報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

本日2本立て

2013-06-11 21:57:43 | 日記
 “新人魔王の奮闘記”より……。

 ルーシーと安倍春明は、魔王城新館にリニューアルされた謁見の間にいた。ここではルーシーは玉座に座り、大衆の意見を聞く場を設けているわけだ。
 因みに他と違うのは、玉座の横にパソコンを置いていること。記録用に置いているようだが、これもまた、いかにルーシーが人間界で生まれ育った魔王なのかの表れである。
「Next!」
「えー、次は……あっ、他国からの使者が来てますよ。海の向こうより、はるばるおいでです」
 と、春明。黒い燕尾服に、黒い大きな蝶ネクタイを着けている。手には、タブレット。人間界に外遊した時に購入したものである。毎日の謁見希望者のリストも、ここに入っている。
「おっ、懐かしい。ノラン王国のスティーブン・C・ターナー王子の使者!?」
「知り合いなの?」
「ハハッ、陛下も会ってますよ。断頭台でね」
「What?」
「自分のパーティ(仲間)にいた1人ですよ。自分が陛下を倒しにきた“勇者”で、スティーブンは“賢者”でした」
「……覚えてないわね。それで?」
「実はスティーブンは魔界で唯一、人間が統治するノラン王国の出身で、旧・魔王軍の脅威に対抗する為に人間界に来てたんですよ。そこで、自分と会ったと」
「おおかた、私がここを統治するようになって脅威も無くなったので、実家に戻って王子やってるってとこね」
「ま、そんなところです」

 実際に来たのは使者であって、本人ではない。では使者が何の用件で派遣されたのかというと、
「えっ、あいつ結婚すんの!?」
 思わず軽い口調になってしまった春明。
「はい。殿下は予てより、隣国のオーランド王国のゼルダ王女様と婚約を交わされておりまして、是非ともアベ首相閣下とルーシー陛下に御臨席賜りたいと……」
「オーランド王国ね……。ミズ・ゼルダは、あるゲームで有名な名前よね」
 ルーシーはキーボードを叩いた。もっとも、ゼルダという名前はスティーブンと同じく、英語圏の国の女性の名前として実在するのだが。
「!?」
「スティーブンは元気にやってますか?」
「はい、おかげ様で。アベ閣下の政治的辣腕に対し、大いなる賛辞を送られてございます」
「ははっ、照れるなぁ……」
「……ねぇ、ちょっと」
「ん?」
 ルーシーは春明の袖を引っ張り、PCの画面を見せた。そして、ヒソヒソと小声で耳打ちする。
「この結婚、大丈夫なの?祝儀じゃなくて、香典持ってった方が良くない?」
「何言ってんだよ、失礼な」

 というやり取りがあったのが半年前。
 実はその後、春明もノラン王国とオーランド王国を比較してみて眉を潜めた。前者はなかなかの善政で、国民の王室に対する支持率も高い。是非とも、春明達のアルカディア王国も見習いたいくらいだ。
 それに対し、隣国のオーランド王国は圧政で悪評だった。国王ガリバルディ3世とその娘の親子による民衆への暴政が異世界通信社からも報道されている。
 その娘こそが、スティーブンの結婚相手とされるゼルダ王女であった。見た目は確かに美しい。だが、悪政を振るう父王の元、箱入りに育った姫はそれが当たり前のようになっているようだ。
 既に罪無き罪人が今月に入ってから、何十人もギロチンに掛けられているらしい。
「何だか心配だなぁ……」
「塩まいた方がいいかもね」
 などという会話をしていた春明とルーシー。
「どうする?出席辞退する?御祝儀でイチャモンつけられたら、バカ臭いぞ?」
「そうねぇ……」
 と、そこへ、
「ご休憩中のところ、失礼致します」
 共和党の横田理事が入って来た。何とか許してもらい、釈放されていた。
 ルーシー自身が民主党タカ派に裏切られて、自分がギロチンに掛けられそうになっていたので、皮肉にもそれが、決して私情で死刑を言い渡さないことで評判になっていた。
 因みに王室内での横田理事の立場は副侍従長である。
「どうした?」
「ノラン王国より緊急の伝書鳩でございます。あいにくと、私の愛鳥フローレンスには劣るようですが……」
「内容は?」
 さらっと最後のコメントをスルーする春明。
「まもなく結婚式ではありますが、あいにくとアルカディア王国の臨席をお断りしたいとのことです」
「What!?」
「何か、嫌な予感がする……」
「理由については今は話せないが、後日必ず説明させて頂くので、くれぐれもお気を悪くされぬよう宜しく……と」
「春明!」
「スティーブンのヤツ、もしかして……!」

