リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

2011年6月~その1

2011年06月11日 | 昔語り(2006~2013)
衣替え、弛んだ筋肉を締めないと

6月1日。水曜日。寝たのは午前4時半すぎ。なぜかそろそろ寝るかという頃になっておなかが空いて、スモークサーモンの「トリム」を肴に寝酒。(トリムは超薄切りパッケージににするときに大きさをそろえるために切り落とした部分で、油の乗ったトロの部分なんかめっちゃおいしいし、おまけに規格外品だからめっちゃ安い。)さすがに6月。空の色が「夜の暗黒」から「曙」直前のおぼろ気に光を含んだ濃い青になる頃に就寝。そうだよなあ、あと3週間で夏至だもん。

やっと何となく夏が来るのかなあと言う気がしたもので、今日は「衣替え」。といっても、いつからが春で、いつからが夏で、いつから秋になって冬が来るのか皆目はっきりしない土地柄なもので、夏冬の衣料が通年でクローゼットに同居している人の方が多いかもしれない。ワタシもだいたいはそうなんだけど、全部まとめて突っ込んでおくにはスペースが足りない。そこで、季節が確実に移ったなと思ったときに、(七部袖の薄いものとか)夏冬の中間的なものを残して、山ほどあるTシャツの半袖と長袖を入れ替える。入れ替えながら、今年はタンクトップを着るような暑い夏が来るのかなあと考える。あと3週間で夏至なのに、夏、来るのかなあ・・・。

ついでにシーツも保温性の良い冬用のフランネルから肌触りがさっぱりした夏用のパーケルのものに「衣替え」。5月いっぱいフランネルのシーツで暑くなかったんだから、ほんとに今年の春がえらい低温だということは確か。この「衣替え」というやつ、中学・高校時代に「ある日」をもって全校一斉に夏冬の制服が切り替わったんだけど、その「ある日」というのが校則で決められていて、外の天気模様にはとんと関係なし。夏服になったのはいいけど教室で寒さに震えていたり、冬服になったら暑くて大汗をかいたりで、校長だって教師だって、毎日の天気から「衣替え」の時期かどうか判断できそうなもんだと思ったけど、たぶん、誰も判断したくない、かといって生徒に判断させたくもないから、何月何日という「衣替えの日」を決めてしまえと言うことかな。

それにしてもワタシの夏のワードローブ、なんかタンクトップやタンクドレスが多いなあ。トップは襟ぐりが深め出し、ドレスは膝上だし。ラスベガスのシルクドゥソレイユのギフトショップで買ったクレイジーなミニドレス、まだ着られるかなあ。なにしろおチビのワタシは普通の店にはめったに置いていないサイズ(4号/XS)なもので、気に入ったものはよけいに手放すのが惜しくなってしまう。ちなみに、北米の4号を換算すると日本では7号、イギリスでは6号、ヨーロッパでは34号なんだそうな。ヨーロッパの34というのはおそらくバストのサイズがベースなんだろうと思うけど、日本で7号ってのはほんとかなあ。日本にいた二十代の頃はたしか9号/Mサイズだったような気がするんだけど、7号ってSサイズに入るんじゃないのかな。ワタシ、そんなに小さくないし、もちろん細くもないんだけど。いつの間にかサイズの編成が変わったのか、ワタシが年を取って縮んでしまった(まさか!)のか、どっちなんだろう。まっ、暑くなるまでにちょっと弛みがちな筋肉を引き締めておくのが良策かな。

地元紙のVancouver Sunが州内80軒以上のファストフードやチェーンレストランのメニューをアイテムごとに、カロリーや脂肪、トランス脂肪酸、ナトリウム、炭水化物、砂糖の量を分析したFatabaseというのを載せている。(レストラン名やメニュー項目のキーワードで検索できる。)その中で、「殿堂入り」に値するくらいのびっくり数字が出たのがA&Wのルートビール・ミルクシェイク(大)。ラージというだけあって1リットル近い大きなジョッキで、なんと1720カロリーもある。しかもコーラ6缶分に相当する砂糖が入っていて、脂肪47グラム、トランス脂肪酸も5グラムで、おまけにナトリウムが1200ミリグラム(1日。の許容摂取量の半分)。その上、「ミルク」シェイクなのに牛乳の加工成分は入っていても、肝心の「ミルク」は入っていないんだそうで、その代わり乳化剤だの何だのすごいものがずらり。これに「おじいちゃんバーガー(チーズ入り)」を付けると合計2530カロリー。さらに定番のフレンチフライ(大)を付けると合計が3000カロリーを超える。成人の目安はだいたい1日。2000カロリーなので、1回の食事で1日。半分のカロリーが取れてしまうんだからすごい。というか、考えただけで胃がもたれて、胸焼けがしてくるな。

このハンバーガー、フレンチフライ、飲み物の定番3点セットで3000カロリーだから、これにあと2食分のカロリーを加えたら、いったい1日。でどれだけのカロリーを摂っていることやら。こんなんだから肥満が蔓延して、メタボ病が増えるんだと思うけど、そんなすごい量を食べられる人がたくさんいるから商売が成り立っているということでもある。いや、ワタシだったら、いくら腹ペコでもそんなに食べられないな。風船みたいに膨らんだカエルのごとく、パンッと破裂して昇天してしまいそう。大の大好物をたらふく食べてぽっくり逝くんだったらまだしも、ハンバーガーとフレンチフライじゃあ、死んでも死に切れないような・・・。

ホッケー熱は40度を超えて重症

6月2日。木曜日。雨模様。せっかく衣替えして「夏来るらし」の気分だったのに、また「異常低温」に逆戻り。世も末ってわけじゃないだろうな、ほんとに。ま、シーツだけ夏物に変えて、毛布は冬物の純毛のままで、その上にベッドの半分のサイズの純毛のスロー毛布をかけておいたので、寒くはなかった。それでも、正午のポーチの気温はやっと10度。それでほんとに6月なのっ?!

