Allen Houser / Washington Jazz Ensemble ( Straight Ahead ARS002 )
アレン・ハウザーの自主レーベル Straight Ahead 第2弾がこのWashington Jazz Ensemble。 前作の "NO SAMBA" から5年後の1978年制作で、
何とものんびりとしたリリースです。
トランペット、テナー、ヴァルヴ・トロンボーンの3管セクステットで、前作のような時間をかけて練り上げられた雰囲気とはがらりと変わって、
スタジオ一発取りのようなライヴ感の強い生々しい雰囲気が素晴らしいです。
50年代終わりから60年代初め頃のハードバップのような内容で、特に1曲目はショーター時代の3管ジャズメッセンジャーズによく似ています。
楽曲としての出来もよく、この人はそういう才能もあった。 2曲目はテナーの渋いソロが全面に出たバラードで、ベン・ウェブスターのような
深く悠然とした演奏が素晴らしい。 B面最後の曲もシダー・ウォルトンが書きそうな曲で、緩いリズムながら全員ノリノリで掛け声が自然と
出たり、と雰囲気も抜群です。
テナーのバック・ヒルは郵便局員として生計を立てていたそうだし、みんな音楽だけでは喰っていけない中で週末の夜や休日に集まっては
こういう演奏をやっていたんだろうと思います。 難しいことは考えず、誰の目を気にすることもなく、自分たちの好きな音楽をやって、
気が向いたらこうしてレコードにして、そういうのは何て素晴らしい人生だろう。
この後も徹底して自分のレーベルからのみレコードを出し続けたこだわりは、きっと誰かの意向に沿った音楽なんてやらないぞというポリシーに
沿ったものだったんだろうし、地元での活動に固執して他のアーティストの作品への客演も一切やらなかったその徹底ぶりは大したものですが、
もっとたくさん作品を残してくれたらよかったのに、と思ってしまいます。
カタログは第6作まではあるようですが、第3作以降はまだ聴いたことがないのでぼちぼち探していこうと思います。