![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/3f/8aa407cd0186842284ced811a2209629.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/e3/fbb059f22b479c541ce1a8d9c5a39b59.jpg)
Tony Scott / Both Sides Of Tony Scott ( 米 RCA Victor LPM 1268 )
Side A は子守歌のように静かな演奏、Side B はミドル・アップな朗らかな曲調、という編集をしているので Both Sides というタイトルになっている。
ピアノレスで、A面はマンデル・ロウ、B面はディック・ガルシアが静かに寄り添う。
幽玄な雰囲気が漂う音楽で、引き込まれる内容だ。"Cry Me A River" や "Stardust" をこんな侘び寂びの世界観で演奏しているのは聴いたことがない。
それが奇をてらったものではなく、素晴らしい音楽として仕上がっているところに驚かされる。なんだか京都の禅寺の和室で紅葉の楓を眺めているような
気分になる。アメリカ人にこういう感覚が理解できるのだろうか。
RCAのようなメジャー・レーベルでこういうサトルでスマートな作品を正面切って作ってしまうところにトニー・スコットという人の凄さを感じる。
一般大衆向けとするには、これはあまりに趣味が良すぎる。RCAもよく発売をOKしたな、と変なところに感心してしまう。
白人ミュージシャンにとって、ジャズはアウェイの音楽だ。当時の白人ミュージシャンたちの発言を読むと、例外なく、みんな自分がこの音楽をやる意味を
真剣に考えて模索していたことがわかる。それが上手くいった人もいればそうではなかった人もいるけれど、そういうところを噛みしめながら聴くと、
ジャズはもっと面白くなる。
トニー・スコットのレコードにはそういう工夫の跡がはっきりと刻まれていて、聴いていくと面白いということが最近よくわかるようになった。
こうして安レコ漁りにますます拍車がかかる。このレコードは750円。最近のユニオンの安レコの1つのスタンダードラインがこの金額らしい。