 春明の予感は当たった。結婚式当日、異世界通信社が号外をアルカディアシティのあちこちにばら撒いた。そこには、こう書いてあった。
『オーランド王国、王室に血の大豪雨!』『首謀者はまさかのノラン王国、スティーブン王子!?』『ガリバルディ3世、スティーブン王子の剣により死亡!』
「やりやがったな、あいつ……」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コミックマーケット!?

2013-06-11 21:45:15 | 日記
DJポリスに警視総監賞、ペア組んだ女性警官も(読売新聞) - goo ニュース

 私がこのDJポリスと称された機動隊員の語り口調を聞いて、まずコミケスタッフを思い出した。私のように二次元に少なからず興味を持ち、且つ毎年2回、東京ビッグサイトで行われるコミックマーケットに来場したことのある人なら、大抵はDJポリスのような語り口調で来場者を整理するコミケスタッフに遭遇しているはずだ。
 1日10万人もの来場者が押しかけるこの例大祭……もとい、ビッグイベントが毎回大きな事故も無く終了できるのは、この独特なスタッフ達の誘導法も大きい。
 彼らの的確且つ軽妙な誘導案内は、私ら警備員の出る幕など無いくらいだ。
 ま、制服を着用し、制帽を着帽して立つだけで存在意義は一応あるにはあるのだが、ぶっちゃけ、軍人のコスプレをして誘導するスタッフの方が我々よりずっと威圧感がある。彼らもまた、運営側の人間であるという自覚を持っていることの現れというわけだ。

 ところで……。つぶやきにも書いたが、前のブログで大きな失敗だったのは、信心の話をしたこと。私の宗教観に眉を潜める法華講員も多々おられたようで、それもまた炎上するきっかけとなった。で、日蓮正宗の主張に沿う内容を書いてみたら、今度は顕正会員が荒らしてくる始末。あっちを立てればこっちが立たずというわけである。
 その時の反省を踏まえて、ここでは信心の話をせず、本当にただの日記、そして趣味の二次創作のボツネタを公開するに留めようと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本日の時事ネタ

2013-06-11 00:27:42 | 日記
女性転落、「荷物」と勘違い=確認せず発車、待避し無事―東京メトロ(時事通信) - goo ニュース

 まるでギャグみたいな話であるが、民営化したら何だかポカミスが増えたような気がするのは気のせいか。
 日比谷線もホームが曲がりくねっている駅がある。そういった駅を抱えた路線で、可動式安全柵の設置は難しいのではないか。また、5ドア車と3ドア車が入り混じっていれば尚更だ。

 他に……羽田空港で同業他社がミスを犯したらしいが、まあ取り上げないであげよう。
 どうしても気になる方は、朝日新聞辺りでも参照して頂きたい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 “ボカロマスター”より。更に続き。

 敷島の意識が戻った。この報せを聞いた時、南里研究所の面々は大歓喜した。
 南里は責任者として、早速見舞いに向かったのだが……。
「んっふっふっふ。敷島君、どうかね?生死の境から奇跡の生還を果たした気分は」
 敷島は顔だけを南里に向けて答えた。
「人間、あれくらいで死ぬんだなと……、命って意外と『軽い』ものなんだなと思いました」
 すると、南里は大きく頷いた。
「ん!いい解答じゃ。正に、『経験者』の言葉じゃな。ほんの最近までそこで笑っていた者が、次の瞬間には肉塊と化す世の中じゃ。さて、そんなキミに見舞いの品がある。受け取りたまえ」
「は?」
「エミリー」
 南里は病室の外に向かってパンパンと手を叩いた。
「イエス。ドクター南里」
「げっ!」
 エミリーが簡単に手で持ってきたのは墓石だった!しかもご丁寧に『敷島家之墓』と刻印され、贈答用のリボンまで付いている!
「いつぞやのお返しをせんとな。あ?」
「た、大変申し訳ありませんでした……」
「まあ、いいじゃろう。じゃが、これはほんの前座じゃ。……おい」
 南里はコンコンと墓石を叩いた。するとパカッと天頂部分が開いて、中から出て来たのは鏡音レンだった。
「れ、レン!?」
「ぷ、プロデューサー……ごめんさい!!」
 レンは敷島の前で土下座した。
「所長、これは一体全体、どういうことですか?」

