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Randy Weston / Piano A-la-mode ( 米 Jubilee JGM 1060 )
ピアノ音楽を聴く楽しみは、何と言ってもこの楽器が本来持っている美しい音色に耳を澄ますことだったり、和音の調和を楽しむこと
だったり、紡ぎ出されるメロディーに酔うことだが、こういう楽しみ方のすべてを否定するのがランディー・ウェストンである。
モンクとの類似を挙げられることが多いけれど、私にはあまりこの2人が似ているという印象はない。根っこのところが違うような
気がする。モンクは伝統を重んじるリズムの人、この人は伝統的なものを嫌い、フレーズの断片をコラージュする人。
彼が書いた代表作 "Little Niles" は1度聴くと忘れられない後ろ髪を引かれるような不思議な印象を残すが、あの感覚である。
レコード・デビューしてまもない時期の演奏だが、不思議な余韻が残る、心に引っかかるアルバムだ。ピアノ・トリオの王道なんて
最初から相手にしておらず、自由なインスピレーションで思うがままにピアノを弾いていて、その屈託のなさが好印象を残す。
メロディーの美しさや調和のとれた和声の心地よさとは無縁なのに、この演奏にはある種の安らぎのようなものを感じるのだ。
不思議なレコードである。
このアルバムは青色の大レーベルが初版だが、なぜかこのセカンド・レーベルのほうが音がいい。だから、初版には手を出さず、
この黒色の小レーベルが出るのを待っていた。盤の形状がリヴァーサイド盤と似ているので、同じ工場でプレスされたのかもしれない。
この版で聴くペック・モリソンのベースの音色が素晴らしく、気が付くと彼の出す音色に耳をすまして聴いている。
ウッド・ベースの木が鳴っているのがよくわかるとてもいい音だ。ペック・モリソンの音色のことなんて、今まで考えたこともなかった。
コニー・ケイのシンバルも生々しい音で録られており、このサウンドはいろんなことを教えてくれる。
アルバムの最後に置かれた "Fe-Double-U Blues" が何とも言えないカッコいい雰囲気のブルースで、何度も聴き返したくなる。
ここにランディー・ウエストンの底力が込められているのだ。