本の(東電みたいな会社にお勤めのリーマンおじさんたちが電車の中で読んでいるエロっぽい写真満載の)大衆週刊誌と同じようなもので、無知な人たちが読むものだということぐらい知っていそうなもんだけどな。ふむ、海外のマスごみに注意を逸らそうとしたりして、何か魂胆があるんじゃないの?怪しいな。まあ、CNNもビジュアルに似たようなことをやってるけど。それにしても、この3週間はジャーナリズムの比較研究のような面もあって、ワタシには大いに勉強になった。

夕食後、遠い方のスーパーへ野菜や魚の買出し。魚もたくさん、野菜もたくさん。何日か前に日本から飛来したと思われる放射性よう素が海草や雨から検出されたというニュースがあったけど、ワタシが(自分の周囲を)見る限りでは放射能が怖いからと言って魚や野菜を敬遠している人はいないな。マクドナルドよりも数が多いと言われるスシ屋の商売に香港の場合と同じような影響が出ているのかどうかは知らないけど、日本からの食料品の輸入はほんとに微々たるものなので、輸入停止になっても日本食産業以外は気づきもしないだろうと思う。今ホットなニュースはカナダ連邦議会の総選挙。カナダ人が自分たちの政府を選ぶイベントだからカナダのメディアと国民の関心が集中するのは当然だと思うけど。

翻訳者はマゾヒスト・・・NOT

4月7日。木曜日。いい天気。起床は正午前。きのうの真夜中のランチに即席サムゲタン風お粥を作って食べたせいか、すごく快適に眠った気がする。

Globalの正午のニュース。日本で大きな余震。津波なし。原発に異常なし。窒素を注入する作業を継続中。韓国では放射能雨を心配して学校が休校。カナダドルの対米ドルレートはまた上昇。総選挙は保守党、自由党ともちょっとした「ダメージコントロール」モード。この好天は週末まで続き、気温も上昇。ただし、来週はまた雨になってやや低温。NHLホッケーは地元カナックスがこともあろうに最下位チームに2連敗したあげく、プレーオフ直前になってフォワードのトレスが4試合も出場停止になって、監督もGMもいたくおかんむり・・・エトセトラ、エトセトラ。うん、ワタシはGlobalローカルの昔ながら?の1時間のニュース番組が好きだな。

大きな事件や事故や災害のニュースが「煽り」のような印象を与えるようになったとすれば、ケーブル放送に「24時間ニュース専門ネットワーク」ができ始めて以来じゃないかと思う。毎日24時間ニュースを流し続けるといっても実際は15分くらいのサイクルだから、事故や災害の映像がテレビの画面に約15分おきに、これでもかというように繰り返し、繰り返し映し出される。映像が悲惨であればそれだけ見ている人の感情に与える衝撃は大きい。日本に同じ形式のチャンネルがあるかどうか知らないけど、なじみの薄い人たちが煽情的に感じるのはありだと思うな。カナダのCTVやイギリスのBBC Worldを見慣れているワタシだって、「もういいよ」と言う気分になることが多いもん。

もういいよとげんなりした協会の理事会選挙もなんとか無事に終わって、国籍条項だの公職選挙法だのを持ち出した真性KYのご仁は大差の最下位で落選。やれやれと思ったら、駅裏の赤ちょうちんおじさんはまだひと言多い。昔、(一緒に飲むには楽しい人だけど)石頭の一言居士のアメリカ人会員がいたけど、この日本人会員もそれに勝るとも劣らない一言居士だなあ。おまけに軽妙洒脱な切り口が売りだと思っているような節もある。それで駅裏の赤ちょうちんの中年サラリーマンを連想してしまうわけで、それが実際の人柄なのか、あるいは「ネット人格」なのかどうかは実物を見たことがないからわからない。それでも「もういいよ」というくらいわずらわしいから、しばらくはKillフィルタを外さずにおこう。

ほんとにコミュニケーションは難しい。言語と文化を共有する人間同士でさえツーカーで通じ合えずに誤解や軋轢が生まれるんだから、同じ言語をしゃべっていても文化が違えばうまくカチッとはまらないところがあるだろうし、文化が同じでも言語が違えば同じようなものだろうと思う。言語も文化も違うとなったら、やっぱり高飛びのバーのように一段も二段も高くなってあたりまえなのかもしれないな。好きでやっているとは言え、2つの言語、2つの文化の石壁の間にがっちりと挟まれて、イタリアの諺のように「Traduttori traditori(翻訳者は裏切り者)」と疑いの目で見られながらも、言語、文化その他諸々の「異種」コミュニケーションの取り持ちに苦心している翻訳者も通訳者も、ちょっとマゾっぽいところがあるのかもしれないという気がして来たけど・・・。