昼のニュースを見ながら朝食。ニュースはきのうのホッケーの試合で持ちきり。ダウンタウンは警察の推定で4万人のファンで埋まったそうな。それでも、ごくごくマイナーな問題がいくつかあっただけだというから、ストリートバーティの楽しみ方がわかったのかもしれない。ケッサクだったのは、カナックスのバロウズとブルーインズのベルジュロンがもみ合いになって、バロウズが相手の指に噛み付いたという話。ベルジュロンがグラブを外していかにも「指を噛まれた~。いてぇよ~」と言うように指を突き出して見せているのがケッサク。たしかにバロウズが口に入ったグラブを噛んでいるように見えるけど、あのごっついグラブをカブリと噛んだところで、中の指は痛くもかゆくもないんじゃないかと思うなあ。ボストンはバロウズの出場停止を要求したけど、いくらなんでもばかばかしくて、バロウズはお咎めなしということになった。目ざとい人がさっそく「ホッケー・フィンガー」と言うスナック菓子を売り出したのもケッサク。

決勝戦の対戦相手がボストンに決まって、州内の「ボストンピッツァ」チェーンが一斉に看板の「ボストン」に線を引いて、「バンクーバーピッツァ」と改名?したと思ったら、フレーザー渓谷を奥へ入ったところにある「ボストンバー」という町が6月いっぱいは「バンクーバーバー」に改名することにして、ハイウェイ脇の看板に「新町名」の看板をかけたと言うニュース。ボストンバーは今こそは見る影もなく寂れているけど、その名の通りマサチューセッツ州ボストンから金を掘り当てようとやって来た人たちが開いたゴールドラッシュの町。ホッケー熱に便乗して観光客誘致を図ろうということらしい。はて、他にもまだあるかな、ボストン・・・?

プロスポーツのプレーオフのシーズンになると対戦相手の都市の市長同士が賭けをする伝統みたいなものがある。たいていは1日。とか負けたほうの市長が勝った方のチームのユニフォームを着るといった他愛のないものだけど、ときには話題性を狙って知恵を絞った賭けになることもある。何年か前にカルガリーとの試合でバンクーバーが負けたときは、当時のバンクーバー市長が真夏のカルガリーに出かけて行って大汗を書きながら道路のアスファルト舗装をやっていたし、ナッシュヴィル・プレデターズとのラウンドでは、バンクーバー市長宛てに数キロもある大きなハムが届いたと言う。そこで、ボストン市長とは何を賭けるか。誰かが派手なグリーンのスパンデックスに全身を包んでアリーナに出没するGreen Menの仮装をやってもらおうと提案したらしい。まあ、アメリカでも格式と伝統を誇るボストンの市長だから、そこまではやれぬと拒否されたという話だけど、ちょっと悪乗りのし過ぎだな。ウェストコーストは自由奔放なところなんだけど、それでももう少し品格のある賭けを考えつけないのかなあ。

ホッケーのついでで、「えっ」というような偶然のできごとが話題になっている。ことの始まりは、ウェストバンクーバーでエドモントン・オイラーズの若手スター選手ブルーレがトラックで走っていて親指を立ててヒッチハイクしている2人連れに遭遇し、その1人がロックバンド「U2」のボノにそっくり。でも同情していたガールフレンドが「ボノがこんなところでヒッチハイクしているわけがない」と信じてくれない。少し通り過ぎたところで「危ない」と渋るガールフレンドの説得に成功して、回れ右。まだ親指を立てていた2人を拾ってみたら、正真正銘のボノだった。ブルーレの愛犬といっしょに後部席に座ったボノと連れを(どうやら別荘があるらしい)ホースシューベイまで送り届ける間に、水曜日にエドモントンでコンサートがあるから舞台裏へ来ないかと誘われ、持っていたカナックスの試合のチケットを手放して、ガールフレンドとお母さんを伴ってエドモントンへ。チケットに憧れのボノのサインをもらって、ホッケーのスター選手ブルーレがティーンのようにはしゃいでいるのがかわいかったけど、それにしても、すごい偶然・・・。

さて、今日はまた閉店間際に飛び込んできた超特急の仕事。野菜が底をついて来たから買いに行くはずだったんだけど、とにかく仕事のあると気が「営業時間」ということで、ねじり鉢巻で時計を横目に格闘。まあ、普通の倍の料金を払ってくれるそうだから、格闘のしがいもあると言うもの。どのクライアントもこうだったらうれしいけど、でも、そうなったら1日。10時間で月月火水木金金のワーカホリックに戻ってしまいそうだから、生活と健康のためにはそうならない方がいいかな。最近よくお目にかかる「ワーク・ライフ・バランス」というやつだな。だけど、かけ声は大きいけど、その実践には日本の客筋が難儀しているくらいだから、下請けの自営業にはもっと難しいなあ。在宅稼業だから、人知れず適当にサボることはできるんだけど、サボりすぎたらご飯が食べられないから、やっぱりバランスというものを考えないと・・・。

おたふくは日本古来のハッピーフェイス

6月3日。金曜日。よく眠って、それでも寝たりない気分で起きたら、いやあ、いい天気。6月なんだもん、こうでなくっちゃ。(せっかくの好天の週末なのに、メールをチェックしたら、また月曜日と火曜日が期限の超特急のおきみやげ2つ。う~ん、へんな癖をつけてもらっては困るんだけどなあ。でも、日本の協会の掲示板を見たら、震災以来仕事が激減したと嘆いている人たちがけっこういるから、仕事がある分、ぜいたくは言えない。それはわかってるんだけど、閉店間際のおきみやげだけは、なんとかしないと・・・。

