John Dennis / New Piano Expressions ( 米 Debut DEB-121 )
最近聴いて、ちょっと驚いたこのレコード。 エサ箱では時々見かけるので特に珍しい訳でもなく、マイナー・ピアノトリオにはあまり興味がないのでこれまで
聴こうという気にもなれずにいたが、新品同様の状態で転がっているのを見て、こんなところに置いてたらすぐに傷んでしまうじゃないかと不憫になった。
そういう感心しない動機だったので期待もせずに聴き始めたが、すぐに耳が釘付けになった。
ジャズピアノの基本がとてもしっかりとしているライン上にこの人の新鮮な感覚で作り出すフレーズの洪水が溢れていて、「これは凄い」と1人で小躍りした。
A面は自作のオリジナル曲で固められているが、メロディーが美しく、想像力の自由な飛翔が感じられる楽曲が並んでいる。 それは頭で考えて練られたフレーズ
というよりは、思うがままにピアノを弾いていく中で書き留められたもののような自然さと自由さを感じる。 アドリブラインも今まで聴いたことがないようなもの
ばかりで、それらが美しいタッチで紡がれていくのを唖然としながら見ているような感覚になる。
この人のアルバムはこれ1枚しかないようだ。 後は同じこのレーベルのサド・ジョーンズのリーダー作で弾いているくらいしかなさそうである。 唯一の情報は
裏ジャケットのライナーノートに少しだけ言及された経歴だけ。 4歳からピアノを弾き始めて、16歳までは地元の教会なんかで演奏していた。 その後地方都市を
転々としながらギグに顔を出し、アトランティック・シティーではワイルド・ビル・デイヴィスやチャーリー・パーカーとも共演していたらしい。
その後どういう経緯でミンガスに見出されたのかは不明だが、自身がベースを弾いてちゃんとリーダー作も出してやるなど、かなり気に入られたようだ。
ミンガスもベースソロでは唸り声を発しながら熱演している。 音質もまずまずで、問題なく演奏の素晴らしさを堪能できる。
さすがはミンガス、その慧眼振りは本物だったのだと思う。
わたしも都内の廃盤レコにちょくちょく
顔を出しており、
時折目にするこのレコはおっしゃるとおり
まったく歯牙にもかけずおりましたが、
なんだか急に気になりだしました。
レコ―ド紹介はもとより、
文章がとても上手で読んでいて愉しいです。
いつも更新を心待ちにしています!
きっと、何処かですれ違っていますね。 中古漁りは楽しいですね。
焦らず安いのを探してゲットして下さい。 高いお金を出すようなブツじゃないと思いますので・・・