 話は数時間前に遡る。
 レンが監禁されている部屋には窓が無く、真っ暗である。人間なら気が狂いそうになる中、レンは壁を背にして座り込んでいた。
 人間なら時間の感覚が分からなくなるところだが、タイマーが内蔵されているボーカロイドは、ちゃんとここに入れられてからどのくらい経ったか、正確に把握している。それが却って辛かった。
 と、そこへ“牢屋”が開けられる音がした。そして、誰かが入ってくるのが分かった。
「エミリー……」
「鏡音レン・出ろ」
 エミリーは無表情で言った。
「いよいよ、“死刑執行”の時かい?」
「ノー。むしろ・最後のジャッジメント・だ。これで・お前が・本当に・処分か否か・決まる」
「えっ?」
「敷島さんに・謝罪せよ。そして・許しを乞え。敷島さんが・許せば・お前は・“保護観察”だ。しかし・処分を・望めば・解体決定の上・最終処分場行きと・なる。理事会で・そう決まった」
「でも、プロデューサーは意識不明の重体だって……」
「62分35秒前に・意識が・回復した」
「えっ!?」
「あとは・ドクター南里の・指示に・従え」
「……プロデューサーは、絶対に許すわけがないよ。こんな手間ひま掛けないで、さっさと処分……」
「鏡音レン」
「!」
 エミリーは声を低くして言った。凄むような、レンが黙るくらいの……。
「お前は・どうして・敷島さんを・殺そうとした?」
「リンが解体されるって聞いて……。プロデューサーを殺せば、それが阻止できるって聞いて……」
「鏡音リンを・守りたかった。そうだな?」
「もちろん!」
「それは・何故だ?」
「な、何故って……」
「リンは・お前の犯行に・号泣した。お前が・解体される恐れ大と・聞いて・何度も・シャットダウンして・しまうほどの・不具合を・起こした。理事会で・何度も・土下座した。リンも・また・お前を・守ろうと・している。それを・裏切るのか?」
「リンが……」
「来い。ドクター南里が・既に動いて・下さっている」

「……というわけじゃ。どうかね?今目の前で小さくなっておる、この少年の生殺与奪はキミに掛かっておる。ささ、これが“死刑執行同意書”じゃ。これにハンを押すだけで良いからの」
 南里はあえて笑顔で言った。
 敷島は、『承認』と書かれた大きなゴム印を手に取った。そして、それを紙の上に振り上げる。で……。
「あ、いたたたた……」
 敷島はレンに刺された傷口を押さえた。ポロっと印鑑を床に落とす。
「所長も人が悪い。怪我人にこんなことさせるなんて」
「んふ、そうかね?じゃが、この同意書は本人が直接捺印しなくてはならぬ決まりなのじゃよ。代理は一切認められておらん」
「じゃあ、無理ですね。何か、ハンコを押そうとすると、傷が痛くて……」
「ふふ、なら仕方無いの。では、鏡音レンは“保護観察”でよろしいかな?」
「結構です」
「では、これも捺印が必要なのじゃが、どうかね?」
 南里は床に落ちた承認印を拾い上げた。
「……あ、急に痛みが引いた」
 ペタッと押す。
「結構。おーい、入ってきて良いぞ」
「レーン!」
「リン!?」
 病室にリンが飛び込んできた。そして、レンを抱きしめる。
「レン、無事で良かったよ……!」
「リン……ごめん……ごめんよ……」
 赤月も入ってくる。
「敷島さん、本当にいいんですか?」
「まあ、事情は所長から聞きましたし、嫌われていたんじゃなくて良かったですよ」
 敷島は微笑を浮かべた。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする