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Tony Scott / Gypsy ( 米 Signature SS 6001 )
ジュール・スタインが書いたブロードウェイ・ミュージカル "Gypsy" の楽曲を取り上げているのは珍しい。少なくとも、私はこれ以外には知らない。
こだわりの人、トニー・スコットらしい選曲である。それを、マンデル・ロウ、ジミー・ギャリソン、ピート・ラ・ロッカという凄い顔ぶれで録音している。
こういう組み合わせの演奏も、これ以外では聴いたことがない。
50年代にバディ・デ・フランコと人気を二分し、ポール・ウィナーを争っていた実力は伊達ではなく、強者3人を従えた演奏はタイトで高度。
ミュージカルの曲を楽し気に演奏するというレベルを大きく超えて、ソフトながらもしっかりとしたジャズを展開していて、すごく聴き応えがある。
クラリネットは音量の問題から基本的にモダンジャズには不向きだと思うけど、ピアノがいないこのユニットはサウンドに隙間が多いので、
クラリネットの音がよく映える。ジャズのスタンダードにはなっていない楽曲を昔からよく知っているかのようにこなれた演奏をしている。
とにかく、4人の演奏が非常にしっかりとしていて、こういうのはクラリネットのコンボの演奏としては他にあまり例がないような気がする。
シグネチャーのこのステレオ盤は音質も良好で、4人の演奏がすっきりと分離していて、見通しがいい。バディ・デ・フランコのような保守的な音楽
ではなく、控えめに目立たないながらも果敢に音楽に取り組んでいた様子がよくわかる。一般的に受けるようなわかりやすい凄さではない
ところに難点があるのかもしれないが、ジャズのことがよくわかっている人が聴けばよく出来たアルバムであることが実感できるだろうと思う。