廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

晩年のグリフィンの成熟

2018年06月24日 | Jazz LP

Johnny Griffin / Live Jazzbuhne Berlin '84  ( 東独 Amiga 856 089 )


1984年にベルリンで行われたジャズ・フェスティバルでのライヴの模様を収めたものだが、これがとてもいい。 グリフィンも他のジャズ・ジャイアンツ同様、
モノラル期のレコードは有難がられるけれど、それ以降のものとなると人気はさっぱりない。 というか、誰も聴こうともしないのが実態だろう。
そういう人気の度合いは中古の値段に如実に反映される訳で、例えば、こういう盤は捨て値同然でエサ箱の中で打ち捨てられている。 

最近は安レコ漁りも円熟の極みに達してきたようで、これは、と思って引っこ抜いた盤はハズれ知らズ。 このレコードも手にした瞬間、これはきっとイケる
とピンときた。 そして聴いてみると案の定素晴らしい演奏で、もう、シビレまくっている。

ワンホーンで自作とスタンダードをバランスよく演奏している。 グリフィンのテナーの音色は深みを増し、バックのピアノ・トリオはみずみずしくて覇気がある。
カルテットとしての纏まりも良く、飽きることもダレることもなく、一気に聴かされる。 誰からも褒められないレコードだけど、この演奏はすごくいい。

グリフィンのテナーは若い頃のウネウネ・ブリブリ系が顔を出すと正直聴けたものではない感じだけど、ここではそういう感じは微塵もなく、大人のテナーへと
成熟しているのがよくわかる。 ツボを心得た安定した技術力が隅々にまで浸透していて、テナーサックスの快楽が滾々と湧き出ているような感じだ。

そして、そういう演奏の素晴らしさをアシストしているのが録音の良さで、これがずば抜けて音がいい。 さすがは国営レーベルの現代音楽部門、
録音レベルの次元が違う。 

グリフィンが苦手だという方にこそ、聴いてもらいたい。 きっと印象がいい方向に変わるだろうと思う。


コメント
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