森の外にいる人には森しか見えない

4月8日。金曜日(だよね)。今日も好天で、気温も春らしくなってきた。きのうカレシが「下着がなくなった」と言い出したので、今日はまず洗濯機を回す。この1年以上新しい下着がいると言ってなかった、アナタ?「下着がない」とか「新しいのがいる」と言い続けていれば魔法みたいにボッと現れるとでも思っているのかなあ。案の定、洗濯機を回しておいてモールにあるデパートに買いに行くはずだったのに、天気がいいから庭仕事をしたいので、買い物は夕食後にしよう、と。ま、金曜日はモールが午後9時まで開いているけど、行く方に賭けるか、行かない方に賭けるか・・・。

去年の夏に連邦と州の売上税を統合したHSTが導入されてから反対派が要求していた住民投票。どうやら7月上旬に郵便投票で賛否を問うことが決まった。施行から1年後と、後出しもいいところだけど、地元ラジオ局がネットでやっている世論調査ではHST廃止に賛成と反対がほぼ互角になっている。へえ、去年はあれだけ猛烈な反対が巻き起こって、キャンベル州首相の引退につながったのに、やっぱり喉もと過ぎればと言うことなのかな。元々HSTの打撃を受けたのは州税のPSTが非課税だったものだけで、日常のたいていのものはそれまで連邦税(GST)5%と州税7%だったのが合わせて12%の売上税になったにすぎないから、結局はさほど大きな影響を感じなかったのかもしれないな。遅ればせの住民投票、どんな結果が出るか・・・。

市役所が住宅地で抗議活動のための構築物や看板を設置することを禁止する条例改正をしたのはいいんだけど、その改正作業で中国政府と相談したことがリークして問題になっている。事の起こりは、高級住宅地の片隅にある中国領事館の外にずっと前から法輪功の団体が中国での弾圧に抗議して小屋を作っていた。中国はカナダ政府やバンクーバー市に抗議して取締りを要求し、市は新しい条例を作って小屋を撤去させた。ところが法輪功の訴えで最高裁判所がその条例は憲法違反と判断して改正を命じ、その期限が後10日。に迫ったところで改正した条例を発表したわけなんだけど、主権国家であるカナダの1州の1都市であるバンクーバーの市役所が外国の政府にお伺いを立てるなんて、アエリナ~イ。ま、そういうことがありえてしまうのが我が街のお役所の不思議なんだけど、何億円もする住宅を買いまくっている中国本土からの移民が注目されているときだし、11月の市長・市議会選挙、おもしろくなりそう。

春の観光シーズンのピークだというのに、福島から遠く離れた京都でも外国人観光客が激減しているそうで、「外国人は日本全体が危険だと思っている」と嘆いている。でも、海を隔てた外国の人には北の端から南の端までひっくるめて「Japan」なんで、そのJapanで大地震があった、大津波があった、原発事故があって放射能が出ている・・・そう聞いただけでJapanは危ないと思ってあたりまえだと思うよ。日本人にはカナダは西の端から東の端までひっくるめて「カナダ」であって、たまたま出会った人を見て「カナダ人は~」となるのと同じことだと思うけどね。森の中にいる人には松も杉も柳も見えるだろうけど、その外にいる人には「森」しか見えないってこと。

メキシコで新型インフルエンザが発生してカナダ西岸に飛び火したときに、まるで北アメリカ全体がウィルスが蔓延する危険地帯のように騒いで、旅行をキャンセルしまくっていたのは誰なんだろうなあ。煽らずに客観的な報道をしろと外国のメディアにいちゃもんをつけているけど、インフルエンザのときに、北アメリカから飛んで来たというだけで、物々しい衣装で客をバイキンのように扱っているところをテレビで流すパフォーマンスをしたのはどこの国だったかなあ。ま、森の中の木には森の外は見えないってことでもあると思う。

日本では、『福島県民お断り』という張り紙をしたガソリンスタンドがあったり、福島の人がレストランやホテルで断られたり、車に落書きされたりするという「風評被害」が起きているという記事があった。ま、そういうことが起きるだろうとは予想していたけど、そのうちに小町横町に「福島の人と結婚しても大丈夫でしょうか。生まれて来る子供のことが心配です」なんてトピックが上がってくるだろうな。だけど、そういうニュースはたぶん外国の人たちの目には触れないだろうから、日本人の評判に傷がつくことはないと思うな。ここは、遠くから森を見ている人たちに森の中の木々が見えないのはプラスだということもあると思わない?