朝食もそこそこに、今日はヘアカットとカラーリング。カレシはアントニオに「散髪」をしてもらいながら、アントニオの庭に植えてあるイチジクの苗木をもらう話をしている。イチジクは傷みやすいらしくて、店に出て来るときはすごい値段になるから、自分の家の庭で採れたら最高だな。イチジクのジャムを作ってみようかなあ・・・なんて、取らぬ狸の皮算用。ワタシはまず色あせたハイライトを入れ直して、白髪を隠してもらう。うん、さすがに白髪が増えたな。ま、そういう年なんだからいいんだけど、明るいワインレッドのハイライトを入れるとそこかしこにヘンに白いのがあるとじゃまっけなのだ。だから、全体が女王様のようにすてきなシルバーになるまでは白髪は退治しないとね。

カラーが入ったところでヘアカット。鏡に移る自分の顔を見ていたら、いやあ、なんともいえない「おたふく顔」だなあ。うん、まさに子供のときにお正月に遊んだ「福笑い」のあのおたふくの顔。おたふくは「お多福」と書いて、昔からたくさんの福をもたらす顔と言うことになっていたらしい。つまりは、日本古来の「ハッピーフェイス」ってことかな。ふくよかに微笑むおたふくさんは日本のモナリザ・・なんてことにはならないだろうなあ。なにしろ、長い時代の移り変わりと共に、小顔だのデカ目だのとアニメチックな顔がもてはやされるようになって、今では日本のオリジナル・ハッピーフェイスは「ブス」の代名詞みたいなことになってしまっているらしい。自分の顔だからというわけじゃないけど、平安絵巻を見ても女性はみんなおたふく顔に描かれているから、あんがいこれが正統派の日本女子の顔なんじゃない? 

先に終わったカレシが先に帰って、次のアントニオのお客は髪もひげもまるで1年も野宿していたんじゃないかと思うくらいに伸び放題でもじゃもじゃ。のっぽで毛糸の帽子をかぶっているから、何となくヒッピーがそのまま年を取ったような感じ。それが、なのだ。白髪交じりの髪を短く刈って、ひげをきれいに整えたら、あら・・・。大学教授か何かのような、知性派のおじさまに変身。こういうのを「いぶし銀のような」と形容するのかな。ほれぼれするような、しぶくて、品があって、ちょっとセクシーな中年のおじさま。50代かな?ちょっぴり年を取ってからのショーン・コネリーみたいで、さすがのワタシもうっとりと見とれて目の保養。(カレシが帰った後でよかった・・・?)

おめかしが終わった後は、カレシに迎えに来てもらって、野菜類をどっさり仕入れて、帰ったらもう夕食の時間。カレシ菜園のビーツの葉をきのこと一緒に炒めて、カジキを焼いて、おとといの豆サラダの残りを添えて、何を思ったか買いおきのブータンの赤いお米でご飯を炊いて、今日の夕食はなんだかすごい大盛りだこと・・・。

最近は世界の珍しい米が小さなパックで手に入るようになって、物好きなワタシはさっそく試し買い。このブータンの赤い米は一見して玄米のように硬そうだったけど、普通の白米と同じくらいの時間で炊けて、甘みや粘りは少ない。前に炊いてみた発芽玄米と同様に「ご飯」が苦手なカレシも気に入ったようすだから、また買って来よう。聞くところによると、日本でも米作が始まった古代には赤い米を食べていたそうで、ワタシにはこういう古代の赤や黒の米の方が好みに合うんだけど、いつから白い米のご飯が主流になったんだろうな。食の歴史もその国の文化の歴史と結びついているはずだから、調べてみたらおもしろいかも・・・。

海賊船とぼたんえびとホッケーと

6月4日。土曜日。おお、やっと季節にふさわしい好天。絶好のお出かけ日和だ。朝食のテーブルについて、昼のテレビニュースを見ていたら、ダウンタウンはすでに人がどっと繰り出して、ホッケーの試合前のストリートバーティが始まっている。試合開始は5時なんだけど、すごいフィーバー。

今日はイアンとバーバラを誘って、スティーブストンのフィッシャマンズウォーフまでぼたんえびを買いに行くことになっていた。ファーマーズマーケットや帆船祭りもあるので、天気もいいことだし、かなりの人出を覚悟して、朝食を済ませてから川向こうのリッチモンドに住む2人をピックアップ。スティーブストンはリッチモンドの南の外れで日系カナダ人のふるさとみたいなところ。昔は缶詰工場などが並んでいたあたりは、今はレストランやみやげ物やがあって、ちょっとした行楽スポット。週末の遅いランチの時間と言うこともあって、家族連れがぞろぞろ。まずは岬の公園まで歩いて、4隻並んだ帆船を見物。「レディ・ワシントン」といういかにも昔風でかっこいいのは、英語
の「パイレーツ・オブ・カリビアン」の撮影に使われたものなんだそうな。思ったよりも小さい。アトラクションで1日。に1回か2回、もう一隻と大砲をぶっ放しての「バトル」をやるらしい。チケットを買えば実際に船の中を見られると言うので、長~い行列ができていた。 

気持のいい海風に吹かれながら、公園からフィッシャマンズウォーフまで歩き、漁船が並んでいるドックへ下りて行って、まずはモノの下見。大きなグレープフルーツくらいの生きたウニ。これは買っても扱いに困るなあ。昔1週間ほど日本からホタテ養殖の指導に来た漁師さんたちの通訳としてバンクーバー島に出張したことがあって、ランチの時間といえばパブに入り、夜はホストの家でわいわい飲んでの楽しい仕事だったんだけど、そのうちの1日。は「休養」と称して船釣りに出かけた。時間的に遅かったのでサケは釣れなかったけど、ちっちゃな島に上がってスナック。そのとき漁師さんたちが海の底にウニを見つけ、網ですくい上げてポケットナイフでパカッと2つに切って「はい」と渡され、ワタシは目を白黒。でも、殻から指ですくって食べたウニは絶品だったな。(牡蠣の養殖場に行ったときは、オーナーが浜で海から引き上げたばかりの手のひらほどもある牡蠣を開けてくれたけど、あれも海水の塩味が絶妙だったな。同行通訳にはそういう思いがけないご利益があった・・・と脱線。)

生きたエビを売っている船では、触手がヒラヒラと動いているのが1ポンド12ドル(約500グラムで千円くらい。)だけど、ちょっと高いし、生きているのは処理に困りそう。冷凍すればどうせ死んじゃうわけだしということで、別の船をのぞいてみる。サケを売っている船も何隻かあるけど、今はシーズンじゃないから冷凍もの。船上で急速冷凍したエビを売っている船もあったけど、手がかかっている分単価は高い。まあ、ぼたんえびはこのあたりは今が漁期だから、わざわざ冷凍したものを買う必要ないし・・・。結局、ドックの端の方の船で大きいのを3ポンド(20ドル)、別の船で小さいのを2ポンドで10ドル、ついでに別の船でカレイを4匹(5ドル)の買って、トートバッグはずっしり。今日は大漁、大漁・・・。

イアンの提案で、ビールを飲みながらホッケーの試合を見て、夕食と言うことになり、2人の家に戻って、買い物をバーバラの冷蔵庫に詰め込んで、チップをかじりながらホッケー見物。ワタシとバーバラの応援の方がおしゃべりに夢中の男たちよりもにぎやか。第2ピリオドが終わったところで、バーバラとエビの頭をむしって、背わたを取る作業。同点で終わった第3ピリオドの後で調理するだけのところまで用意して、延長ピリオドが始まるからテレビの前へ・・・と思ったとたんに男たちが歓声。なんと開始後11秒でカナックスがゴールを決めてシリーズ2勝目。やれやれ、気をもませる連中だなあ。まっ、落ち着いたところで、バーバラが付け合せにする野菜を蒸し、冷凍してあったご飯を電子レンジで温めている間に、ワタシはガーリックとレモンでエビのバターソテーを作り、おしゃべりをしながらの夕食。おしゃべりをしながらのデザート。そしてまたしばしおしゃべり。

帰ってきたらもう11時過ぎ。さて、これから2キロ半もあるエビを冷凍処理しなくちゃ。[写真]

今日は1日。中目いっぱい遊んだ分、明日は大車輪で仕事だなあ・・・。

有機栽培なら安全というわけでも

6月5日。日曜日。今日もいい天気。(日陰の)ポーチの気温は正午で20度。きのうはよく遊んだおかげで、よく眠って、すっきり目が覚めた。ワタシは元々効率的に日焼けするタイプなもので、ゆうべ少し赤くなっていたVネックの胸がもうほんのりと日焼け色。夏は近い。きのうはほんとに楽しかった。ドックで飛行機を見上げていたワタシがカメラの方を見てポーズを取らないうちにカレシが撮ってしまった写真。サングラスにジーンズ、たまたまそろって横じまのTシャツ(そしてワタシは野球帽)といういでたちの「おばちゃんコンビ」。ふむ、ヘンな人に挨拶されちゃったりして・・・。

きのうはホッケーの決勝戦第2試合で、ダウンタウンでは7、8万人が集まったそうな。写真を見たら、グランヴィル・ストリートは歩道も車道も人、人、人。朝からストリート・パーティをやっていたせいもあってか、相当に酔っ払った人も多かったらしい。顔にカナックスのロゴを塗ったりして、動物みたいな奇声を張り上げているのはまだかわいい方で、街灯によじ登ったり、ビルの屋上や看板の上に登ったりするおバカが続出して、警察も消防も大忙しだったらしい。たいていが二十代くらいの男というのが定番なのは、今どきの時代相を反映しているんだと思うけど、どうやら荒れることはなかったようで、ひと安心。チームはけさチャーター機でボストンへ向けて経った。ボストンでの2試合のうち1試合は相手に勝たて、地元バンクーバーに戻っての第5試合で優勝ということになれば劇的だと思うけど、そうなったらダウンタウンの人出は10万人ではきかないかなあ・・・。

ドイツで起きた大腸菌汚染はドイツで生産したモヤシらしいという話。ほんとうにそうだったら、容疑者にされたスペインのきゅうりはえらい迷惑だな。スペインの野菜類をそっくり輸入禁止にしたところがあったり、EUの野菜を輸入禁止にしたところもあったりで、どれが危ないのかわからないから、全部まとめて拒絶すれば安全ということか。カレシ曰く、「モヤシを育てる水が汚染されていたら危ない。有機農業だって、完全に熟成していない堆肥だったら、細菌類が生きているから危険なんだ」と。家庭菜園でも自家製の堆肥を作る人が増えているけど、そのうちにしっかりした知識がないままで大腸菌による食中毒になる人が出てくるかもしれないな。そんなことになったら、プロの農家がしろうとの生兵法で損害を被ることになりかねない。知識は力なりというけれど、「みんながやってる有機栽培を我もやってみん」というのが一番怖いような・・・。

我が家ではカレシがよくブロッコリやレンズ豆のもやしを作る。特にブロッコリのもやしは栄養価が高いそうで、ワタシの大好物。キッチンのカウンターでスプラウターという底がメッシュになった専用の容器に種をまいて作る。毎日1回か2回、水道の水をかけてやるだけで手軽なのはいいけど、それでもうっかりするとカビが生えてしまうことがある。キッチンでふた付きの小さな容器でやってこれなんだから、大がかりな設備で大量の水を使って作る市販のもやしはあんがい危険度が高いのかもしれないな。殺虫剤や除草剤のような農薬を使わない有機栽培だといっても、作物が必ずしも「安全」というわけではないということで、いいかえれば、農薬を使わない分、細菌汚染が起きる可能性が高いということもありえる。抗生物質や抗菌剤をやたらと使って来たせいで、バイ菌は薬に対する耐性を高め、無菌状態で育つ人間の方はバイ菌に対する抵抗力が弱まる。感染症の治療薬はますます強いものが必要になって、そのうちに薬を使った人間の方が死ぬくらいの強さでないと効き目がなくなるかもしれない。そんなことになったら、人類にとっては最悪だと思うけど・・・。

隠し通せると思うのがまちがいのもと

6月6日。月曜日。今日もいい天気。正午前にパッと目が覚めた。日本時間で朝一番に期限の仕事がある。残りの量からして、う~ん、ギリギリかなあ。だから、よけいにのんきに寝てられない。さっと起きて、ベーコンとポテトとマッシュルームのソテーにカレシ特製のスクランブルエッグでしっかりと腹ごしらえ。コーヒーマグを手に、そそくさとオフィスへ出勤、20秒・・・。

時計を横目に、せっせとキーを叩く。ちょっとした「不祥事」の報告書をちょくちょく持ち込んでくる会社だけど、たいていはほんとにちょっとした「ポカミス」で、たぶん上司に叱られて一件落着となりそうなもの。そんなうっかりチョンボを防ぐための処置が品質管理の分野でときどきローマ字で登場する「ポカヨケ」。でも、生身の人間のやることだから、どんなに細かく規定したマニュアルを作っても、ポカミスはなくならないし、逆にマニュアル化が進めば進むほど増えて行くような気がしないでもない。そういえば、だいぶ前に原子力発電所での事故防止のための「人間信頼性解析」ツールなんてものを訳したことがあったけど、千差万別、十人十色の人間がやることを学者がいくら分析したって、こうすればヒューマンエラーは完全になくなるというシステムは、人間をロボット化しない限りはありえないだろうな。学者は可能だと考えるかもしれないけど、それはもうハクスリーの『Brave New World』の怖い世界・・・。

とにかくわき目も振らずにキーを叩いて、期限ギリギリに終了。きっかけはポカミスなんだけど、すなおに謝れば穏便に失地回復できそうなのに、言い訳やら嘘で隠しているうちに二進も三進も行かなくなったというのが事の顛末らしい。福島原発事故に関してあれこれ報道されてきた政府や東電の言動と重なってきて、やっぱり「隠蔽志向」は文化なんだなあとヘンに納得してしまった。職務上のことだから相手があるわけで、相手がいれば隠したくても隠し通せるもんじゃないと思うんだけど、サービス分野でのことで原発事故のような被害はないからいいものの、ミスをしたらやっぱりとっさに「知らないようにしなければ」という反応になるのかな。政治家や有名人が起こすスキャンダルだって、最初は否定しても結局は公に認めて謝罪して、なんともかっこ悪いことになるという流れが多いけど、みんな隠し通せると思ってのことなんだろうか。おエライさんたちが雁首をそろえて「せ~の」と謝罪する光景を見慣れすぎてしまって、あまりかっこ悪いことでもなくなったのかな。どういう心理なのか、不思議だな。

とにかく、ギリギリまでかかったけど、ひと仕事終わって夕食でひと息。今、ニュースサイトを見たら、福島原発の事故は1号機から3号機まで全部メルトダウンどころか、もっと深刻な「メルトスルー」の可能性があるという話。炉心溶融じゃなくて原子炉貫通。要するに溶けた核燃料が原子炉の底から格納容器の中に出てしまったということらしい。国際原子力機関に出す報告書の中にそう書いてあったんだそうな。原子炉の底が抜けてしまっていたら、華々しく発表した事態収束のロードマップも紙くず同然になってしまうな。格納容器まで底が抜けて、燃料が外へ出てしまうなんてことにならないと良いけど。だけど、国際機関に提出する報告書はひと晩で書き上げられるものじゃないから、政府も東電もずっと前からそういう可能性があることを知っていたってことだろうな。国民を不安に陥れないために黙っていたとか?放射能汚染を不安に思っているのは日本国民だけじゃないんだけど。大気中に出た放射能も、海に流れ出た放射能も、土壌に滲みこんだ放射能も、いずれは世界中を回ることになるんだけど。もう情報発信も何もどうでもいいから(どうせ意味ないだろうし)、とにかくさっさと何とかしなってば、もう・・・。

浅草だけが伝統の世界じゃないよ

6月7日。火曜日。ちょっと曇りがち。でも、まあまあの天気。今日はさしてやらなければならないこともないから、カレシをちょっとくすぐって起こして、しばしの間、いちゃいちゃ、だらだら。たぶん、老夫婦の暮らしとしては、まあ上々ってところかもしれないと思いつつ、だけど、まあよくここまで来たもんだなあとも思いつつ、しばしの間まだ半分寝ぼけているカレシにちょっかいを出す。思い出せば、ワタシ、いわゆる「ジューンブライド」だったんだけどなあ・・・。

今夜の英語教室の準備に勤しんでいるカレシを横目にのんきにネットサーフィンをやっていたら、「浅草芸者の紗幸さんが芸者を辞める」という記事。置屋の「おかあさん」が病気で活動できなくなったので独立したいと言ったら、芸者組合から除名されたのか、やめさせられたのか。どっちかはよくわからないけど、どうも浅草の花柳界で独立するためには日本国籍でなければならないという規定があるらしい。紗幸さんは実はメルボルン出身のオーストラリア人。慶応大学を出て、しばらく企業勤めをした後で、オックスフォード大学で人類学を専攻して博士号を取り、研究活動が高じてとうとう本物の芸者になってしまったという人。

紗幸さんにはおととしのシドニーの会議で会った。基調講演として、ビデオを交えながら、芸者になったいきさつ、「芸者」の世界の虚像と実像などの話をしてくれた。講演の後でほんのひと言かふた言、挨拶程度の交換だったけど、不思議に着物姿がしっくりと合っていて、まったく違和感のない人だった。英語で話していなければ日本人でないことにも気が付かなかったかもしれな。その後のあるセッションで、紗幸さんがワタシのとなりに座ったときは、体中がぞくぞくしてしまって、ただ横顔をちらちらと見るだけ。カチッと着物を着こなして、背筋をまっすぐに伸ばして、両手を重ねて膝においている姿は、「凛」いう言葉でしか表現できないようなオーラがあって、これこそ古来から理想とされる日本女性像だと思ってしまったくらい。(去年は谷中界隈を歩いていて、紗幸さんとすれ違った。白塗りの化粧をしていない地味な着物姿の紗幸さんは「下町」の風景にしっくりと溶け込んでいて、誰も「着物を着た外国人」とは気づいていないようだった。)

まあ、薄れつつあったとは言え、当時はまだカレシが集めた「アタシこそ正真正銘本物の従順でチャーミングな日本女性よ~」とアピールしまくっていた若いオンナノコたちの、さしずめキャバクラ嬢といったイメージが焼きついていたから、紗幸さんというプロの芸者さんを目の当たりにした印象が強烈だったのかもしれない。ほんとに、雲泥の差というか、天と地の差というか、バイトでもやれる「キャバクラ嬢」のイメージの違いがあまりにも強烈だったせいか、ワタシを「日本人をやめた恥ずかしい外国かぶれ」(だから早く別れろ)とアピールしていたオンナノコたちは所詮「そういうオンナたち」だったんだという、大文字の太字の下線付きの結論がワタシの心に刻まれたらしい。(一番カレシを翻弄した既婚オンナはホステスだった確率が高いし・・・。)まあ、同時に「んっとにアホなやっちゃなあ」と思ったけど、カレシは「興味ない」と講演をすっぽかし。でも、出席していたら、カレシなりに目から鱗の何かがあったんじゃないのかと思うな。

それにしても、ワタシのアイデンティティを木っ端微塵にして踏みつけにした日本の「今どきオンナ」に対する怒りや呪う気持を吹っ切れずにいたワタシを解放してくれた人が実はオーストラリアで生まれ育った白人の「ヤマトナデシコ」だったというのはの皮肉な話だと思う。ワタシにとって紗幸さんは長い葛藤の最後のターニングポイントになった人。事情はわからないけど、そんな彼女も日本で生まれ育った日本人ではないということで、日本の「伝統」の壁に突き当たったんだろうか。浅草芸者は日本国籍でなければダメという規則があるのなら、組合が「特別にやらせてやった」と思っていても不思議ではないし、しきたりに従わないということで生粋日本人の芸者衆との間に軋轢もあったらしい。「芸者とは芸の人(アーティスト)であって、娼婦ではない」と、伝統芸能としての芸者のイメージを広めようという彼女の心意気はすばらしいけど、講演では「芸者はアーティスト」という解釈を字義通りに考えすぎているのではという感じもしないではなかった。

はて、浅草を出て別のところで芸者「紗幸」を続けるのか、あるいは人類学者フィオナ・グレアムに戻るのか。どっちにしても、ワタシはあの凛とした着物姿を忘れることはないだろうな。

我が家の幻の「地下室の住人」て・・・?

6月8日。水曜日。午前11時55分に目覚ましのアラームで起床。今日は掃除の日で、いつも12時半頃に来るから、正午を過ぎていつまでも寝ていると、シーラとヴァルに「朝よ、朝っ」とばかりに起こされてしまう。まあ、仕事もあるし、買い物もあるから、早く起きるにこしたことはないけど。

今日の郵便にまたまた統計局からの封筒。国勢調査のアクセスコードが来たときに、「幻の地下室の住人」の分もあったので放っておいたら、しばらくして「お忘れなく」とまた来た。いくら催促されたって、我が家の地下室は間貸しをしていないので、「住人」はいるとすれば幽霊くらい。国勢調査で幽霊人口まで数えるわけには行かないから、そのうちに何か言って来るかなと思って放っておいたら、今日の封筒は大きくて分厚くて、しかも「地下室」宛。よく見ると、国勢調査ではなくて、「2011年度世帯調査」と書いてある。興味津々で(間借り人の幽霊に代わって)封を切ってみたら、何だか国勢調査の「Long form(詳細版)」とそっくり。同封のレターには「あなたの世帯が抽出されました」と書いてあるけど、そっか、なんだかんだ言いながら国勢調査と切り離したってことか。前回までは5世帯に1世帯の割で詳細版の質問用紙が配られていて、我が家にも何回か前に来たことがある。職業だとか収入だとか出生地/出身国だとか、何十項目も質問があって、めんどうくさいことこの上ない。

「どうなってんだ」とムカついたカレシがオフィスで問合せの電話番号をポンポン。何は1、あれは2と押していったら、「待ち時間は10分以上です。優先順位が失われますので、電話を切らずにお待ちください」とのご案内。スピーカーに切り替えて、悠長な「白鳥の湖」の音楽を聞きながら待つこと13分。やっとちょっとフランス語訛りのある女性が出た。聞かれるままに地下の「幽霊アパート」のアクセスコードと名前と住所と電話番号を伝えて、事情を説明。「誰も住んでいないんですか?」と聞くから、間貸ししていないから誰も住んでいないと返事。「最近の新築ですか?」と聞くから、ノー。仕事をしながら聞いていると、向こうはコンピュータを操作しているらしい。なぜか我が家には地下に貸室があることになっていたらしい。「どこからそういう情報が行ったのか知りたい」とカレシが言ったら、「さあ、わかりません」。だけど、同様の問合せが何百件も来ているそうなので、どうやら統計局のコンピュータの設定がおかしいんだろうな。大丈夫なのかなあ、国勢調査。信頼性をなくしちゃうよ。

まっ、なんとかありもしない「貸室」を削除してもらって、やれやれ。今の土地に住み着いたのは1982年の秋。その当時は築後36年の古い家が建っていて、地下に貸室を作った形跡があった。ただし、キッチン、トイレがなかったから、たぶん老人の家主の親族が住んでいたんだろうと思う。土台のコンクリートにひびが入っていて、家の外のバラの木に水をやると、中に水が流れ込んできた。そんなんだから、とにかく湿気がものすごくて、ペーパークリップが1ヵ月と経たずに錆びて、紙に茶色く跡が残ったもんだった。ワタシたちが買う前の国勢調査で「貸室がある」ということになった可能性も考えられるけど、いくらなんでも30年も前のことだから、やっぱりありえないかな。それにしても、何百件も問合せがあったということは、よくわからないまま「幽霊人口」を報告してしまった家もあるんじゃないかと思うけど、2011年国勢調査の信頼性、いいのかな。人口統計の出典に「2011年国勢調査。幽霊を含む」なんて書かれたりして・・・。

カナダポストはストに入っているけど、今のところこうやって郵便は届いている。郵便が公営だった頃はごり押し組合が全国で一斉に郵便を止め、不便と迷惑を被った国民が雇用主である政府に圧力をかけて、すごく贅沢な賃金や労働条件を勝ち取っていたけど、民営化され、インターネットや携帯や自動振込みが普及した今は郵便への依存度が下がって、ストをするぞと脅しても国民は「あっ、そう」と冷ややか。それで拠点をくるくると変えて、カナダでは珍しい24時間の時限ストをやることにしたらしい。でも、拠点ストが始まって郵便の量が半減したとかで、カナダポストはレイオフをして、都市部の配達を月、水、金の週3回に縮小するそうな。まあ、いつも広告のごみ郵便ばっかりだからどうってことなさそうで、組合が自分の首を絞めているような観もあるな。自動車の時代になって乗合馬車の御者がストをやるようなものかな。噂によると、新採用の初任給が時給24ドル、有休が7週間だそうで、さすが元公営企業だという感じがする。でも、そんな高給でチラシ配りってのも何だかなあ。まあ、今やsnail mail(かたつむり便)と呼ばれる郵便だけど、カナダでは前からかたつむり並だったから、週3回でもさして変わらないか。

宅配便とカン違いしてない?

6月9日。木曜日。朝からヘンな一日。10時過ぎに芝刈り機のモーターの音で目が覚めた。起き出して窓の外を見たら、ガーデナーのジェリーが向かいのマージョリーの芝生を刈っているところ。ささっと髪だけとかして、着替えをして、玄関のドアにマグネットで止めてあった封筒をつかんで外へ。(ん、防犯アラームがセットされていない!)先月の芝刈り料金、ポストに投函したら郵便ストでどこかに引っかかってしまうかもしれないから出さなかったの、とジェリーに小切手の入った封筒を渡したら、ん、この人もずいぶん頭がごま塩になってきたなあ・・・。

家に戻って、また着替えをしてベッドにもぐり込んで寝なおし。慣れと言うのはすごいもので、外でモーターがガリガリ唸っていても、何となく眠りに落ちしてしまう。耳栓をしているカレシは全然目を覚ますことなく高いびきですやすやだからなおすごい。でも、せっかく寝なおしたけど、10時45分に目覚ましが鳴って目が覚めた。今日はカレシが州税の監査官だったころの同僚たちとの同窓会的なランチに行く日。カレシをや肘鉄でやさしく起こしてあげて、ジェリーに小切手を渡したこと、アラームがセットされていなかったことをもぐもぐと報告して、ワタシは今度こその気分で寝なおし。カレシは簡単な朝食を取って、迎えに来たイアンといっしょに出かけたらしい。

ひと眠りして目が覚めたらほぼ正午。コーヒーメーカーのポットには1人分のコーヒーが「保温」状態。シリアルを出してきて、パンをスライスしてトースターに入れ、昼のニュースを見ながら、ついでに『On The Road』を読みながらのおひとり様朝ごはん。やっぱり何となく味気がない気がするな。ボストンで2試合続けて大負けしたカナックスは今日バンクーバーに戻ってくるらしい。どうなっちゃんだろうな。きのうの夜はさすがのダウンタウンもしんみりしてしまったらしい。7戦制で2勝2杯になってしまったから、この先は「Best of Three」。どこで何が狂ったのか知らないけど、悪い憑き物がついたような感じだな。まあ、ボストンのゴールキーパーがホットなんだけど、バンクーバーのルオンゴは精神的にちょっと繊細なところがあるからなあ。ほら、オリンピックで金メダルを取ったときの感動を思い出して、一念発起で発奮しなってば。

さて、仕事。これが人様がやった翻訳を編集するというどえらい仕事で、編集が苦手で普通は引き受けないワタシは頭がくらくら。これを通過すると本業の翻訳の部分に行き着くという手順。時間的にきついから、まともな翻訳だったら、誤訳さえなければあまり手を入れずにすいすいと行けるんだけど、甘かったなあ。かなりすごいことになっている。お堅い文書なのに途中で突然「タメ口」風の表現が飛び出して来たり、原稿にあるものがなくて、原稿にないものがあったり・・・。なぜ編集を引き受けないか、今さらながら思い出したけど、ま、今回は翻訳とワンセットだからしかたがない。しかたがないとは思いつつ、歯軋りしながら死ぬ思い。翻訳者と編集者は車の両輪のような関係だけど、簡単に入れ替えるわけには行かないみたい。うん、よそ様の翻訳の編集仕事はもう金輪際引き受けないぞ。やだ、やだ。もう、金輪際やだっ!

やれやれという気分で送り出して、夕食をして、戻ってみたら、ん、いつの間に仕事が3件も?日本はもう金曜日の午後だから、ふむ、またあっちもこっちも置きみやげ。ほんとに悪い癖がついてしまったみたい。もう、カナダポストみたいに24時間ストでもしようか。(やってみたところで、料金値上げどころかお払い箱になるのが関の山だけど。)あのねえ、ワタシは翌朝配達のフェデックスでも黒猫ヤマトの宅配便でもないっつうのに・・・。

カタカナ英語とバイリンガルの関係?

6月10日。金曜日。まあまあの天気で、けっこうのどかな日になるかと思ったら、今日はホッケーの第5試合があるとかで、起きて昼のニュースを見たら、交通止めの区域が拡大されて、もう人が集まり始めているとか。中継の開始は午後5時で、最初のフェースオフでパックを落とすのはもっと先なんだけど、気が早いというか、気合が入っているというか、不安症増幅中というか。まあ、今日の試合でまた大負けしたら、スタンレー杯獲得はあきらめた方がいいかも・・・。

とりあえず、きのうの仕事でわやわやになった脳みそをリセットして、リプログラムするために、午後は「のんべんだらり」モード。(この、「わやわや」ってのは北海道語だったけかなあ・・・。)日ごろ2つの言語を手玉にとってご飯を食べているもので、小町に『イラッとするカタカナ語』というトピックは見逃せない。カタカナ(英)語批判のトピックはよく上がって来るところを見ると、全国津々浦々蔓延しているような印象に反して、あんがい抵抗感や嫌悪感が大きいのかな。それにしては、意味が変わったり端折られたりして流通しているカタカナ語は減る気配は微塵もないどころが「高速増殖炉」みたいだな。仕事で送られてくる原稿にも、ビジネス関連のものにやたらと見つかる。すなおに「再英語化」して使って意味が通じればそれでいいんだけど、そのまま英語にしたら意味が合わないものがけっこうあるから困る。それが手軽にカタカナ4個に端折られていたりすると、元の単語は見当さえつかないし、まず辞書には載っていないからお手上げ・・・。

もっとも、カタカナ語には少なくとも2種類あって、外国語から入って来て日本語に帰化した「外来語」と、まだ日本語としての市民権を得たとはいえない「なんちゃらガイコク語」に分けられると思う。やっかいなのはこの「なんちゃら語」で、さらに巷の若者たちの「かっこいい語」と仕事場で洋行帰りのキャリア組なんかがよく使う「もったいぶり語」に分かれる。ワタシにとっての頭痛の種なのは後者の方で、カタカナに転記したらけっこう長ったらしかったりして、思いっきり端折られることが多いし、それでも長すぎるのか、頭文字のアルファベットスープになっているのも多い。中にはどっからそんな略語が出てきたのかと思うような独創的なのものもあって、持株会社を意味するホールディングカンパニーに「HD」を当てているのがその好例。 カタカナの字面を見て「ホール」と「ディング」に分割してHDということしたんだろうけど、英語の単語はどこで分けてもいいってものではなくて、「holding」はhold」と「ing」にしか分割できない。(タイプライターで行末で単語にハイフンを入れて分割していた頃は、上級秘書になるにはスペリングとシラブルの知識はタイプの速度と同じに重要な技能だった。今は昔・・・。)

こういうトピックだと必ずと言って良いほど出てくるのが、「言葉は生き物だから」というのと「英語圏での生活が長いとつい日本語に英語が混じってしまう」という書き込み。たしかに言語は時代や社会と共に変遷を続けて来た「生き物」だけど、「生き物でも間違った使い方では困る」と言う意見には一理あるな。でも、「英語生活が長いと日本語より英語の方がつい出てきてしまう」というのはどうなんだか。英語ばかりで日本語を使わないでいると、とっさのときに日本語が出て来ないことがあるのは多かれ少なかれ誰もが経験していると思う。ワタシも日本語が日常語でなくなって久しいもので、語彙が萎縮してしまって、日本文を書くときは英和辞書を引くことが多いし、たまの日本語での会話となると、「あの、あの、あれ・・・」と言葉に詰まることがよくある。だけど、親しい人との会話で互いに英日どっちも話せる場合には(会話の流れを中断しないという意味でも)いわゆる「ちゃんぽん」になることはあっても、普通に日本人相手に日本語で話すときには、発音は少しヘンかもしれないけど「つい」英語が混じるということはないと思うなあ。英語をとっさに「カタカナ」で発音するのって、けっこう難しいと思うんだけど。

ある程度成長してから第2、第3の言語を学んだ人の脳には、多言語環境に生まれた人と違って、母語とは別に外国語の処理中枢ができると聞いたことがある。だとすれば、母語で話していてつい「外国語」が混じってしまうというのは、外国語の処理中枢がまだ完成していないために、2つの言語での思考が混線するからじゃないのかな。つまり、今「日本語より英語の方がつい出てきてしまう」と言う人は、別に英語力をひけらかしているわけじゃなくて、まだ語学修行が足りないというだけ。この先何年、十何年か経って、一応バイリンガルと言えるレベルまで言語の住み分けが確立したら、「(カタカナ)英語がつい出てしまって、かっこつけているといわれる」というジレンマは解消されるかもしれないね。トピックには「習得した外国語が母語に与える影響の研究によると、IQが低いほど母語を話すときに外国語の影響が大きく出る」という趣旨のちょっとイジワルな書き込みがあったけど、IQが低いと言語の住み分けがうまく行かないというだけのことだと思うから、IQや偏差値の高い人には当てはまらない。まっ、研鑽あるのみ・・・。