ただいま開店休業中

4月9日。土曜日。雲が広がってきた。カレシが早めにごそごそと起き出したもので、釣られてワタシも起きてしまって、なんとなく寝足りない気分。ゆうべからのカレシのリクエストで、ベーコンポテトと目玉焼きの朝食。カレシが肩が痛いといいながらオレンジをいくつも絞ってくれたのでフレッシュなジュース。冷凍の濃縮ジュースとはオレンジの種類や質も違うだろうけど、絞りたてのジュースはやっぱり味が違うなあ。

正午にテレビをつけたら、ゴルフの中継をやっていて、昼のニュースは完全に休みのもよう。週末はいつも30分で端折ってゴルフ中継なんだけど、ま、世の中、平和そうでいいか。チャンネルを切り替えてCTVの24時間ニュース。アメリカ合衆国は「お手元不如意につき臨時休業いたします」ということにはならなかったようで、まずはめでたい。でも、恒例の年次危機になりつつあるような気がしないでもない。ま、アメリカのことだからアメリカ人が何とかすればいいことだけど、就任当初は若々しかったオバマ君もすごく老けたという感じがした。クリントンもブッシュも大統領になって一期目が終わる頃には目に見えて老け込んでいたっけ。戦後最悪の事態と格闘している菅さんはどうなんだろう。菅さんが出て来ないもので、こっちではエダノさんが日本の首相だと思い込んだ人もいるけど・・・。

連邦議会総選挙が始まってほぼ2週間になるけど、保守党と自由党の支持率の差はあまり縮まらず、未だに9ポイントの大差。保守党はちょっぴり下がったけど、上がったのは3番目につけている万年野党の新民主党。ハーパー首相は参加登録をした人の集会に出て公約をぶち上げたりしているのに対して、ハーバード大学を辞めて「救国の士」のつもりでカナダに戻って来て、自由党党首になって、「国民は選挙を求めている!」と威勢よく保守党少数政権を倒したイグナチエフは街頭に出没して支持者と握手して回ったり(いわゆるbaby-kissingというやつ)、バーベキューをやったりの古典的な選挙戦。それなのに、大手のリサーチ機関が各党党首の選挙戦のスタイルを成績評価する調査をしたら、ハーパーはAかBが多い好成績なのに、イグナチエフはどうも「落第点」が多いらしい。とどのつまりは、経済は結構うまく行っているんだし、当面はハーパー政権で文句はないということなのかなあ。選挙ってほんとにおもしろい。

大地震からほぼ1ヵ月経って、収束が見えない原発については毎日「何それに放射性物質がいくら」みたいな記事ばかりで(大きな危機が起きていないと言う意味ではいいことだけど)メディアも少々飽きて来たのか、このひと月の政府や東電の動きや、買いだめや海外での反応といったいろいろな事象を検証する分析記事がちらほら目に付くようになった。産経にはおとといだったか参議院議長とのインタビューがそっくり話し言葉で掲載されていて、じっくり読めたし、今度は「大震災特別連載」と言うのが始まっていて、その初めが首相官邸の「開かずの扉」(首相の執務室)。これもじっくり読むと自然災害が「人災」に発展していく様子を垣間見ることができる。また、社会心理学者その他による「社会事象」の分析もなかなかおもしろい。きっとワタシはこういうタイプの「じっくりと読める記事」を求めていたんだろうな。

考えたてみたら丸々1週間も仕事をしていない。予約はあるけどまだ10日。も先のことだから、このままさらに1週間くらい開店休業が続きそうかな。湾岸戦争が勃発したときも阪神大震災が起きたときも一時的にばったりと仕事が途切れたから、今度もそういうことだろう。一国の経済活動を止めるわけにはいかないし、ビジネス活動まで自粛しているわけではないだろうから、そのうちまた少しずつ動き出すだろうな。まさに未曾有の大災害だったんだから、ペースを取り戻すまでにはかなりの時間はかかるだろうけど。まあ、ちょうどいい機会だと思って(と言うと語弊があるかもしれないけど)、しばらくはゆっくりと休養させてもらうことにしよう。

自粛にもいろいろあって・・・

4月10日。日曜日。正午を過ぎてゆっくり起床。朝起きて真っ先に仕事の納期を考えなくてもいいのに慣れてきた。ま、慣れすぎてしまうのも何だけど、ご隠居さん暮らしの予行演習としてはいい感じ。

朝食後、日本の新聞サイトへの接続がやたらと遅いと思ったら、前日が地方選挙の投票日で、一夜明けての月曜日早朝だから、たぶん新聞社が記事を更新中だったのか、あるいはアクセスが殺到したかのどっちかだったんだろう。東京は石原さんが四選して、「パチンコや自動販売機に1千万キロワットも消費する国は日本くらいのもの。パチンコ好きはがまん、自販機はなくても生きて行ける」と言ったそうな。1千万キロワットか。ギンギラギンのネオンにチンジャラジャラにドンチャカドンチャカの大音響だから電気のメーターの回り方もすごいだろうな。自動販売機も、犬が歩かなくたって棒の方から当たって来そうなくらいある。カレシが東京は明る過ぎると言っていたけど、そのために東京電力は東北電力の管内にある福島にあんなにたくさん原発を作ったとしたら、福島の人は踏んだり蹴ったりだよね。新潟にある刈羽原発も同じで、発電した電気は地元にはほとんど流れていなかったんだって。本当だとしたら、東電はえらく傲慢な企業だと思うけど、首都圏は「地方」とは別格なんだろう。ところで、東電のロゴ、なぜかミッキーマウスみたいに見えるんだけど、英語のスラングで「mickey mouse」と言ったら何を意味するのか、東電の社長、知っているのかなあ・・・。

小町を見ていたら、「自粛ムードから解禁するのはまだ早いか」という趣旨のトピックがあって、賛否両論。書き込みを読んで行くと、「今まで楽しめたことをやる気になれなくなった」から、自粛はやめろといわないでくれと言う人がいるかと思うと、「そんなにもディズニーランドへ行きたいのか」と遠まわしに楽しむのは「不謹慎」と言っている人もいる。戦争中に「欲しがりません、勝つまでは」のスローガンで国民を統制したのに似ていて怖いという人もいた。まあ、そうやって暗黙的に「罪悪感」を植えつけて他人の思想を統制する風潮はこれが初めてじゃないと思う。ここでも「自分がこういう気持なのに/こういうことを(我慢して)やっているのに、他人も同じでないのは許せない」という心理が浮き上がって見えて来るからおもしろい。匿名の掲示板で解禁はまだ早いかどうかなんて聞いているけど、別に政府が「自粛」をお願いしたわけじゃないだろうから、数を頼むような多数派工作をしなくても、自分の判断で最善の行動を取ればいいんじゃない?楽しむ気になれない人は何もしなくていいし、盛り上げようと言う人は大いに盛り上げればいい。ま、この「自粛ブーム」、海外のメディアにも「jishuku」として登場するようになったから、そのうちにOEDに新しい外来語として採用されるかもしれないな。

さて、カナダ連邦議会総選挙も投票日まであと3週間の佳境?に入って、保守党、自由党、新民主党の政策プラットフォームが出揃い、今週はテレビで党首討論会がある。この討論会に呼ばれなくて大いにむくれているのが緑の党のメイ党首。裁判所に訴えてみたけど、あっさりと却下。だって、グリーンは残念ながら議席を持っていないし、メディアが主催する討論会だからしょうがないだろうと思うけどな。環境活動家だけあってまるで小学校の先生みたいに口やかましいし、人の発言は聞かないでしゃべりまくるし、それにティーンの女の子じゃあるまいし、あのケラケラ笑いは国政レベルの政党の党首としてはちと軽すぎると言う印象はぬぐえない。

カナダは英語とフランス(ケベック)語が公用語だから、党首討論会も英語圏向けとフランス語圏向けがある。そのフランス語圏向けの討論会が当初予定されていた木曜日から水曜日に急遽繰り上げになったんだけど、その理由と言うのが何と「ホッケー」。モントリオール・カナディアンズとボストン・ブルインズのプレーオフ第1ラウンドの初戦が木曜日ということで、テレビ中継がかち合ってしまうと、フランス語系ケベック人から抗議が殺到したらしい。はい、はい。選挙よりもホッケーの方が最優先だから、政治談議はジシュクというわけね。でも、笑っちゃうなあ・・・。

笑っちゃう話といえば、夕食後にカレシが金曜日に買って来たGodivaのチョコレートをほとんど食べてしまったので、「キミにチョコレートを買ってあげないといけないんだ」けど、GodivaよりもDaniel’sの方が好きだから、芝居のついでに行きたいと言い出した。ええ、ワタシ、まだ3個くらいしか食べていないのに、いつのまにか一箱食べちゃったの?それで、ワタシに買ってあげたいけど、自分の好きな方のを買いたいってこと・・・だよね?あ、つまり、ワタシの分まで食べてしまった埋め合わせは口実で、買ったらまたみんな食べちゃう気・・・でしょ?あのさ、つまみ食いをジシュクしないと、太っちゃうよ、アナタ・・・。

太平の眠りを覚まされた日

4月11日。月曜日。目が覚めると明るい。正午ちょっと前。う~ん、まだ早いからこのままもう少しうとうとしていようかなあ・・・なんて思っていて、突如思い出したのがきのう飛び込んで来て今日が納期の仕事。メールを打っている最中にあの最大余震が来たらしく、かなり揺れたと書いてあった。あれからちょうど1ヵ月で、少しずつ普通の毎日になって来たところでグラリと大きな余震が来ると、誰だってもういい加減にして欲しいという気持になるのは当然だけど、いい加減にしろと言っても聞いてくれるような相手じゃないから・・・。

とにかく、がばっと起きて、朝食を済ませて、早く起きたからとちょっとのんきに『On The Road』の続きを読んで、それから仕事。ごく小さなもので、しかも軽い内容だから楽々。だらけた頭を適度に活性化してもらった感じがする。それで午後が過ぎて、トレッドミルでさらに頭のくもの巣を払って、夕食の支度を始めたところで、あさって行くつもりの芝居の座席予約を忘れたのを思い出した。まあ、今回はイアンとバーバラがヨーロッパを旅行中でワタシとカレシと2人だけだし、週の真ん中の水曜日だから満席と言うことはないだろうけど。

夕食が終わる頃に東京から電話ですぐに送るから今日中にできないかという超特急の仕事の話。うわ、10日。もしんとしていたのにどうなってるんだろうな。ひょっとしたら、少し仕事をさせておかないと年だからボケてしまうと思ったのかもしれないなあ。ま、ありがたいと言えば、ありがたいけど。最後のひと口を食べて、コーヒーを片手にオフィスに降りて、ファイルを開いたら、何とかなりそうだったので、よっしゃ~とばかりに超特急でぶっ飛ばして余裕で仕上がり。それにしても何だかあわただしい1日。だったなあ、まったく。

ワタシの誕生日まで後2週間で、カレシが注文したプレゼントが5月まで届かないけどいいかと聞いてきた。え、プレゼントって何だろう。ここのところ、郵便でどさっと来るカタログを見ては、これはいいな、あれもいいなと「ヒント」を出しまくっていたんだけど、その中のどれかな。それともまったく別のものかな。この年になっても誕生日大好きのワタシは今からワクワク。復活祭の日付で計算上一番遅いのがワタシの誕生日なんだけど、今年は暦のめぐり合わせで復活祭四連休の最終日(月曜日)。前回はカレシが生まれた年で、次に回って来るのは27年後の2038年。おお、ちょうど満90歳の誕生日じゃないの。極楽とんぼにふさわしいめぐり合わせのようなもするから、これもちょっぴりワクワクするような話。うん、本番までまだ2週間あるけど、何だかもう久しぶりに盛大にご馳走を作って食べたい気分になって来た・・・。

フクシマは友情も溶融するのかな

4月12日。火曜日。まあまあの天気で、のんびりと起きて、のんびりと朝食を取って、のんびりと本を読んで、のんびりとメールをチェックしたら、きゃっ、また仕事。カレシが「開店休業なんて絶対に長続きしないと言っただろ?」とニヤニヤ。あれこれと遊びのプランをぶち上げていたのはどっちだったかなあ。まあ、仕事は仕事。あるときには喜んできちんとやらないとね。

会計事務所から2人の所得税確定申告書が送られて来た。といっても、メールにPDFで添付されているので、まずは保存して開けてみる。カレシは15万円ほど、ワタシは3万円ほど、それぞれ追加納税になっている。カレシの3つの年金のうちで所得税を源泉徴収して来るのは組合年金だけなので、毎年ドンと追加で取られるのは当然だけど、ワタシの方は自営業の事業所得だから、景気次第で戻ってきたり、追加を取られたり。でも、今年は少し戻ってくるはずだけどなあとよく見たら、カレシの年金収入から60万円もワタシの所得に振り替えてある。何年か前に年金受給世帯の減税策として、年金収入の一部を配偶者の所得に移して、夫婦の合計納税額を減らせる制度ができて、会計事務所にOKを出せば最適な振り替え額を計算してくれる。振り替え前後の比較表を見ると、今年は夫婦で5万円ほどの節税になっていた。ま、取られる税金は1円でも少ない方がいいに決まってるよね。

福島の原発事故がレベル7に引き上げられて、史上最悪の「nuclear crisis(核危機)」のひとつになったけど、チェルノブイリほどじゃないとか、チェルノブイリとは違うとか言っても、一気にまとめてドンと出たのと1ヵ月かけて小出しにして来たくらいの違いで、ものすごい量の放射能を人工的に環境中に吐き出したことには変わりないと思うけどな。外国メディアは騒ぎすぎだと言われて来たけど、「最悪レベル」になったところで「今ごろになってわかったのかいな」というところかもしれない。大震災に関しては今も世界中で哀悼の気持は変わっていないけど、核危機は自然災害じゃないし、大気も海もつながっていて結果的には地球上の人類全体に影響するんだから、騒ぐのもあたりまえだろうに。だいたい、自分たちは外国で起こった事件に「大変だ、怖い」と大騒ぎするのに、自分たちの足下で事件が起こると「騒ぐな」と言うのもねえ。人間には都合の悪いことを他人に知られたくないという心理があるのはたしか。でも、政府や企業の「隠蔽体質」はそういう心理が社会的に集積した結果じゃないかと思うんだけど。

核危機で日本に住んでいた外国人たちが帰国したり、母国に避難したりしていることで、小町では同行した日本人妻たちがけっこう叩かれている。外国人が母国へ帰って行くのを「海外逃亡」なんて言葉で表現する人もいて、アメリカで同時テロがあったときには日本へ帰った日本人がかなりいたという書き込みは無視。外国人ならしかたがないと一応の理解を示す人はいるけど、日本人妻が親兄弟、友達を日本に残して外国人と一緒に逃げ出すのは身勝手だと言う反応になるのかな。まあ、募る不安の中で、安全なところへ移るという自分たちにできないことをできる人が疎ましいだけなのかもしれないけど、これも風評被害のうちに入るのかな。まったく、東電のせい?で日本人の「友達関係」がどれだけ解消(unfriend)されることやら・・・。

今日は英語の党首討論会。東部時間だから西の端のバンクーバーでは午後のけっこう早い時間に始まる。全国の応募者から選ばれたらしい「一般市民」が質問して、それをスタジオに並んだ党首たちが討論する形式になっている。号砲一発、質問の内容が変わるたびに、野党3党は一斉にハーパー首相を攻撃。対するハーパーはクールに「対策は野党が否決した予算案に織り込んであった」とやり返す。ああだ、こうだ、なんたらかんたらの四つ巴の舌戦、直後の国民の反応はハーバー首相に軍配が上がりそうな気配。バンクーバーのラジオ局のオンライン投票でのランキングはハーパー、レイトン、イグナチエフ、デュセップの順になっている。もっとも、討論会で誰が勝ったと思うかと言う質問に対する投票だし、西部は保守党の基盤だからハーパーが強いわけで、自由党の基盤であるオンタリオ州の新聞サイトでは、イグナチエフがほぼ互角でハーパーに迫っているから、ある程度の勢力地図が描ける。それにしても、イギーは一生懸命なのはわかるし、学歴、毛並み共申し分ないのに、何をやっても「この人を首相に!」という流れができて来ないのはどうしてなんだろう・・・。

プレーオフはタオルパワー満開の季節

4月13日。水曜日。ごみ収集のトラックの轟音で目を覚まして、ごみを出したっけ~?と夢うつつで考えながら、またしばしうとうと。でも、カレシが起き出したし、今日は掃除の日だしで、結局は午前11時半には起きてしまった。何となく眠いけど、夕方までに済ませて納品しなければならない仕事がある。期限は夜11時だけど、今日は芝居に行くから急がないと・・・。

そして、今日はバンクーバー・カナックスのプレーオフ第1ラウンド第1戦。相手は去年優勝したシカゴ・ブラックホークス。シカゴとはなぜかプレーオフで対戦しては敗退させられてきたジンクスみたいなものがあるから、どうなるかな。プロスポーツのチームをこっちのメディアは本拠の土地の名前(バンクーバー)で呼び、日本のメディアはチーム名(カナックス)で呼ぶ違いがおもしろい。日本のスポーツニュースを見て、キャピタルズって?ああ、ワシントンか。ライトニングって?ああ、タンパベイか。コヨーテスって?ああ、フィニックスか。てなぐあいにいちいち解読?しながら読むのもちょっとクイズっぽくておもしろいけどね。どうしてこういう違いができたのかな。

芝居はジョージ・バーナード・ショーの『The Philanderer』。「女たらし」とでも言う意味のタイトルで、写真で見るおっかない顔とコメディがなかなか結びつかないけど、ショーがノルウェイのイブセンに感化を受けて書いたフェミニズムの先駆けみたいなテーマで、「Ibsenist(イブセン主義者)なんて言葉が出てきたりする、「女が男を獲物として狩る」話。ビクトリア朝時代のウィットがちりばめられていて、おもしろかった。ちなみに、ショーはノーベル文学賞とハリウッドのオスカーの両方をもらった唯一の人だそうで、オスカー受賞作は後のミュージカル『マイフェアレディ』の先駆になった映画『Pygmalion』の脚本。戦前の映画で、ミュージカルよりもずっと上出来というのはカレシの評だけど、一度見てみたいな。

芝居が終わった後は車のラジオを消して帰宅。カレシが試合は木曜日だと言うからかち合わないように今日にしたのに、実はカレシのうろ覚えのスケジュールで、みごとにかち合ってしまった。そこで、試合は録画のタイマーをセットしておいて、再生してみるまでニュースは一切だめということになった。帰り道はすごく車が少なくて、試合は終わっている頃だから、負けてしまってみんなさっさと帰ってしまったのか、それとも、首尾よく勝ったもので、みんなまだダウンタウンのパブやバーで祝賀の気勢を上げているのか。結局は第1ピリオドを見て2対0でリードしていたので、残りは早送りでゴールの場面だけを見ようとしたら、そのまま終わってしまったそうな。初っ端からシャットアウトはなかなか幸先がいいんじゃない?

まあ、これから6月の決勝まで(行けたらの話だけど)、地元ホッケーファンは白いタオルを振り回して一喜一憂する「セカンド・シーズン」が続くわけだけど、この「白いタオルを振って応援」の伝統は、30年くらい前にカナックスのプレーオフの試合でレフェリーのペナルティコール連発に対して当時のニールセン監督がスティックの先にタオルを載せて「もういいよ」という抗議のジェスチャーをしたのが始まりで、監督は出場停止を食ったけど、その後の試合ではファンが白いタオルを持ち込んで観客席は白一色。勢いづいたチームはとうとう決勝まで行ってしまった。最後の第7戦まで粘って、延長戦で力尽きて惜しくもスタンリー杯は逃したけど、それ以来「白いタオル」はファンの必携品。今ではチームのロゴ入りオフィシャルタオルが売られている。ちなみに、「タオルパワー」の元祖ニールセンは数年前にガンで亡くなったけど、バンクーバーでは最近アリーナにタオルを乗せたスティックを掲げている銅像が立った。たしか、当時の対戦相手はシカゴ・ブラックホークスだったと思うけど・・・。

風評は便利なスケープゴート

4月14日。木曜日。普通に疲れて眠ったのに、関が出て8時前に目が覚め、しばらくこみ上げてくる咳を鎮めるのに格闘して、やっと眠りに戻ったのがたぶん9時頃。おかげで目が覚めたらとっくに午後1時を過ぎていた。カレシが10時過ぎにゲートのチャイムが鳴っていたというので、ゲートの郵便受けを見に行ったら「不在通知」。あ、通販の品物だ。どのみち明日は(カレシによると)ショッピングデイだそうなので、(いつものように)ついでに引き取ってくればいいか。遅い朝食を済ませて、本を読んでいたら、視界の隅っこでピカッ。3秒ほど数えたところでゴロゴロッ。おいおい、また雷さん?ゆうべもは2回ぐらいだったけど雷が鳴っていたな。バンクーバーはあまり雷が鳴らない土地なんだけど。

それにしても4月も半分過ぎたというのに何ともヘンな天気。けさはずっと郊外のアボッツフォードは時ならぬ春の雪で銀世界。(バンクーバーでも午後4時近くになって雪になろうか、雨になろうか決めかねているような重たそうな雨(あるいは雪)がひとしきり降っていた、ロッキーの向こうのカルガリーでも雪が降って、逆にトロントの方は初夏のような気温になったかと思うとすぐに冬に逆戻りして、来週の天気予報はまた初夏の陽気に戻るらしい。地球の「力場」が狂ったのかな。そのうち、誰か目端の利く人が地震や異常天候や季節外れの陽気をひっくるめて「地球はもうすぐ終わる」みたいな大予言の本を出すかもしれないな。で、21世紀のノストラダムスとかなんか騒がれてベストセラーになり、予言者先生は大もうけをすることになるんだろうな。だけど、地球がもうすぐ終わってしまうのなら、いくら大もうけしても使いきれなくて、結局は豪遊できる身分を楽しまないうちに終末が来てしまうんじゃないのかと(よけいな)心配をしてしまうけども。

在日外国人の映像ニュース投稿サイトにテレビ朝日だかの「外国人の日本脱出」に関する15分ほどのクリップが投稿されていたので音声と一緒に見てみた。メイドカフェだかのウェイトレスが外国人観光客が来なくなったと嘆き、秋葉原などの免税店は金づるの中国人観光団が来なくなったと嘆き、山谷の外国人相手の格安ホテルは予約のキャンセル続出と嘆き、中国人相手の不動産屋は売りに出されるマンションが増えていると嘆き、研修生の名目で低賃金の仕事をしていた中国人労働者が帰国してしまったと嘆き、外国人が日本から「逃げ出した」ことによる日本経済の損失は推定1.5兆円にもなると嘆き・・・。ずっと見ているうちに、表面にこそは出さないけど、「日本に来させて、住まわせて、働かせてやっていたのに恩知らず」と言いたいのかなと思わせる雰囲気が何となく感じられて、小町での反応を合わせると、やっぱり深いところで「自分たちは不安でも逃げることができないのに、外国人はこれ見よがしに逃げ出して・・・」というような感情が暗流のように流れているのかなと思った。

もっとも、ずらりと並んだ(ほとんどが在日外国人の)コメントも小町同様に「ムカつく派」と「容認派」に分かれているから、外国人がみんな臆病で無知で身勝手と言うわけではないことは確か。会社の命令で離日した人もいれば、心配する故国の家族を安心させるために帰国した人もいるし、逆に思い直して日本に留まった人や故国に一時避難した人、情勢を見て日本に戻った人もいる。日本に行こうにも政府の渡航自粛勧告でできないという人も多いだろう。渡航制限地域へ行って万が一のことがあった場合に旅行保険が利かないという事情もあるらしい。渡航制限や自粛を勧告したのだって、もしも「最悪の事態」が起こった場合にチャーター機を差し向けるなどして自国民を救出しなければならなくなるからで、必ずしも不確か(あるいは過剰)な報道に踊らされているわけではない。どこの国だって自国民のめんどうを見るのに手一杯で、外国人を安全に故国に送り返すなんて思いつきもしないと思うけどな。日本政府はそうしてくれるの?

ま、とにかく新型インフルのときはバンクーバーに来る日本人観光客が激減したし、その前のSARSのときも「危険地域」は何千キロも離れたトロントなのに同じ現象が起こった。どれも「感染したら怖い」という気持と、旅行を強行したら帰って来て「村八分にされるのが怖い」という気持が交錯して、多くの人たちにはいろいろな意味で苦渋の決断だったんだろうと思う。だから、「放射能が怖い」と言って日本を敬遠する外国人の気持も少しは理解できるんじゃないかと思うけど、不安の真っ只中にいるときは難しいのかな。こっちでだって、「カナダ中がSARSでばたばた死んでいるわけじゃあるまいし」と呆れてはいたけど、オンタリオではアジア人がタクシーの乗車を拒否されたりして、ちょっとしたパニックはあった。ま、洋の東西を問わず、人間は自力で対処できない不安が募って来るとそれだけ理性が萎縮するものらしい。でも、外国人の日本脱出と来日拒否による経済損失1.5兆円の責任は、そっくりそれほどの深刻な核危機を招いた東京電力と日本国政府にあるんであって、海外での過剰報道や「風評」のせいにしようとするのは国民の注意を逸らせようという政治的な魂胆があるのかもしれないな。